幻想妖華物語

ノベルバユーザー189431

幻想妖華物語~第二話.導き-4~

俺と舞狸は新たなオトモ、針妙丸を連れて『鈴奈庵』へと歩を進めていた。針妙丸は俺のジャケットの胸ポケットに入り込んでいる。
 「やっぱりこういう所が落ち着くの」
 「まあ、定位置みたいなもんだな」
 「……そうなの?」
 「そんなもんだろ」
 「あ、そこの角を左に曲がって四件目だよ」
 針妙丸に言われてその角を曲がると、川沿いの広い道に出た。手前から四件目を見ると〝鈴奈庵〟と書かれた暖簾が下がっていた。
 「ここが件の鈴奈庵か」
 「……ここに、幻想郷のことが?」
 「うん、店番している子にも聞いてみたらいいよ」
いざ行かん、と扉を開けた瞬間、
……ポツポツ……ザアァァァ……
急に雨が降りだした。あの時の予感が当たったのだ。
 「アブねー、ギリギリだったな……失礼しまーす」
 「……雨、キライ」
そう言いながら、鈴奈庵の店内へ入る。
まず目に飛び込んできたのは、壁一面に設置された本棚に置かれた本の数々。大小とサイズは色々、数えきれないほど置かれていて、本棚の上、横にも沢山の本が積まれていた。
そして、扉を開けて正面奥にカウンターらしき机。
そこには、椅子に座っている本を読む少女と、それを見つめる着物を着た大人の女性がいた。
 本を読んでいた少女が俺たちが入ってきたことに気がつくと、本から顔を上げパッと笑顔になり、
 「いらっしゃいませー!」
 元気に応じてくれた。どうやら、この小動物のような少女がこの店の店番している子らしい。大人の女性はきっと客だろう。
とりあえず事情を説明するためにまず、
 「えっと、俺たちは……」
 「お主ら、外の世界から来た者じゃろ?」
 「「え?!」」
 突然かけられた内容に俺と舞狸は動揺を隠せず、驚きの声をあげてしまう。ただし、舞狸は無表情だったが。
 俺たちの素性を言い当てたのは、大人の女性だった。
 「え……どうしてわかったんですか?」
 「うむ、それはの」
その大人の女性は爺言葉で
「それはの……直感じゃ。お主らはここらでは見ない顔触れじゃからのぅ。かっかっか、そう驚くな。外の世界から来る人間など今時そう珍しくもないぞい?」
そう応えた。女性は何かを見透かしたような笑みを俺たちに向けた。その顔は、先ほど舞狸が魅せたサディスティックな笑みと似ているのは何故だろう。
すると、店番の少女は手を合わせ瞳をキラキラと輝かせながら、ジリジリと近付いてきた。
 「そうなのですかっ?!あの、外の世界のこと詳しく聞かせて下さいっ!えっ……と、」
 「あ、九我龍影都です。こっちは侑廻舞狸……幼なじみです」
 「……よろしく。貴方たちは?」
 「え、私ですか?本居小鈴もとおりこすずです。ここ、鈴奈庵の娘です」
 「儂は二ツ岩マミゾウじゃ。よろしくのぅ」
 店番の少女は小鈴ちゃん、大人の女性はマミゾウさんというらしい。
 「……よく間違われますけど、私はもう成人してますからね?」
 「え……年上?(絶望)」
 「何ですかその目は……信じていませんね?」
 「かっかっか、まあよいぞ?主はそのままでよい。時に舞狸とやら」
マミゾウさんに呼ばれた舞狸は、少しだけ動きが固まった。どうやら緊張している様子だ(無表情)。
 「……なんでしょう」
 「ちょっと外で儂とエエこと話さんか?なに、直ぐに終わる」
 「…………かまわない」
 「というわけで、彼女さんを少し借りるで?」
 「……!かっ、彼女なんかじゃ……っ///」
 「何慌ててんだ?別にいいですけど」
 半端誘拐されるように、舞狸はマミゾウに連れられて外に出ていった。
その光景を見ていた小鈴はニヤニヤとしながら、
 「いやぁ、最近の若い者は一途ですなぁ」
 意味のわからないことを言っていた。
と、本題を忘れるところだった。
 「そうだ。俺たちはこの幻想郷について知りたかったんです。それなら鈴奈庵ここが良いと聞いて」
 「そうだったんですか。私からは上手く説明は出来ませんが……本なら。あ、そこに腰掛けて待っていてください」
 「あ、はい」
そういうと小鈴はパタパタと本棚の奥に消えていった。次の瞬間、

バタバタッ……ガタッ

「?」
 誰もいないハズの本棚から物音が聞こえた。

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