ゲーム持って異世界へ

ユリカ

◆◆宴会だぁ~

笑い声、ガンっと木のジョッキがぶつかる音、料理を作る音がギルドの中と外で響き渡る。
「よっ親父さん、あんたも呼ばれてたんだな」
「おぉハヤトか!料理人を臨時募集してたから参加したんだよ。ほら俺のところの宿冒険者多いだろ?感謝も込めてなガハハッ!よっと…あと少しで出来上がるが持っていくか?」
「勿論!親父の料理は美味いからな!それと、またブラックベアーの肉焼いてくれるか?」
とアイテムボックスからブラックベアーの肉(ギルドで解体してもらった物)を机にドンっ取り出す。
「いいぞ!それで何にする?」
「そうだな……串焼きが今は食べたい。残りは親父の好きな料理でいいぞ」
「了解だ!串焼きはすぐ作るからちょっと待ってろ」
と親父さんは今作っていた料理をサッと仕上げ、大皿に盛り、それを近くにいた受付嬢に渡した。
今は受付嬢がフル稼働しているらしい。(エミリさん情報)
おっと忘れるところだった…
「味付けにはこれ使ってくれ」
と香辛料類をアイテムボックスから取り出す。
「ほんとにこれを使っていいのか?」
と香辛料類を一つ一つ匂いを嗅いだり、少量手に取ってみたりと親父さんは確認しながら問いかけてくる。
「元々、親父さんに美味い飯作ってもらう為に買ったからな。好きな様に使ってくれ」
と俺は薄らと笑う。
親父さんは喜んでそれらを持って後ろで作り始めた。
楽しみだなぁ~
これは余談だが、異世界お馴染みの香辛料が高いってのは本当だった……まぁそこそこ稼いでいるから余裕だったが…って誰に自慢してるんだ(笑)
それにしても光一達は居ないな〜王城でも宴会ぽいのしてるのか?
「お~ぉ?ハヤトじゃねぇ〜かぁ〜」
とスタークがジョッキ片手に名前を呼んでくる。完全に酔っ払ってるし……
「パーティーの奴らと飲んでたのか?」
「まぁそんなとこだ!ガハハ!所でハヤトはこんな所で何してんだ?」
「親父さんに頼んだメニューが出来るのを待っているんだよ。」
「そう言えばめっちゃいい匂いが…」
とスタークは匂いを嗅ぐ。
なんたって俺達の目の前で親父さんが串焼きを焼いているからな!そりゃあいい匂いするに決まっている。
他の冒険者や動き回っている受付嬢達もチラチラとこっちを気にしている。
“そろそろ焼けるぞ~”と親父さんが肉の焼き加減を確認しながら声をかけてくる。
「よし…!出来たぜ!」
その言葉と共にドンっと置かれる。皿の上には綺麗に盛られた串焼きから誰から見ても焼きたてだと分かる湯気と、とても香ばしく食欲がそそる匂いが漂う。
「ゴクン……めっちゃいい匂い……」
「なぁ……ハヤト……めっちゃ美味そうなんだが……ゴクン…」
横から串焼きをゴクンっと唾を飲み込み涎を垂らして見てくるスターク。
「では……ハム……ハム…ゴックン……うっまぁッ!めっちゃうっまぁッ!」
噛み締めるごとに肉汁が溢れ出て、香辛料と絡まりあう。止まらん!
串焼きを無心で頬張る俺にスタークと匂いにつられて見に来た冒険者の視線が集まる。
「俺にも……一口…くれっ!いやください!お願いします!」
「いいぞ、ほれっ」
と串焼きを一本スタークに渡す。
「う……うんめぇぇぇぇぇ!なんだこれ!」
スタークはそう言うと残りの肉の塊を一口、また一口と凄い勢いで食べていく。
「そうだろうそうだろう!美味いだろ!」
と親父さんも満足にうんうん言っている。
『ゴクリ……』『ジュルリ……』
周りを見渡すといつの間にか集まってきた冒険者に囲まれていた。
まぁ…こうなるよな…
「親父さん串焼きをもっと作ってくれるか?視線が……痛い(笑)」
「味は普通になるがいいか?」
「あぁそれでいいだろ。俺のだけは残りのメニューも作ってくれよ?」
「任せとけ!嫁さんと娘呼んでくるから待っててくれよ」
と親父さんは屋台を出て家に呼びに行った。
「ハヤトということは?」
「仕方がないからここにいる奴らにもこの串焼きを振る舞うんだよ」
『うぉおおおおぉぉおおおお!!!』
と俺とスタークの会話を聞いたもの達から歓声が上がる。
うっさ!?めっちゃ五月蝿!
あまりの音の大きさに耳を塞ぐ俺。
「その代わり取り合いで喧嘩した奴らには食わせねぇからな!」
これで痛い視線は無くなるだろ……まぁブラックベアーの肉は丸々一体分あるからいけるだろ
親父さんには頑張って貰わないといけないが(笑)
その後は奥さんと娘のシーを連れて戻ってきた親父さんは串焼きと俺のメニューを次々に作っては奥さんとシーに渡し、運んでを繰り返した。
他のメニューもめっちゃ美味かった。
ご馳走さんでしたm(*_ _)m





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