トランセンデンス・ストーリー

Meral

魔王編 第四話 素顔

《エリザベス》

私は今日この日勇者召喚の儀で召喚される異世界の方々にこの世界の説明やこの国などの説明をするという命を受けた。そして、本当は自分の魅力を活かし異世界の男達を魅了してうまくコントロール出来るようにと自分一人で考えた作戦を決行する日だ。

「よし、頑張って勇者様達を私の虜にしてやりますわ。」

エリザベスは気合い十分だった。そして、勇者召喚の儀が行われ異世界から勇者が召喚されたと聞きエリザベスは急いで自分の父であるメイビス王の元へと向かった。

「お待たせしました。お父様。」
「ああ、よく来たな。とりあえず勇者達が来るまでワシの隣にいなさい。」
「分かりました。」

それからしばらくして、

「陛下此度の勇者召喚の儀にて召喚されました勇者達を連れてまいりました。」
「うむ、通すのだ。」
「御意に。」

(いよいよ私の出番ですわね。と言ってもこの私なら、何の心配も要らないでしょう。)

そして、勇者こと光達が王の間に入るとアニマが勇者達にメイビスを紹介し今回の勇者召喚で本物の勇者が現れたことを伝えると。

「っ!それは本当か!」

メイビスが自分の座っている玉座から立ち上がらんばかりに驚きを見せた。そして、メイビスは確認のためステータスを確認する。エリザベスもついでにチラッと見た。

(!!!これは、本当に勇者様だわ!しかもLv1なのにこのステータスは…。これはかなりの上玉ね。)

エリザベスは心の中で不敵に笑っていた。それから、勇者達にエリザベスの事か紹介されると。

(来た…!ふっ、ここで、決めてやりますわ私の魅力で男全員を魅了してやりますわ。)

そう意気込んでエリザベスは前に出て自己紹介をし、光達に最高の笑顔を見せた。

(ふふふ。これで、勇者達は私の虜ですわ。)

エリザベスは勇者達全員を落としたと自身があった。だが、

(!?どういう事ですの!?私の魅力に一切目を向けないなんて!なんて愚かな!)

エリザベスは一人の男を見てそう心の中で叫んだ。

(何としてでも彼も私の虜にしてやりますわ。)

それからエリザベスは翌日光達と訓練場で少し会話を弾ませて距離を縮めてから、王の執務室へと向かった。そして、王の執務室までそこの廊下を左に曲がる所まで来ると何らかの言い合いが聞こえた。エリザベスはそっと覗くと、

(あの人は確かレイ様?でしたわね。私の魅力に気付かない残念な人。)

エリザベスは訓練場で光達からレイについて少しだけ話を聞いてきていたので名前もしっかりと覚えていた。どうやら王の護衛に捕まっているみたいだ。ここはスッと助けに入って少しでも自分を見てもらおう。そう思いエリザベスはレイを助けレイは感謝をしたがエリザベスの魅力にやられてしまう様子は無かった。

(どうしてこの方は私の虜にならないのでしょうか?ですがお父様に許可を貰えれば何とかなりますわ。)

エリザベスは昨晩考えたレイを落とす作戦の決行とその内容で少し王である父に許可を得たく執務室へと来ていた。そして、先にレイが用件を言うがそれがとても信じられないものだった。

(?、!?、!?!?。ど、ど、どういう事ですのーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!たった一晩で3000冊!?更にあの古代書物の解読も出来るですってーーー!一体何なのですか彼は!)

エリザベスは心の中で叫び過ぎて疲れてしまった。
その後はレイにスキルのことを教えて王に関係者以外閲覧禁止の場所である書物の閲覧を許可して、レイは部屋から出ていった。

それからすぐに、エリザベスは王に自分の用件をつたえる。

「彼は私のこの魅力に全く興味を示さないので、私が彼を観察しうまく私の虜にしてやろうかなと思っているのですわ。」
「なるほど。まあ、好きにやるといい。」

そして、エリザベスはレイを追って部屋を出た。

「まず、あの人はどんな顔なのかもよく分かりませんでしたわね。」

そう、その通り。レイは普段前髪が少し目元にかかっていて顔がよく見えないのだ。なのでクラスメイトでもレイの素顔を知っているのは一人しかいない。

「顔のことよりもまず何処にいるのか探さなければなりませんわね。おそらく書物庫だと思うのですけど。」

エリザベスは書物庫へと向かった。

「相変わらず広いですね。さて、あの人はいるかしら。」

そう言ってエリザベスは書物庫を探し回る。

「……………いませんわね。どうしてかしら?」

何処を探してもレイが見つからずどういう事かと頭を悩ませていると、不意に書物庫の入り口に人影が見え咄嗟に身を隠した。

(……!あれはレイ様ではありませんか。何処に居たのかは分かりませんでしたが結果オーライですわ。さあ、私に全てをさらけ出しなさい!)

それからレイは本読んだり魔力操作の特訓をしたりしていた。

(どういう事ですの?何もかもが怖いくらいに早い。あんなに早くページをめくってしっかりと読めてるんですの?それに魔力操作もあの上達具合はもうその辺の魔法使いでは敵わないくらいに上達している。一体なにが起きているんですの。)

エリザベスは今目の前で起こっていることに全く理解ができなかった。自分では読めずしかもかなり分厚い本を数十秒で完読し、更に自分が知らない魔法を平然と使っている。あの男に動揺せざるを得なかった。

(そもそもあの魔法には属性が無いように見えますわ。どうやってあんな事を?)

エリザベスが不思議に思っていると、レイはいきなりエリザベスがいる場所とは真逆の本棚を凝視した。

(あの本棚になにかある?)

エリザベスもレイの反応で本棚に何かがあると予測した。そして、レイはその本棚へと向かう。

(何をするつもりですの?)

エリザベスが不安に思っていると、突然本棚が光りだし気付くと本棚が消えて道が現れていた。レイはその道を進んで行った。

(何なのですかあれはーーーー!?)

エリザベスはパニックを起こしていた。

(いきなり本棚が光ったと思ったら本棚が消えて道が……。この先に何があるのか王女として確かねばなりませんね。)

それらしい理由を考えてからエリザベスはレイの後を追う。そして、ある一つの部屋らしきものの入り口が見えた途端目が見えなくなるほどのフラッシュに襲われた。だが、すぐにそれはおさまり何が起きたのか確かめようと走ってその部屋へと向かうと。

「一体何が起きたのですか!?」
「ん?王女様?」
「へあ!?」

エリザベスが部屋なかを見渡して一人の男見るとそこには今までに見たことが無いくらいの神さえも惚れてしまいそうな美青年がいた。
________________________
レイが自分の口調の変化に気付き状況の整理をしていると。

「一体何が起きたのですか!?」

いきなりエリザベスが部屋に入ってきた。予期せぬ来客に驚き。

「ん?王女様?」

と返事をすると、

「へあ!?」

エリザベスが変な声を上げて驚いた。そして、レイはやってしまったと心の中で叫んだ。
 レイは昔、普通の髪型の時色んな同級生や年下、果てには年上しかも最高58歳の有名女社長にもナンパをされた事がある。レイは何となく顔が原因かな?と思って前髪を顔の目元にかけることで顔を隠していたのだ。
口調も少し変えて違う人に見えるようにした。だが、前髪が晴れて素顔が現れると自分でも無意識の内に本当の喋り方になってしまうのだ。その事をレイは把握していたので、今回魔導書を開けたあと自分の口調が戻ってる事に気付きまずいと思っていたら、エリザベスが部屋に入ってきてしまった。

「ど、どうしたのかな王女様?」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「お、王女様?」

レイが顔を近づけると、

「・・・は!はひ!な、何でごじゃいましょうか!」
「落ちついてよ。ほら、深呼吸。」
「は、はい。スゥーーーーーハァーーーーー。落ち着きしたわ。」

そして、エリザベスは下に向けていた顔を上にあげると。

「だ、」
「だ?」
「誰ですかーーーーーーーーーーー!」
「えぇ!?落ち着いたんじゃなかったの!?」
「十分落ち着きましたわ。」
「じゃあ何で?」
「なんでと申されましても私はあなたの事なんか知りません。一体何処から来たのですか?そして、レイ様は何処へ行ったのですか!」
「え、えーっと。まず、最初にレイは俺だよ。」
「・・・・・!?!?そんな嘘を言っても信用なんかしませんからね。私第一あなたに見覚えがあるありません。」
「じゃあこうしたら分かるかな?」

レイは散乱した前髪を手で抑えて目元を隠した。

「どうかな?」
「そんな・・・レ・・イ様?」
「その通りだよ。そんで様とか付けなくていいからね。」

やっと理解してもらったと思ったレイは手を離すと髪がまたさっきの状態に戻り、

「!?!?!?あなたは誰ですか!」
「なんでそうなるの!?」

レイは同じ説明を数え切れないくらいした。

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