幻想妖華物語

ノベルバユーザー189431

幻想妖華物語~第二話.導き-3~

「本当、ごめんなさいっ。美味しそうなお団子があったから、つい……」

 目の前では、手のひらサイズの着物を着た小人が、頭を下げて土下座をしていた。文字通り、小さく丸くなって。
 「いや、別にいいんだけどさ……君は小人なんだよね?」
 「ハイそうです私、少名針妙丸すくなしんみょうまるといいます……お願いですから食べないで」
 「食べたりしないから、安心して。ね、舞狸?」
 「……食べ物の恨みは、とても怖い」
 「お前、さっき俺の食ったろ……それに俺も一本しか食べてないし。それで勘弁してやれよ」
 彼女――小人の少名針妙丸は小さく顔を上げて、上目遣いで聞いてくる。
 「あの……あなたたちの名前は?」
 「ああ、俺は九我龍影都だ。で、こっちが……」
 「……侑廻舞狸。はじめまして、小さいの」
すると、針妙丸はピクッと小さく反応した。
 「ち、小さくないもんっ!大きいもんっ!」
 「……嘘、とても小さい」
 「ま、舞狸だって。人間にしては小さいよ、小学生みたいな!」
 「(ピクッ)……小、学生……?」
 「……そ、そうだよ。見たところ身長は150センチもないようにみえるけど」
 「確か、今年の春に測ったときは147センチだったな……そろそろ成長期が来てもいいんじゃないか?」
 「……うるさい。胸はCある」
 「いや誰も聞いてねえよ」
 完全に小学生体型の舞狸なのだが、出るところは出ているのだ。まあ、着痩せするタイプらしいので、もこもこした服を着たら見事に絶ぺk……
「まあ気にするな。今のままでもいいと思うけどな」
 「……もう、大人だから」
 「それはそうと針妙丸」
 俺が声をかけると、針妙丸はビクリとしたように体を強張らせた。
 「な、何さ……」
 「この幻想郷について調べられるところはないか、知ってるかい?」
この質問に、針妙丸は豆鉄砲をくらった鳩のような顔をする。
 「……え?影都たちは幻想郷の住民じゃないの?」
 「あ、ああ。こことは別の世界から来たことになるから……まあそうなるな」
 「……じゃあ、外来人ってこと?」
 「そういうことだな」
 何も知らないこの世界で生きていくには、知識が必要になる。この幻想郷だって元の世界と変わらない気がするが、幻想郷なりのルールがあるはずなのだ。
 郷に入って郷に従え。我が家の家訓でもある。
 「うーん……そうだねぇ……」
 針妙丸は茶碗の中で考える人の体勢になって、少し間をあけてから答える。
 「……だったら〝鈴奈庵〟がいいんじゃないかな?」
 「「鈴奈庵?」」
 俺と舞狸の疑問の声が被った。しかし、針妙丸は構わず続ける。
 「うん。そこにはたくさんの本があって、外の世界から流れてきた本とかもあるんだ。そこに行けば色々とわかるかも」
それを聞いた俺と舞狸は、
 「よし、他に行く宛は無いし鈴奈庵とやらに行きますか」
 「……うん。楽しみ」
 決断は早かった。
 俺は針妙丸の入った茶碗を手にして立ち上がる。
 「それじゃあ行くか。針妙丸」
 「え、え?私も行くの?」
 「当たり前だろう?道案内とかオトモは必要だしな」
 「……みたらし団子の代償」
 「え……私には、やることが……」
 「頼む。針妙丸だけが頼りなんだ」
 「う……///わかったよ。仕方ないから暫くオトモしてあげる」
 ((……チョロいなw))
 針妙丸は俺と舞狸の策に溺れ、旅の道連れとなった。

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