幻想妖華物語

ノベルバユーザー189431

幻想妖華物語~第一話.変わる自分-2~

男達が襲いかかってき、しばらくして、

 「こいつら………カスだ………」
 「………弱い」
 俺と舞狸は、眠るように気絶しているチンピラの男共の真ん中で、背中合わせをして立っていた。
 男らの動きは実に単調だ。突っ込んできて斬りかかる、それだけの動きだ。その程度であれば半歩踏むだけで降り下ろされる刀を避けることが出来るし、予備動作が大きく斬撃を見抜きやすい。よくそれでチンピラをやって来たな、と思うほどに。
 舞狸が足下に鉄パイプを振れば、突っ込んでくる男は転び、後頭部に打撃を入れられる。
 俺が挑発すれば、考えもなしに斬りかかってきて、空振り、木刀により鳩尾強打。
 見るに堪えない雑魚っぷりだった。これならば、近所のヤンキー達のほうがまだ強いほうだ。
 「………このままじゃ、腕が鈍る」
 「準備体操レベルって感じだよこいつら………逆に心配になってくる」
 「く………そ、てめえ、ら………」
とそこで、先程リーダーと呼ばれていた男が、うつ伏せながら力なく呻き声をあげる。
 「あ、まだ意識あったか」
 「………タフな人」
 「くっ………一体何が目的、なんだ?………金か?」
 「いや、絡んできたのはそっちでしょ。じゃあ………そうだな。この森から人のいるところまで案内してくれ。ところで、ここは日本か?」
 条件で人里への案内、質問にここはどこだか聞いた。すると、返ってきたのは意外な答えだった。

 「………案内ぐらいなら出来る。だが、にほん?知らねえなそんなところ………ここは《幻想郷げんそうきょう》だ」

 「幻想郷、だと………?」
 自分の知らない地名?が出てきて、俺と舞狸は首を傾げた。
しかし何故だろう。どこかで聞いたことがあるような感じがするのだが………?
 「まあそれは後でいいか。じゃあ道案内よろしく頼む」
 「………ああ、仕方ねえな」
 俺に促されて、リーダー男は歩を進めようとした。が突然、舞狸がその前に立ちはだかる。
 「な、なんだ………嬢ちゃん」
 舞狸は何も読み取れない目を男に向けて言う。
 「………あなたの武器、刀とかナイフ、それを渡してほしい」
 「なにっ?!」
リーダー男は心底驚いたように目を見開いた。
 「ああ、案内していると見せかけて奇襲されないようにするためか?」
 「………それもある。それに、もしさっきみたいのに対抗するために、ちゃんとした武器がほしい」
 「ほー、よく考えていらっしゃる。流石儂の孫」
 「………になった覚えはない。味方だけど敵。そんな関係」
 「なにその複雑な関係」
 俺としては、恋人という関係まではいかなくとも、許し合える親友という関係が望ましいと思っていたのだが。味方であり敵………ライバルのような関係か。舞狸を口説き落とすにはまず、ギャルゲー(学園編)の堅物生徒会長(女)を落とす必要がありそうだ。
おっと、一瞬話が脱線してしまった。イケナイイケナイ。
では本題。
 「というわけなんだリーダーさんや。大人しく武器を渡してくれたら嬉しい」
 「な、何言ってんだてめえ!そんなこと出来るわけね―――」
 「出来なかったら舞狸の鉄パイプの打撃という味を噛みしめることに」
 「………うん(ブンブン)」
 「わかりました言う通りにします兄貴だからそれだけはご勘弁を(ガクガクブルブル)」
リーダーのプライド(笑)
………リーダーチョロい
俺と舞狸は心の中でリーダー男を評価した。

 森の中を移動中、俺は今起こっていることを脳内で整理してみる。
・『人が突如行方不明になる』という以来を承けて現場に向かった。
・その現場には誘拐という痕跡もなく、事故という可能性も低い。
・舞狸が確認しようと湖畔に入ったが、その後何故か湖畔に引き込まれてしまった。
・湖畔の中で光る魔法陣のようなものを見た。
・気がついたら見知らぬ森の中に………
一体何が起こったのかはわかったが、あまりに現実味がなく、色々起こった今でも信じていると言えるかどうかも怪しいほどに、今を疑っている。夢ではないかと思い、試しに頬をつねってみたが普通に痛かった。
さっきリーダー男から聞いた『幻想郷』とはこの世界のことを言うらしい。あまり詳しいことは聞いていないが、この世界では、人間だけでなく妖怪、妖精、神が存在するという。
しかし、そのことに関しては驚くことはなかった。なぜなら、
 「………あ、紋白蝶もんしろちょう
 今隣にいる舞狸こそが、人にばけている妖狸だからだ。
そもそも、俺は普通に武士の卵としてこれからを生きていくつもりでいたのだが………

舞狸と出会うことで、その日常が崩されたのだ。

あれは今から8年と少し前………
「き、君は、誰………?」
 「………名前はない。………あなたがつけてくれる?私の、名前」
その会話から始まった、俺と彼女の種族を越えて交差した物語。

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