新世界と転生の賢者

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ドラゴンと転生の賢者

人生生きていれば色々な事が起きるのぅ・・・
ドラゴンとの戦闘に思わず笑みを浮かべる少女は
残像を残しながら一瞬でドラゴンに急接近する



眼前に現れたドラゴンに私の蹴りが炸裂する
大きくよろめいたドラゴンに魔法解除を試みる

「・・・反応無し!じゃのぅ!」

体勢を戻しながらドラゴンが頭で私を吹き飛ばす
ドラゴンの鱗には魔法耐性がある・・・
もし完全な龍人種でなければ人間の姿に戻す術は沢山あったが・・・
馬場はその事も見越した上で種族を書き換える禁術をこの男に刻み込んだらしい

完全な龍人種となったドラゴンの一撃はいとも簡単に結界を貫通する
ただ頭で薙ぎ払っただけで体が宙を舞い意識を刈り取られそうになるが意識を失っている場合ではない
宙に放りだされた所を炎のブレスが畳みかけるように襲ってくるのを
結界を張り直しながら爆炎魔法をブレスに放ち相殺する

炎と炎が衝突して視界が赤に染まる
頬を撫でる熱気に思わず笑みが濃くなる
久しぶりの実戦に心が躍るのだ

『アリス!巨大人形でドラゴンを拘束せぃ!』
『わかったわぁん!』

いくら心躍っていても正気を失ったわけではない
正面からドラゴンとタイマンで殴り合う等馬鹿な事はしない

展開していた結界を圧縮、空間転移魔法を準備する

「む・・・?これは・・・?」

突如知らない記憶が頭に流れ込んでくる
記憶の書き換えに隙が出来た私にドラゴンが大口を開けて迫って来る

『いくわよぉん!』

脳内に響くアリスの掛け声に
アリスのセクシーポーズがフラッシュバックして意識をとり戻す
私の目の前に現れた尋常じゃない魔力の魔法陣に
大口を開けていたドラゴンは急停止する

魔法陣の下から巨大な人形の手が出てくると
何かを探すように腕を動かすと魔法陣を掴みこじ開ける
徐々に魔法陣が大きくなっていき這い出るように巨大人形が現れる
その余波だけで結界がきしむのを感じた私は結界の維持に専念する

「これは・・・やりすぎたかもしれんのぅ!」

高層ビル並ぶ世界の上空で危険を察知したドラゴンが咆哮をあげながら巨大人形に炎をまき散らす
しかし私の魔改造でブーストした人形はドラゴンの炎をまったく気にせずドラゴンに急接近する
不利を悟り逃げに転じるドラゴン
そのドラゴンを捕まえようと巨大な人形が追いかける

「これは・・・結界がもつかのぅ・・・」

二体が動く度にきしむ結界に
小回りが利く実戦魔闘に重きを置いた賢者は
自分で作戦を考え実行したうえで
自らの戦闘スタイルを否定される光景に頭を悩ませていた

「ヒョッヒョ!俺ぉ忘れてないだろうなぁ!」

結界に専念していたところを出っ歯男の炎の鎖が襲う
そう・・・結界の維持に全力を放つ私は隙だらけなのである
だが心配はしていなかった

「我が主よ!今こそ恩を返す時が来た!」

両手に魔法で出来たシミターを持った全身黒服の男が炎の鎖をすべて打ち落とす

「漆黒の世界に舞い降りた堕天使!エンドシャドウが相手になろう!」

出っ歯男は突然の乱入者に舌打ちをして逃げ出す

「我が主!やつは我に任せて先に行け!」
『捕まえたわよぉん!』

二人の声に無言でうなずき作っていた転移魔法をドラゴンに放つ
鱗に魔法耐性があるのであれば空間も一緒に転移させれば良い
無茶苦茶な暴論もたまには必要なのである

ドラゴンと私の周りを光の粒子が囲み空間転移の魔法が完成する

「悪いがこの戦闘の続きはまた今度じゃ!」

瞬間世界が暗転する

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