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幻想妖華物語

ノベルバユーザー189431

幻想妖華物語~第二話.導き-5~

小鈴が本棚の奥に消えてから数分後、
 「……ぁ、んっと……」
キツそうな声をあげながら腕の太さはありそうな本を両手で抱き抱えて来た小鈴は、顔が真っ赤になっている。
 「これが、幻想郷と外の世界を行き来出来る人が、書いた本です……ふぅ」
 「えらいえらい、よく頑張ったね」(なでなで)
「えへへ……///もっと誉めて、撫でてください♪」
 先ほどは成人していると言っていたが、誉められたりするのは満更でもないようで、子供っぽくなる。撫でられて喉を鳴らしている小鈴を見ていると、まるで仔犬のようだ。
 「さて……と。これか……」
 俺は片手で小鈴をあやしながら、もう片方の手で重く埃のかぶった本を開く。
そこにはこう表されていた。

 【幻想郷は、日本の人里離れた山奥の辺境の地に存在するとされる。ここには妖怪などの人外のものが多く住んでいるが、僅かながら人間も住んでいる。ただし、幻想郷は元から隔離されていたわけではなく、多くの妖怪が暮らしていた土地に、それを退治する事を家業としていた人間がやって来て住んでいた辺鄙な土地であった。なお、幻想郷は結界で隔離されてはいるものの、異次元や別世界といったものではなく、幻想郷も外の世界も同じ空間に存在する陸続きの世界である。】

そこまで読むと、頭に疑問が浮かんできた。日本内に幻想郷という地区があるのはわかった。だが現代日本では、妖怪などの存在は薄く、否定されていることが多い。それなのにここでは妖怪が肯定されているのか……?
 気になりながらも、続きを読む。

 【幻想郷は「常識の結界」である博麗大結界が張られたことで、幻想郷は外部から隔離された閉鎖空間となり、さらに外部から幻想郷の存在を確認することは不可能になり、幻想郷内に入ることもできない。同様に幻想郷内部からも外部の様子を確認することはできず、幻想郷から外へ出ることもできない。ただし、幻想郷には外の世界で失われ「幻想になった」ものが集まるとされ外の世界で減少した生物トキなどが幻想郷で増加したり、外の世界で消えつつある道具などが幻想郷に現れることもある。このように特殊な環境にある幻想郷では、外の世界とは異なる独自の文明が妖怪たちによって築き上げられている。】

 「幻想郷は博麗大結界によって俺たちがいた日本の中で隔離されていたのか……」
しかし、また疑問が浮かんだ。幻想郷はそこにあっても入ることが不可能のはずなのに、どうして俺と舞狸は這入ることが出来たのだろうか?先ほど小鈴が言っていた『幻想郷と外の世界を行き来出来る人』が俺たちを入れたのか?
 謎はどんどん深くなる。

 【しかし問題が何一つ無かったわけではなく、結界が張られた後は幻想郷を維持するために、人間と妖怪の間に数や勢力のバランスが必要になった。そのため人間はこれ以上妖怪が減っても増えても困るため妖怪を完全に退治しなくなったし、妖怪もこれ以上幻想郷の人間が減っても増えても困るため幻想郷の人間を襲うことはほとんどなくなった。】

 「確かに、そうでもしないと人間は妖怪に滅ぼされるかもしれなかったな」
 「うぅ……物騒なこと言わないでくださいよぅ……」
 「しっかし、妖怪ねぇ……」
ここで、胸ポケットに収まっていた小人の妖怪、針妙丸のことを思い出す。そういえば、ここに来てから一度も顔を出していないことに気づいた。きっと何かしら出れない理由があるのかもしれない。例えば、今の人間と妖怪の関係がギクシャクしたものだとか……。退治されることや襲うことも無ければ、仲良く共存出来るのでは……?
そう考え付いた時だった。
 「や、話を済ませたぞい?やはり、予想通りじゃったな♪」
 「……お待たせ」
 外で話をしていたマミゾウさんと舞狸が戻ってきた。
 「ああ、おかえ……」
 振り返った瞬間、出かけた言葉が詰まった。

そこに立っていたのは、狸耳と狸尻尾を生やした『狸人化』した舞狸だった。

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