新世界と転生の賢者

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天正健司と転生の賢者

私はこの世界に来て初めての未知の体験に心を躍らせていた
私の記憶と新たな冒険者の知識がここまで素晴らしい物を作り出すとは
世の中捨てたものではないのぅ



『うまいのぅ!うまいのぅ!』
「うん!すごく美味しい!」

酒場に入った僕は無難な物から手をつけていったのだがとても美味しかった

「ここの料理は不味いって評判だったはずなんだけど」
「それはね、最近新しく入ったバイトの子のおかげなんだよ」

つい呟いた言葉にダンディな短髪青髪の男の人が答えてくれる

「冒険者の知識は凄いね、こんな料理の食べ方考えもしなかった」

ここの料理は素材はBGOの物、料理は現実の物とが混ざっているのだ
料理人の腕も良いのだろう
厨房にチラチラ見える男達に混ざって美形な子が一人混ざっている
料理はほとんどあの子が仕上げをしている感じであの子目当ての客も多いようだ

「しかし・・・ほんとにうまい!」

たまちゃんの言ってた事に少し共感を覚えながら飯を口の中に頬張る

「か!完食だー!」

そんな叫び声に口の中の物を少し吹き出す
何事かとそちらを見れば酒場の一角が妙に賑わっている

「あ・・・あの量を全部食べただと!?」
「おい!あの嬢ちゃん更にオーダーするつもりだぞ?」
「どんだけ食べるんだ!?やつの空腹ゲージは化け物か!?」

屈強な男達に囲まれてよく見えないが物凄い盛り上がりを見せている

「始まっちゃったね、さて私は娘が帰りを待ってるからこの辺りでおいとまするよ」
「あ・・・はいアクアちゃんが寂しがっちゃいますもんね」

言った後にこの人と自己紹介すらしていなかった事に気づき冷や汗が流れる
しかし男はキョトンとした顔をしたがすぐに笑顔になる

「ああ、今度是非うちにも食べに来てくれ」

そう言って立ち去る姿は見た目の若さに似つかわしくない壮年の男性を思わせるのだった

「クラウスさん・・・かっこいいよなぁ・・・」

その後勘定を済ませた僕はゲームをログアウト
今日あった事に思考を巡らせながら深い眠りにつくのであった




暗い部屋、BGOがひとりでに起動して白い光が部屋に降り立つ

「久しぶりじゃの」

私はいつぞやの少女の姿に変身していた

「まさかゲームの中にお主が組み込まれておるとはのぅ」

白髪の長い髪を床までつけた少女、フィーが無機質な目でこちらを見ている
通りで私の記憶通りの世界が構築されているはずだ
フィーは思考共有で私に馬場のメッセージを送る

「見つけたのか」

フィーはコクリと縦に首を振る

「じゃが邪魔者に隠されておると」

フィーは再度コクコクと首を縦に振る
私はこめかみを抑える

「まさか人に魂が宿るとはやりづらいのぅ」

そう言いながら窓から屋根伝いに夜の街を疾走する

「まずは邪魔をしているというその人形遣いとやらに会ってみるかのぅ」

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