なんか伝説の剣の付喪神になっていたので勇者と共に魔王倒します。

コモレビ

九 やはり俺の異世界生活は間違っている

まあ、大方予想はついていたのだ。
ステータスだってあんなに馬鹿げているし。勇者と考えるのが元地球人のアニヲタとして当然のことのはず。
強いといえばの大賢者さんは別の話です。
フィリアたん曰く、あの人は鬼強いらしいからね。
会ったこと無いけど、会いたくも無いかな。
 
「ふぅ、、。で、これからどうする?魔獣が中々見つからないけど。探すんでしょ?」

雑談も程々に、とでも言いたげな表情で俺に問うてくるフィリアたん。


うん。そうだね。
じゃあ、進もうか!
俺とフィリアたんの新婚旅行だ!


「気持ち悪いわね、、。」

フィリアは露骨に嫌がっているのだが、そんなことは気にしない。

嫁が何を言っているか分からない件!

そして、入口とは反対方向に俺とフィリアは歩き出したのだった。


・          ・         ・


「それにしても、何もいないわね、、、。」

どれ程歩いただろうか。
進むにつれ両壁に立て掛かっていた松明の火が次第に灯を減らしていっている。
俺の「視覚 Lv.2」でもフィリアたんの顔がギリギリ見えるか見えないか程度。
フィリアはもう何も見えていないのかも知れない。


「馬鹿にしないで。辛うじて見えているわ。私にもスキル「視覚」はあるもの。まだLv.1だけどね。」


ふっ。人族最高峰の強さを誇るフィリアたんでもその程度か!


「うるさいわね、、。スキルの獲得やレベルがあがるって相当の時間を要するものなのよ。あなたが規格外なだけ。神なのかなんなのか知らないけど。」


へぇ。相変わらず凄いんだな、「最高神の加護」は。
ありがとうアマちゃん!

今更ながらアマちゃんに感謝の意を表していながらも、俺達は足を止めず更なる奥地を目指している。



暫く無言の状態が続く。
それにしても、無音。
水漏れの音や魔獣の鳴き声さえも認知することが出来ない。

聞こえるのはフィリアたんの足音だけだ。


また暫く進んだのだが、遠くに重厚な扉が見えてきた。開くことさえも時間を必要としそうな重量感のある扉だ。
恐らくフィリアたんにはまだ見えていないだろう。

フィリアたーん!
前にいかにもボス部屋の扉っぽいモノがあるよー!


「ホント!?まだ、魔獣とも戦っていないのにいきなりボスって、、。あ、私にもやっと見えてきたわ。どうやらここが最奥地みたいね。」

フィリアたんも扉を確認出来たらしく首肯する。


どうやらホントにボス部屋らしい。
いやキツくないすか。まだ魔獣っ子一匹倒してもいないのにいきなりボスとかクソワロタなんですけど。
いや、怖すぎるでしょガクブル。

魔王を倒すって聞いた時よりも俺を蝕む恐怖。何か、間近にあるリアルな恐怖ってホント凄いわ。


〈スキル「恐怖耐性 Lv.1」を獲得しました。〉

おお、スキル獲得した。
フレイヤ様のボイスも聞くことが出来たし、このスキルのお陰もあってか心做しか恐怖が収まった気がする。


そして思ったより近くにあったのか案外とすぐに扉の前へと辿り着く。


これ、、、。どうします?


「そうね、、。この洞窟、驚く事に一本道だったし。後ろには追手がいるしね。仕方が無いけれど、この扉を開くしか選択肢は無さそうね。」


ですよねー。
じゃあ、俺のことは全力で使ってね!
剣だし!伝説の剣だし!盾にしていいよ!
つおいはずよ!

「いや、、。この洞窟ってまだ未踏破状態なのよね、、。そんな洞窟のボスを初めて使う武器で戦うなんて危険だわ。」


え?じゃあ、他に武器あるの?


「うん。これが無かったら、あなたが封印されていた地下室まで来れてないわ。」

そう言いながらどこからともなく銀色に光る剣が現れる。

え!?今のどうやったの?


「空間魔法よ。空間に透明なカバンみたいなものがあって、出し入れできるのよ。凄い便利よ。」


へー。魔法ってすごいんですねー。(小並感)
まあ俺もいずれ、、、ね!


「すごい便利だからあなたも、、、、、ってええええ!?」


ギィィ。


雑談が多すぎてイライラしているのかどうかは分からないが、扉が軋む音を上げ、開いた。

自然と開いたように見えたが、きっと魔法だろう。


《何をしている、、。早く入れ。》

重々しい声で入るように催促する。
きっと念話を使っているのだろう。お馴染み脳に語りかけてくる感じ。


((´д`)) ブルブル…

〈スキル「恐怖耐性 Lv.1」がレベルアップしました。〉
〈スキル「恐怖耐性 Lv.2」がレベルアップしました。〉
〈スキル「恐怖耐性 Lv.3」がレベルアップしました。〉、、、、、

「恐怖耐性」のレベルが爆上がりしてるが、はたまた怒涛の萌え声ラッシュが続いているが、そんなものに気をかけている余裕も無くて。

恐る恐るといった様子で開いた扉の奥を覗く。

もちろんフィリアたんも一緒に。



そこには、何か黒い龍がいらっしゃった。




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