新世界と転生の賢者

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馬場と転生の賢者


プラチナブロンドの髪が輝く日本人離れした少女
大柄な男と出っ歯が特徴の男を引き連れた金髪のイケメン
ファーストフード店の端に陣取るあからさまに怪しい一向
しかし店員も店内の客も誰一人として一向に注目することは無い

「先日のプレゼントはお気に召したかのう?」
「えぇえぇ・・・まさかAIに体を提供されるなんて・・・彼女にはわたくしのプロジェクトのGMをしてもらっていますよ」

金髪のイケメン・・・弟子一号事馬場が怪しい笑みを浮かべる

「しかし随分と雰囲気が変わったのぅ・・・」

馬場の瞳には狂気を感じる
これがあの真面目そうな男じゃと・・・?

「色々ありまして・・・ところで・・・師匠から見て転生体はどうでしたか?」
「どうもこうもあれは体が無いと消滅するぞい」

思った事を率直に言うと馬場は心底うれしそうに笑みを濃くする

「ではやはり元の人格を破壊するしかありませんねぇ・・・」

馬場から黒い霧・・・死霊が溢れ出す
この現象に関して当事者たる馬場にはもちろん説明している
隠すつもりもない・・・といったように徐々に濃くなる死霊の匂いに思わず鼻をつまむ

「そのことに関しては打開策をうっておる・・・アリスという女人に人体錬成を教えておる」
「なるほど!流石師匠!」

空を仰ぎながら笑い声をあげる馬場
馬場から溢れ出す死霊にあてられた周りの生物が気絶していく

「しかし・・・わたくしはわたくしの手で実験の成果を手にしたい!」

笑うのをやめ瞳の狂気を爛爛と輝かせながら馬場が私に拘束魔法を放つ
明らかに異常ともいえる死霊をまき散らしていたのだ
話を出来る相手とは最初から思っていなかった
拘束魔法に反転魔法を放ち馬場にお返しする事にする
悪いがここで拘束させてもらう
冷たい眼差しで魔法が反転するのを待っていると
反転魔法が当たる直前に拘束魔法が拡散する

「なんじゃと!?」

咄嗟に回避した所に馬場が知っていたかのように掌底を繰り出し
ガラスを割りながら店の外に放り出される

「おやおや?慢心はいけませんねぇ・・・師匠!あなたはもう必要無いのですよ!」

死霊が形を作り複数の獅子の形を作り出す

「・・・死子か・・・この世界では珍しいのぅ・・・」

死子は負の心を持った大量の生物を殺したものに宿る害獣
前の世界では街に数匹は必ずいた害獣だ
死子が私に襲い掛かる瞬間死子の目の前に魔法陣が展開され複数の人形が剣や盾を持ち迎撃する

『だからぁん・・・無理だっていったのよぉん!』

頭の中にアリスの声が響く

『まさかここまでとはのぅ・・・助かったぞい』

アリスにはいざという時の為に周りがよく見える場所で待機してもらっていたのだ

「これほどの術・・・たかが数年で覚えれるとは思えんがのぅ・・・」

数年実戦が無かったとはいえこちらは人類種でも最強と言われた賢者だ
それを齢数十年の小童が吹き飛ばす等明らかに人間業ではない

「見てきましたからねぇ!あなたの行いを!あなたの世界を!ヒヒ!ヒャハハハハ!」

馬場は狂ったように笑いだす

「あなたの知識は最高でしたよ師匠!精霊越しとはいえ私にありとあらゆる知識を授けてくれた!」
「・・・なるほどのぅ」

フィー越しに私の・・・世界のありとあらゆる魔法を極め、世界の叡智を極めた賢者の
数百数千年の知識を齢数十年の小童の精神に入れ込んだのか・・・
馬場がなぜこうなりここまでの技術を手にしたかを悟った私は改めて馬場を睨みつける

「弟子の不始末は師匠の不始末・・・覚悟はできておるかのぅ?」
「おやおや!これは恐ろしい・・・わたくし怖くて一歩も動けませんよ!」

嘲るような馬場の声に後ろにいた巨体の男が呻き声をあげる

「グアアアァァ!オレ!オマエ!コロス!」

男の服が破け全身が鱗に覆われていき元々大きな体が数十倍に膨れ上がる
背中には翼が生え
鋭利な歯が見える口元から炎が溢れ出している

ドラゴン
前の世界ではいくつもの国を滅ぼした最悪の害獣
人間からドラゴンに変身するなど余程のドラゴン信者でもない限り行う者はいなかった程だ

「さて・・・わたくしは人形使いを探しに行くとしましょうか・・・」

歩み出す馬場の前に大量の人形が出現するが
出っ歯の男が炎の鎖を投げつけ動きを封じる

私は目の前に迫るドラゴンに苦笑いを浮かべる

今一度言おう
私は世界のありとあらゆる魔法を極め、世界の叡智を極めた賢者・・・そして・・・

「私がいかに人類最強といえど人類種でしかない」

人類最強とうたわれた賢者は
人である事を最後まで捨てられなかった
故に全てにおいて人類種最強であり
故に他の種族の唯一無敵の力を得る事が出来なかった

眼前の敵
自ら人間をやめ
龍人種に変貌した人間を睨む

『ちょっとぉぉん!どうするのよぉぉん!』

頭の中にアリスの悲鳴がこだまする中
私は・・・笑みを浮かべていた

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