異世界奮闘、チート兄

嚶鳴

悪夢

「……というわけだ……」

「そんなに詳細に覚えててくれるなんて、お姉さんうれしいわぁ!」

肩を落としながら経緯を語ったクオを、嬉しそうに笑い抱きしめようとする漢女キャサリン


それを避けようと咄嗟に体をずらそうとするも、その行動に移ろうとする前に捕まり、頭を撫でられる。

グワングワンと頭を揺らしながら撫でられるクオを、ルノとフィリアは哀れみの目を向けた。

「まあ、とにかく!クオちゃんの妹ちゃんたちなら私も仲良くしたいの。……いいかしらぁん?」

頬を染めながらモジモジと左手を差し出しながら言う漢女キャサリンを見たことでこみ上げる吐き気を必死に堪えるクオ。

しかし、そんなおぞましい光景を見たにも関わらず、ルノとフィリアの2人は笑顔で握手をする。

「……改めて、私はルノ」

「フィリアです!」

「「よろしく(お願いします!)」」

「嬉しいわぁん!私はキャサリンよ。よろしくねルノちゃん、フィリアちゃん!」

少女のたおやかな手をがっしり握る漢女キャサリン

事案である。

「キャサリン……さん」

「キャサリンでいいわぁん。お友達でしょう?」

「ん。……ありがと。キャサリン。聞きたいことがある。いい?」

「もちろんいいわよぉ!」

漢女キャサリンを連れて移動する2人について行こうとしたクオは、

「「(お兄様)(クオ)は待ってて(ください)」」

と言う一言に座りなおさせられた。

漢女キャサリンと一緒にいるだけで精神力をゴリゴリと削られるのだ。

それにルノとフィリアのそんな言葉が加われば、クオになすすべは無かった。

しかし、そのまま待つと嫌な予感がするので、出来るだけ聞き耳をたてる。

「……クオ……さ……どんな……」

「そう……む……おと……がっ……」

「む!?むむな……!?は、は……」

フィリアは何かに驚いたのか、顔を赤くして大きな声を上げたが、途中で声を潜めた。

話し合うこと十数分。

クオの元に戻ってきた3人は、まるで旧友のような雰囲気を漂わせていた。

否応無しに仲良くなったことを理解させられる光景に、クオは絶望の表情を浮かべる。

「……仲良くなったのか……」

どちらかと言えばしまったのか、と言うニュアンスでクオかが言う。

「……ん。キャサリン、先輩」

「……キャサリンさん大人です……」

「流石クオちゃんの妹ちゃんたちねん!2人とも可愛いわぁ!」

3人目を合わせうんうんと頷きあう。

「そうか……」

それを聞いたクオはがっくりと肩を落とした。

「……そろそろ寝る?」

「そうですね。寝ましょうか」

その言葉にクオはビクッと反応する。

「そうね!それじゃあ私はーー」

自分と寝るとでも言うのだろう。

諦めるしかないと、悲壮な覚悟を決めるクオ。

しかし、漢女キャサリンの申し出は、

「やることもあるし、見張りをしておくわねぇ」

意外にも、見張りをかってでるというものだった。

それに驚いたクオを見た漢女キャサリンは、

「あらぁ?クオちゃん、もしかして私と寝られなくて残念なのかしらぁん?……そうしてあげたいのはやまやまだけど……。また今度ね?」

思ってない。つうかやることって夜這いじゃねぇのか?

とでかかった言葉を辛うじて飲み込む。

「……寝る」

「クオちゃん、おやすみなさぁい!」

テントに入ったクオは思った。

今夜は間違いなく悪夢だと。

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