新世界と転生の賢者

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人形使いと転生の賢者

商店街の入り口、閉店間近の店から奇異な目で見られる少女
誰がみても美しいと思える姿をしているが、今回ばかりは変人として見られている

「ふむ・・・結界か・・・」

科学の進歩した世界にあるまじき魔法の存在に目を疑う
少なくとも前回この姿で探索した時はこのような物存在しなかった
この世界と調和して面倒なつくりになっているが
前世で叡智を極めんとした賢者にとっては魔術に毛が生えた程度の脅威であった
へたに破壊すれば術者に怪しまれるため、偶然迷い込んだかのように結界を抜ける
結界の中は無人、特に急ぐ事もないのでゆっくりと結界の中心を目指す

「あんらぁん?可愛い子!」

結界の中心まで来ると
大柄な女性がクネクネしながらこちらに歩み寄って来た
魔物か!?・・・いや人間じゃのぅ

「あたしの結界を自力で抜けてくるなんてぇん・・・あなた何者ん?」
「今は天正健司と名乗っておる者・・・かのぅ?」
「あたしはアリス!人形を買いにきたってわけじゃないみたいだけどぉん・・・?」
「なに、昔の弟子が転生体を見つけたと言っ!」

話の途中で大きく後ろに飛びのく
目の前には巨大な人形の手が地面にクレーターを作っている

「馬場の手先ってわけねぇん?」
「手先ではないんじゃが」

アリスは誰が見てもわかる程の殺気を体から噴出している

「私は転生体を少し見ようと思っておるだけなんじゃがのぅ・・・」
「悪いけどそうはさせないわぁん!」

問答無用といった所か、アリスの全身から魔力が溢れ出る
商店街床一面に魔法陣が展開されると
中から大量の人形やぬいぐるみが湧き出てくる
アリスが一際腰をくねらせポーズを決めながら技名を叫ぶ

「人形戦争!」
「これは・・・なかなか珍しい術じゃのぅ・・・」

間近に迫って来た人形の首をおとしてニヤリと笑みを浮かべる
商店街全域にあらゆる形をした人形やぬいぐるみが召喚されたのだ
体調1㎝のキーホルダー並みの物からビル程の高さの物

魔術師は自分の魔術領域を持っているのが基本だが・・・
前の世界では魔術領域にも大きさ、魔力の濃さの制限があった

「こちらの世界には魔術師などおらんからできる芸当じゃのぅ!」

大魔法を目の前にして興奮していると
首がなくなり体だけになった人形が抱き着くように体を拘束しようとしてくる

「今後手出ししないならぁん・・・見逃してあげるわよぉん?」

ウィンクをしながら一般人のSAN値が減るポーズをとるアリスの提案を聞きながら
人形の内部に炸裂魔法を埋め込み爆散さて前に歩みでる

「残念じゃが私は売られた喧嘩は買う主義でのぅ・・・」

自分を中心に炎の渦を巻きあげ周りを燃やしながらさらに前に歩み出る
アリスが顔を顰めながら人形部隊を前列に配置する
ぬいぐるみとやらは炎に弱いようですぐに燃え尽きるが人形はそうでもないらしい
グールのような見た目になりながらこちらに襲い掛かって来る人形を体術で捌きながらアリスに接近する
こういった召喚術の類は大元を気絶させるのが一番効率が良い

意図に気づいたアリスは投げキッスをしながら目の前に巨大なぬいぐるみの手を生成する
気にせず体内の魔力と気をぬいぐるみにぶつける
大抵の物はこの一発で粉々になるのだが・・・

叡智を極めた賢者は事、殺しに関しての技術、知識や実用性のある術の知識が多く娯楽の知識はなかった
そして健司は男として育ったためぬいぐるみの感触を知らなかった・・・結果

ボフッ

間の抜けた音と共にぬいぐるみが凹む

「なんと!?」

後ろにゴロゴロと転がりながら舌打ちをする
これが低反発!?まさかこの世にあのような物が実在するとは・・・夢にも思わんかったわい・・・

だが衝撃波は通ったらしくアリスが顔をおさえてうずくまっている
・・・戦闘中に変なポーズとるからじゃのぅ・・・

周りのぬいぐるみの動きが停止してのを確認して再度接近する

「・・・む?」

アリスの体から魔力が急激に無くなっていく
囮か!?そう思い急ブレーキをかけ周りを注意深く観察するが・・・

「逃げられたかのぅ」

アリスの魔力は完全に消え去っていた
ここまで完璧に魔力を消し去るなど空間転移くらいしか思いつかんが・・・

「そんな高度な魔法この世界にあるとは思えんのぅ・・・」

念の為結界を壊して帰る事にする
これでしばらく一般人にもアリスの姿が見える
魔術領域の拡大をしようにも人目があれば展開が遅くなることだろう

結界を壊し帰路につこうとしたところでまだ開いている布団屋に目がいく

「低反発枕・・・欲しいのぅ・・・」

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