ツンデレ妹とヤンデレ妹に愛されすぎて困ってます!

淳平

5話「妹たちと温泉旅行」1日目後編

 旅館に戻った俺たちは、暑い中あちこちを歩いたこともあり汗をかいていたため、少し早いが温泉で汗を流すことにした。

「ぷしゅーっ」

 大浴場の温泉にて、俺は湯船に浸かり疲れを癒していた。
 普段、家で暑い時はシャワーだけで済ませるのだが、やはり温泉は特別だ。 暑さを忘れるほどの快感がある。
 体の疲れが芯から取れていく感覚。
 今、俺は思い切りリラックスしている。
 幸いなことに今、大浴場には俺しかいない。
 つまり貸切状態である。
 まあ、少しは寂しくはあるが、気兼ねなく満喫できる。

 ガラガラガラッ
 扉が開かれる音がした。
 誰かが来たようだ。 
 これで貸切状態ではなくなるが、まあ仕方ない。
 お湯の気持ち良さを感じながら目を閉じる。
 幸せだ。 心がぽかぽかして……
 いきなり背後から手で目隠しをされた。

「陽兄〜、だーれだー?」
「……茜。 何でここにいる」
「あれえ? 何で分かったの?」
「俺のことを陽兄って呼ぶのはお前だけだからな……っていうかお前! ここは男湯だぞ!」
「ニヒヒ〜、陽兄が一人で寂しいかなあって思って〜。 来ちゃった」
「戻れ。 お前もう中学生だぞ。 男湯に入っていい年齢じゃないからな」
「え〜、まだ小学生で通じると思うよ〜」

 まあ確かに茜の体はまだまだ発展途上というか、未発達というか。 胸なんかまな板もいいとこだし小柄な体型だし、中学生っぽさはまるでない。 まさに幼児体型だ。
 だとしても目のやり場には困る。

「だとしてもだ。 いいから早く出ろ。 誰か来たらどうすんだ」

 ガラガラガラッ
 言った側から大浴場に誰かが来た。

「おい、本当に誰か来たじゃねえか! どうすんだ!」
「大丈夫! 茜、髪短いから男の子に見えるかもだし!」
「……それにかけるしかないか……でもお前その体に巻いてるタオルは不自然すぎるから外すぞ!」
「えー、陽兄のエッチ〜。 そんなに茜の裸見たいの〜?」
「バカ言うな! いいから脱がすぞ!」
「あぁ〜れぇ〜、陽兄のエッチぃ〜、ケダモノ〜」
「変なこと言ってんじゃねえ!」

 小声で怒鳴る俺。
 背後から誰かの足音が近づいてくる。
 来る……茜が女だとバレないといいのだが……
 いきなり背後から手で目隠しをされた。

「陽ちゃんだーれだ?」
「菜摘……。 何でここにいる」
「あれえ? 何で分かったの陽ちゃん」
「……いいから出てけ。 お前は完全にアウトだ」

 妹たちと比べて菜摘のスタイルは段違いに良い。 胸もでかい。 前に聞いてもないのに教えてくれたがEカップとか言ってたな。

「えぇ〜陽ちゃん酷い! なんで茜ちゃんのタオルは脱がすくせに私のタオルは脱がしてくれないの!」

 菜摘はタオルに包まれた胸を俺の顔に押し付けて来た。
 柔らかい感触が俺の顔に伝わる。

「やめろ! てかお前見てたのかよ……」
「見てたよー、陽ちゃんが無理やり茜ちゃんのタオルを脱がすとこ」
「……あれは誤解だ!」
「ねえ陽兄、何でニヤニヤしてるの? そんなにおっきいおっぱいが好きなの? ねえどうなの?」
「ねーえー陽ちゃん! 私のタオルも脱がしてよー!」
「あー、もう俺が何したってんだ!」

「ごめんちーちゃん」
「ごめんねちーちゃん」
「ごめんな智咲。 こいつらアホだからさ」
「ぐすっ。 寂しかったんだから……」

 風呂から上がって部屋に戻ると智咲が一人で泣いていた。
 どうやら茜と菜摘が知らぬ間にどこかに行って女湯に一人取り残されたのがよっぽど寂しかったらしい。

 しばらくすると智咲は泣き止み、それと同じタイミングで女将さんが夕食を運んで来てくれた。
 海鮮やら熱海の郷土料理やら色々と出てきた。
 一番テンションが高かったのはやはり菜摘でよっぽど楽しみにしていたようだ。

 夕食を食べ終わり、しばらくトランプをしたりテレビを見たりして楽しんだ。
 それからしばらくすると、茜と智咲は疲れていたのかすぐ寝てしまった。
 そしていつの間にか俺も眠りについた。



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