異世界奮闘、チート兄
頼み
「まって!まってください!」
「……なんだ?」
これからどういう展開になるか薄々気付きながらも、律儀に返すクオ。
「私も連れて行ってくれませんか?」
「……町までか?」
「あ、はい、おねがいします(とりあえずは……)」
「ま、それ位ならいいか」
「あ、ありがとうございます!」
とりあえずは。
その言葉をしっかりと聞いていたクオは、嫌な予感しかしないな。と、ため息を吐くのだった。
「で、町まで送ってくことになった」
「ルッカです。よろしくお願いします」
「……ルノ。よろしく」
「フィリアです!よろしくお願いします!」
「ああ、そういやまだ名乗ってなかったな、……クオだ」
「はい、クオさんにルノさん、フィリアちゃんですね?覚えました」
自己紹介した4人だったが、フィリアだけそわそわしていた。
恐らく、口調の被る人の出現に危機感を覚えたのだろう。
『儂を忘れないで欲しいのじゃ!』
「え?ええ?ど、どこにいるんですか?」
突如上がった5人目の声に、ルッカが戸惑いキョロキョロと辺りを見回す。
『ここじゃ!主人が腰に下げている刀じゃよ!』
「えええ!?ぶ、武器って喋るものでしたっけ?」
「あー、まあ、こいつは特殊だからな」
「ルッカさん、お兄様について常識なんて通じないですよ?」
「……ん。クオに常識は殆どない」
貶されているような気がするクオは、反論しようとしたが、普段の行いが行いなので、結局目をそらしただけだった。
「え、あ、はい?とにかく、さっきの声はこの武器でいいんですよね?」
頭にはてなを浮かべながらもまあいいか。といった様子で屈んで龍に話しかけるルッカ。
『うむ!儂が時に主人のメイン武器、時に主人の会話に彩りを添えるムードメーカーをやっておる八百万、または龍じゃ!名前はまだ無いがの』
どこぞの猫のような自己紹介をする龍。
「あ、はい。龍さんですね?私はルッカです。少しの間ですがよろしくお願いします」
『……主人。儂かなり混乱させる話し方をしたつもりだったのじゃが……』
珍しく困惑様子の龍。
「……あれだ、大物なんだろ」
龍がからぶったのを見て若干嬉しそうに答えるクオ。
『主人、他人の手柄で喜ぶとは器が小さいの?』
結局煽られるクオ。
話術系のスキルがあったら欲しいと思う今日この頃である。
「お兄様、そろそろ行きましょう?」
「……日が暮れる前に少しでも進む」
「そうだな、じゃあちょっと待っててくれ」
そう言って、オーガナイトを無限収納にしまう。
「ええ!?魔物が……」
またしても驚くルッカに微笑ましいものを見るような目で見るルノとフィリア。
「よし、行くか」
「ん」
「はい」
「常識なんてまやかし……。もう驚きませんよ!」
常識なんてコロコロ変わる。
そう言い聞かせて覚悟を決めるルッカ。
しかし、そんな覚悟も夜テントに入ると、
「な、なんですかこれ!?明らかに外見と中身の広さが違いますよ!?」
部屋の広さに驚き、
「え、トイレ!?ここお手洗いが完備されてるんですか?」
トイレの存在と、
「ひぃやぁああ!なんですかこのトイレ!み、水が!ふぁぁああ!」
その機能に驚き、
他にも、風呂、空調機能etc…
夜通し驚きの声を上げ続けたルッカは、流石に少し喉を枯らしていた。
そして落ち着いた後、
「もう大丈夫です。取り乱したりしません。
人って驚き過ぎると大抵のことは許容出来るんですね……」
と、疲れたような表情で語った。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
驚きもなくなり、ハイペースで進んだおかげで、街の目の前までたどり着いていた。
「よし、もうすぐ着くな。……で、ルッカはどこで別れるんだ?」
なんとなくわかっていても、出来れば何事も無く終わりたいと願いながら、ルッカに尋ねるクオ。
「……あ、あの」
「お、お願いです!私に協力して下さい!……お姉ちゃんを、探して欲しいんです!」
少し迷うような仕草を見せた後、両手を祈るように組み、クオをしっかり見据えると、そう頼む。
そんなルッカの格好を、ルノが懐かしいものを見るような目で見ている。
クオはあー、やっぱりか……。と呟くと、ルッカを見て告げた。
「その頼み、お前のスキルで解決しないのか?」
「え、え、えぇぇええ!?」
ルッカがクオたちと会ってからで一番大きな叫びが響いた。
「……なんだ?」
これからどういう展開になるか薄々気付きながらも、律儀に返すクオ。
「私も連れて行ってくれませんか?」
「……町までか?」
「あ、はい、おねがいします(とりあえずは……)」
「ま、それ位ならいいか」
「あ、ありがとうございます!」
とりあえずは。
その言葉をしっかりと聞いていたクオは、嫌な予感しかしないな。と、ため息を吐くのだった。
「で、町まで送ってくことになった」
「ルッカです。よろしくお願いします」
「……ルノ。よろしく」
「フィリアです!よろしくお願いします!」
「ああ、そういやまだ名乗ってなかったな、……クオだ」
「はい、クオさんにルノさん、フィリアちゃんですね?覚えました」
自己紹介した4人だったが、フィリアだけそわそわしていた。
恐らく、口調の被る人の出現に危機感を覚えたのだろう。
『儂を忘れないで欲しいのじゃ!』
「え?ええ?ど、どこにいるんですか?」
突如上がった5人目の声に、ルッカが戸惑いキョロキョロと辺りを見回す。
『ここじゃ!主人が腰に下げている刀じゃよ!』
「えええ!?ぶ、武器って喋るものでしたっけ?」
「あー、まあ、こいつは特殊だからな」
「ルッカさん、お兄様について常識なんて通じないですよ?」
「……ん。クオに常識は殆どない」
貶されているような気がするクオは、反論しようとしたが、普段の行いが行いなので、結局目をそらしただけだった。
「え、あ、はい?とにかく、さっきの声はこの武器でいいんですよね?」
頭にはてなを浮かべながらもまあいいか。といった様子で屈んで龍に話しかけるルッカ。
『うむ!儂が時に主人のメイン武器、時に主人の会話に彩りを添えるムードメーカーをやっておる八百万、または龍じゃ!名前はまだ無いがの』
どこぞの猫のような自己紹介をする龍。
「あ、はい。龍さんですね?私はルッカです。少しの間ですがよろしくお願いします」
『……主人。儂かなり混乱させる話し方をしたつもりだったのじゃが……』
珍しく困惑様子の龍。
「……あれだ、大物なんだろ」
龍がからぶったのを見て若干嬉しそうに答えるクオ。
『主人、他人の手柄で喜ぶとは器が小さいの?』
結局煽られるクオ。
話術系のスキルがあったら欲しいと思う今日この頃である。
「お兄様、そろそろ行きましょう?」
「……日が暮れる前に少しでも進む」
「そうだな、じゃあちょっと待っててくれ」
そう言って、オーガナイトを無限収納にしまう。
「ええ!?魔物が……」
またしても驚くルッカに微笑ましいものを見るような目で見るルノとフィリア。
「よし、行くか」
「ん」
「はい」
「常識なんてまやかし……。もう驚きませんよ!」
常識なんてコロコロ変わる。
そう言い聞かせて覚悟を決めるルッカ。
しかし、そんな覚悟も夜テントに入ると、
「な、なんですかこれ!?明らかに外見と中身の広さが違いますよ!?」
部屋の広さに驚き、
「え、トイレ!?ここお手洗いが完備されてるんですか?」
トイレの存在と、
「ひぃやぁああ!なんですかこのトイレ!み、水が!ふぁぁああ!」
その機能に驚き、
他にも、風呂、空調機能etc…
夜通し驚きの声を上げ続けたルッカは、流石に少し喉を枯らしていた。
そして落ち着いた後、
「もう大丈夫です。取り乱したりしません。
人って驚き過ぎると大抵のことは許容出来るんですね……」
と、疲れたような表情で語った。
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驚きもなくなり、ハイペースで進んだおかげで、街の目の前までたどり着いていた。
「よし、もうすぐ着くな。……で、ルッカはどこで別れるんだ?」
なんとなくわかっていても、出来れば何事も無く終わりたいと願いながら、ルッカに尋ねるクオ。
「……あ、あの」
「お、お願いです!私に協力して下さい!……お姉ちゃんを、探して欲しいんです!」
少し迷うような仕草を見せた後、両手を祈るように組み、クオをしっかり見据えると、そう頼む。
そんなルッカの格好を、ルノが懐かしいものを見るような目で見ている。
クオはあー、やっぱりか……。と呟くと、ルッカを見て告げた。
「その頼み、お前のスキルで解決しないのか?」
「え、え、えぇぇええ!?」
ルッカがクオたちと会ってからで一番大きな叫びが響いた。
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