異世界奮闘、チート兄
理由
クオたち2人は、フィリアの案内で、さっきまでフィリアがいた場所へと来ていた。
龍もさすがに空気を読んだらしく、今はルノとクオとフィリアの3人しかいない。
クオは、着いた場所を見回して呟く。
「……なんか、立派だな」
そこは、普通の宿屋の一部屋のような場所だった。
ベッドや本棚、机や椅子もあり、部屋だといってもいいだろう。
しかも、いつの間に持って来ていたのか、フィリア自身の持ち物も置かれており、まるで元々ここがフィリアの家だったと言われても信じられるだろう。
入り口が洞窟だったことから、フィリアも洞穴のような所にいたのだろうと想像していたため、この部屋には驚いていた。
「龍さんが親切で、私にこの部屋を貸してくれたんです」
最初は掃除が大変でしたけど。と、苦笑しながら答えるフィリア。
「……そうか」
「……はい」
お互いに流れる微妙な雰囲気。
「そ、そう言えば!お兄様の喋り方、変わったんですね!」
これから何を言われるかなんとなく分かっていたので、話題をなんとか探して振るフィリア。
「……ああ。……まあ、もうやめようと思ってな、自分を作るのは」
「……そう、ですか」
フィリアは、自分が振った話題が、むしろ話のきっかけになってしまったと少し後悔していた。
「……ま、だからそのついでで聞くし、お前を欺いてた俺が言うのもなんだが。……フィー。お前は本当に満足か?」
「……!」
その言葉に目を見開き、驚きを露わにするフィリア。
「……もちろんです。私は、みんなが自分達が危険に晒されると分かっていながらも、助けようとしてくれたのが嬉しかった。だから、私はもう大丈夫です。……未練はありません」
その言葉に目を瞑るクオ。
「……そうか。……わざわざここまで来たんだ。本音くらい言ってくれるんじゃないかって思ったんだけどな。……この兄にしてこの妹あり。ってやつか」
そう言って苦笑いするクオ。
「そんな!これは紛れも無い本心です!」
そう言って少し怒気をはらんで反論するフィリアの言葉を、クオは。
「嘘だな」
間髪入れずに否定した。
「そんな……ほんとに……」
「いいや、嘘だ」
そう言ったクオは、その根拠を告げた。
「……だってここ。お前の部屋だろ?」
その言葉に驚くフィリア。
「な、んで」
「いや、だって家具の配置少し変えてるだけで、その他の、ぬいぐるみとかの置き方一緒じゃねえか」
たまに家の中を丸々掃除したりしていたクオは、この部屋を一目見て気づいていたのだ。
「それに、ほんとに割り切ってるなら、今俺とルノのことをお兄様お姉様って呼ぶはずねえからな」
「……フィー。お前は、せめてこの部屋を自分の部屋と似せることで最後の繋ぎにしてたんだろ?……少し配置変えたくらいじゃ騙せねえよ。お前より俺の方が人を騙すのにかけては先輩なんだ」
「それに、今まではあんなだったが……」
そこまで言ったクオは、自嘲気味に苦笑をすると、
「お前の兄貴のつもりだったからな」
「私は……私のせいでみんなが危ない目に……」
「ま、そんな事言ったら俺は毎日森潜ってるからなあ」
「……私は……。血の繋がっていない、偽物だから……!」
「フィー」
そこまで言ったフィリアの言葉を、クオが遮る。
「まあ……。確かに、兄妹では無かったな……。俺が壁作ってたんだから」
その言葉に、やはりとショックを受けるフィリア。
「でもな、これからは隠したりせずにフィーとは接するつもりだ。それで俺たちが兄妹になるかならないか、わからないが。……少なくとも、お前がいない事には分からないままなんだ」
そこで一旦言葉を切ると、
「……それが分かるまででいいから、まだ俺たちといないか?」
そう言った。
柄にも無い事を沢山喋った所為で、若干顔が赤くなっているクオ。
しかしそれは、クオが本心から言っているという何よりの証拠だった。
「でも、私……」
だが、フィリアもまだ揺れていた。
後何かきっかけがあれば。
そう思うクオだったが、既に思ったことは全て言った後だ、付け足す言葉はなかった。
悔しそうにするクオの隣。
今まで黙っていたルノが口を開いた。
「……フィア」
「……大丈夫。……私も血は繋がってない。……でも、フィアは私を姉って思ってくれた。……私も、フィアは大切な妹で、家族」
「……だから、今のクオとフィアなら、きっと、素敵な家族になれる」
「……それに、兄妹じゃかったことは、悪い事ばかりじゃない」
そこで言葉を区切ったルノに、フィリアは首を傾げる。
「……だって、チャンス。だから」
「………!!」
クオはその言葉の意味が分からず、先ほどのフィリアのように、不思議そうな顔をしていたが。
フィリアには分かったようで、俯いた顔は赤く染まっていた。
「……私も手伝う。3人で、ずっと一緒」
そこまで言われて、フィリアはゆっくりと顔を上げる。
「……分かりました。ルノお姉様。頑張りましょうね?」
「……ん。お姉さんに任せる」
まだ赤さの消えていないフィリアの言葉に、ルノは胸を張って答える。
2人でうなずき合うと、フィリアがクオの方へ向き、
「……お兄様。今後ともよろしくお願いします」
「……あ、ああ」
そう告げると、フィリアとルノの2人でクオの手を握り、歩き出そうとする。
理由は分からないが、ルノには敵わないな。
そう思いながらも、クオは2人に促されるまま歩き出した。
龍もさすがに空気を読んだらしく、今はルノとクオとフィリアの3人しかいない。
クオは、着いた場所を見回して呟く。
「……なんか、立派だな」
そこは、普通の宿屋の一部屋のような場所だった。
ベッドや本棚、机や椅子もあり、部屋だといってもいいだろう。
しかも、いつの間に持って来ていたのか、フィリア自身の持ち物も置かれており、まるで元々ここがフィリアの家だったと言われても信じられるだろう。
入り口が洞窟だったことから、フィリアも洞穴のような所にいたのだろうと想像していたため、この部屋には驚いていた。
「龍さんが親切で、私にこの部屋を貸してくれたんです」
最初は掃除が大変でしたけど。と、苦笑しながら答えるフィリア。
「……そうか」
「……はい」
お互いに流れる微妙な雰囲気。
「そ、そう言えば!お兄様の喋り方、変わったんですね!」
これから何を言われるかなんとなく分かっていたので、話題をなんとか探して振るフィリア。
「……ああ。……まあ、もうやめようと思ってな、自分を作るのは」
「……そう、ですか」
フィリアは、自分が振った話題が、むしろ話のきっかけになってしまったと少し後悔していた。
「……ま、だからそのついでで聞くし、お前を欺いてた俺が言うのもなんだが。……フィー。お前は本当に満足か?」
「……!」
その言葉に目を見開き、驚きを露わにするフィリア。
「……もちろんです。私は、みんなが自分達が危険に晒されると分かっていながらも、助けようとしてくれたのが嬉しかった。だから、私はもう大丈夫です。……未練はありません」
その言葉に目を瞑るクオ。
「……そうか。……わざわざここまで来たんだ。本音くらい言ってくれるんじゃないかって思ったんだけどな。……この兄にしてこの妹あり。ってやつか」
そう言って苦笑いするクオ。
「そんな!これは紛れも無い本心です!」
そう言って少し怒気をはらんで反論するフィリアの言葉を、クオは。
「嘘だな」
間髪入れずに否定した。
「そんな……ほんとに……」
「いいや、嘘だ」
そう言ったクオは、その根拠を告げた。
「……だってここ。お前の部屋だろ?」
その言葉に驚くフィリア。
「な、んで」
「いや、だって家具の配置少し変えてるだけで、その他の、ぬいぐるみとかの置き方一緒じゃねえか」
たまに家の中を丸々掃除したりしていたクオは、この部屋を一目見て気づいていたのだ。
「それに、ほんとに割り切ってるなら、今俺とルノのことをお兄様お姉様って呼ぶはずねえからな」
「……フィー。お前は、せめてこの部屋を自分の部屋と似せることで最後の繋ぎにしてたんだろ?……少し配置変えたくらいじゃ騙せねえよ。お前より俺の方が人を騙すのにかけては先輩なんだ」
「それに、今まではあんなだったが……」
そこまで言ったクオは、自嘲気味に苦笑をすると、
「お前の兄貴のつもりだったからな」
「私は……私のせいでみんなが危ない目に……」
「ま、そんな事言ったら俺は毎日森潜ってるからなあ」
「……私は……。血の繋がっていない、偽物だから……!」
「フィー」
そこまで言ったフィリアの言葉を、クオが遮る。
「まあ……。確かに、兄妹では無かったな……。俺が壁作ってたんだから」
その言葉に、やはりとショックを受けるフィリア。
「でもな、これからは隠したりせずにフィーとは接するつもりだ。それで俺たちが兄妹になるかならないか、わからないが。……少なくとも、お前がいない事には分からないままなんだ」
そこで一旦言葉を切ると、
「……それが分かるまででいいから、まだ俺たちといないか?」
そう言った。
柄にも無い事を沢山喋った所為で、若干顔が赤くなっているクオ。
しかしそれは、クオが本心から言っているという何よりの証拠だった。
「でも、私……」
だが、フィリアもまだ揺れていた。
後何かきっかけがあれば。
そう思うクオだったが、既に思ったことは全て言った後だ、付け足す言葉はなかった。
悔しそうにするクオの隣。
今まで黙っていたルノが口を開いた。
「……フィア」
「……大丈夫。……私も血は繋がってない。……でも、フィアは私を姉って思ってくれた。……私も、フィアは大切な妹で、家族」
「……だから、今のクオとフィアなら、きっと、素敵な家族になれる」
「……それに、兄妹じゃかったことは、悪い事ばかりじゃない」
そこで言葉を区切ったルノに、フィリアは首を傾げる。
「……だって、チャンス。だから」
「………!!」
クオはその言葉の意味が分からず、先ほどのフィリアのように、不思議そうな顔をしていたが。
フィリアには分かったようで、俯いた顔は赤く染まっていた。
「……私も手伝う。3人で、ずっと一緒」
そこまで言われて、フィリアはゆっくりと顔を上げる。
「……分かりました。ルノお姉様。頑張りましょうね?」
「……ん。お姉さんに任せる」
まだ赤さの消えていないフィリアの言葉に、ルノは胸を張って答える。
2人でうなずき合うと、フィリアがクオの方へ向き、
「……お兄様。今後ともよろしくお願いします」
「……あ、ああ」
そう告げると、フィリアとルノの2人でクオの手を握り、歩き出そうとする。
理由は分からないが、ルノには敵わないな。
そう思いながらも、クオは2人に促されるまま歩き出した。
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