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幻想妖華物語

ノベルバユーザー189431

幻想妖華物語~第三話.マガモノ-2~

本堂から飛び出てきた禍霊夢は、こちらに直接殴りに来ることはなく、影都と舞狸の周りを囲むようにして走り回っている。
どうやら、戦闘の知識は身に付けているようだ。
二人はすぐに動くことはせず、禍霊夢の出方を窺う。
突如、禍霊夢は急停止し一気に跳躍。目にも止まらぬ速さで二人の背後に移動し、距離を縮めてきた。
影都は振り向くよりも先に背面に天鉄刀を通す。次の瞬間には禍霊夢がお祓い棒を使って打撃をしてきた。それは天鉄刀によってキィンッ、と高い音がして弾かれた。その衝撃をバネに影都は身を地に転がした。と同時に、舞狸が地双残槍を片手に回転を加えた横薙を禍霊夢に放った。禍霊夢はそれを跳んで回避する。
影都は転がりながら霊圧を込めた斬撃を禍霊夢に向けて放つ。弧を描いた斬撃は真っ直ぐ禍霊夢に向かったが、霊夢を取り巻いていた禍煙がそれを呑み込んだ。
舞狸は空中の禍霊夢に向かって飛び出すと、禍霊夢の胸に向けて地双残槍を一閃。しかし、禍霊夢は空中で身体を翻させて軽くかわす。
それを見た舞狸は空を蹴って影都の側に降り立った。
「なんだよアレ……人間じゃねえだろ……」
「……素早くて、面倒」
影都と舞狸は愚痴を吐いたが、まだ諦めてはいなかった。
「作戦Bだ。舞狸」
「……りょー、かい」
ここで、一つ説明することがある。この天鉄刀《幻星》についてだ。
この刀には能力がある。
〝星の恩恵を受ける程度の能力〟
この刀には(太陽系の)惑星の力を受け、扱うことが出来る……最悪、星を壊しかけない恐ろしい力を持つ。
例えばこうだ。
影都は、天鉄刀を逆手に持ち、半時計回りに回す。そして

「抑水【時ノ抑流】」

スペルを唱える。この瞬間から時間が通常の60分の1の流れになる。つまり、影都と舞狸が60秒過ごすのに対し、禍霊夢は1秒にしか感じないのだ。
しかし、悠々としているわけにもいかない。攻撃の際は効果が解ける。お約束なのだ。
舞狸はすぐさま禍霊夢の背後に回り、攻撃を繰り出す。『そして時は動き出す』(元に戻る)
それでも禍霊夢の反応は速く、瞬時に振り向いて右手の裏拳を叩き込む。しかし、
「!?」
「……残像、だ」
そこに舞狸はいない。あったのは数枚の葉っぱ。この瞬間に舞狸は、能力〝六感を欺く程度の能力〟で禍霊夢の視覚を欺き、禍霊夢の裏をかいた。
舞狸は地双残槍で禍霊夢の四肢を強く殴打。そして背中に一閃。霊夢自体には傷は付かないが、中のマガモノには効果がある。
「ぐ……っ!」
地の底から出るような呻き声を出した禍霊夢は地面に叩きつけられ、その場を転がった。
その先には……まだ気絶していたチルノ(with カエル)が転がっていた。
「あ、⑨(チルノ)!」
それを見た影都は禍霊夢とチルノの間に入り込み、禍霊夢の進行を足で受け止める。しかし、思ったより衝撃が強くバランスを崩してしまった。
さらに不運が重なり、ポケットに入れていた小鈴から貰った本が飛び出して、チルノの脇のカエルに被さった。さらに、それを回収しようと身体を反転させると
「あうっ」
足元のチルノを足蹴りしてしまい、チルノ+カエル+本は石段の下へ落ちていってしまった。
「あ…………」
不運に不運が重なり続けた結果がこれである。
心の中でチルノ、すまん。と謝りながら目の前の禍霊夢と対峙する。
ユラユラと立ち上がった禍霊夢は距離を置き、影都と舞狸の間に佇む。
奥にいる舞狸とアイコンタクトを交わすと、足に力を入れて飛びかかろうとする。
その瞬間だった。
……シャバドゥビダッチヘンシーン
―――ズゥン……ズンッ
地面が微かに揺れ始めた。それは規則正しくなっていて、どんどん強くなっている。まるで巨人が歩いているような……それは石段を昇ってきている。
危険を察知した影都は、禍霊夢の頭上を一蹴りで移動して舞狸と並ぶ。
遠く離れていても強い圧力を感じた。強者の気配だ。
ゆっくり、ゆっくりと石段を昇ってきたのは……

「誰だァ?あたいをバカって言ったやつはァ……」
筋肉ムキムキボディのチルノ……ではない何か、だった。

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