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幻想妖華物語

ノベルバユーザー189431

幻想妖華物語~第二話.導き-2~



数時間後。俺と舞狸は手一杯の銭が入った袋を持って、賭博屋を出た。
 「ふー。これにて億万長者なり~どやぁ」
 「……約束、忘れてない?」
 「わかってるさ。昼飯のつもりなのに、もうおやつ時だよ……」
 賭博の結果、俺と舞狸の圧勝に終わった。元々強運の俺は丁半、闘鶏などで荒稼ぎし、ポーカーをしていた舞狸は完全たるポーカーフェイスを見せ付けて圧勝。
 賭博屋店主からは、
 「もう二度と来んな!」
とまで言われる始末である。

 時刻はおそらく午後3時。昼飯を食べていない俺たちは、人里に戻り、団子屋を探した。
 目的の場所は歩いて5分程度のところにあった。
 「すいませーん。みたらし団子6本くださーい」
 「あいよっ」
 店主が団子の準備をしている合間に、俺と舞狸は表の席に座った。
 「いやーにしても、案外ギャンブル活けるんだな俺」
 「……日本に戻ったら、絶対にしないで」
 「それはもちろんだ」
 現代日本では許されていない賭博には、もう手を出すまい。
 「……そういえば、一体何を賭けていたの?」
 「んー?侑廻舞狸の貞操」
 「……ふざけないで(シュキーン)」
 「すみませんでした」
 例のチンピラから貰った(盗った)ナイフを、俺の首筋に添える舞狸。一瞬その目に迷いが無かったような気がした。まぁ負けることなく勝ち進んだからいいじゃんねー。
 「てか、そのナイフやら剣やらを売って金にすればいい、って言ってたじゃん」
 「……!そういえば、そうだった……」
 「……後で質屋に行こうか」
と、ここで皿に並べられたみたらし団子を手に持った店主が、うやうやしくやって来た。
 早速みたらし団子を手に取り、小さな口を開いて、はむはむと頬張る舞狸を見て、
 (ハムスターみたいだな……いや、タヌキだったか)
そんなことを考えながら、俺もみたらし団子に手を伸ばす。
 「……おいしぃ♪……はむはむ」
 中々見ない舞狸の表情変化に、少し感じるものがあった。あの時よりも表情が豊かになっているのだ、と。
そうこう思っていると、舞狸は俺がみたらし団子一本を食べ終わる間に、みたらし団子三本も消費してしまった。
 驚くべき速さである。
 「……もう、一本」
 「いや、半分ずつだから後のは俺のだな」
 「…………影都……ダメ?(うるうる)」
 「……だ、ダメだ(汗)」
 「…………グスッ」

 『見てあの子。あんなに小さい子を泣かすなんて』『酷いわねぇ』『これだから男という生き物は……』

 「わ、わかったから。泣くな!俺が世間的に死ぬ!」
 「……いいの?」
 「ああ、いいぞ……」
はむはむ、もぐもぐ、ぺろり
「……美味しかった」
 「なんだろう。超騙された感じしかしない」
 舞狸は泣いてなんかいなかった。しかも、サディスティックな笑みさえ浮かべている。よく考えたら、8年間一緒に過ごしてきた中で、舞狸が泣いているところを見たことがなかった。
 〝あの〟舞狸が泣いていたら、天変地異の前触れか何かだろうと俺は思う。
 「ったく……ん、茶碗?」
とそこで、皿の隣に置かれている見覚えのない蓋のされた茶碗があることに気付いた。こんなものを頼んだ記憶はないのだが。
 「舞狸が頼んだのか?」
 「……私は、知らない」
 「じゃあ誰が……?」
とりあえず、中身を確認しようと茶碗の蓋を開けようとした。
が、次の瞬間、
ススッ……(パカッ)サッ
「?!」
 誰も触っていないのに、いきなり茶碗が皿のすぐ横に移動した。と思ったら、皿の上のみたらし団子が茶碗の中に吸い込まれるように消えてしまった。
その光景に驚きつつも、俺は茶碗の蓋に手をかけ、奪い取るように開放した。

その瞬間、俺はその中身を見て、声を上げた。
 「―――ち、小さな人間……小人か?!」
 「わあっ!み、みみ見つかっちゃった!」

そこには、みたらし団子を顔を埋めるようにして食べている、小さな人〝小人〟がいた。

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