新世界と転生の賢者

ツリー

天正健司と記憶

私の記憶から飛び出してきたかのような街並み
どこまで私の記憶と一致しているか楽しみになってきた
その為にちょこっと干渉しているが些細な事だろう



路地裏を抜けると見慣れた店が見えてくる
小汚いRPGのような店
何十年も通った常連のように安心する

「こんな店、現実でも行ったことないはずなんだけどな・・・」

いい加減認めるとしよう
厨二病とかそういうのではなく、僕はこの世界の事を知っている
ここの店主はヤクザのような丸坊主
目に傷がついていて双子の弟とそっくりなのである
記憶を確認しながら店に入るり店主を確認すると
いつものように新聞を読んでいた店主はこちらを見るとニヤリと口の形を変える

「なんじゃいわれ?おめぇもわしの顔に見覚えあるってか?」
「そうですね・・・とても見覚えがある顔です」
「それはわしの弟じゃろうな!目の傷の位置が反対なのが見分けるコツやで?」
「あはは・・・それは初めて見る人には見わけつきませんね・・・」

店主が満足そうに新聞を読むのを再開するのを確認して店の中を物色する

『ほーこれはすごいのぅ・・・私が最後に来た時とほとんど変わっとらん!』
「うん・・・まるで記憶の中の店を・・・てあれ?」

周りを見回すが誰もいない
最近誰かがいつも隣にいるかのような感覚に襲われる
それに加え見知らぬはずの見知った風景
僕が僕じゃない、そんな不安感に襲われる
怖くなった僕はさっさとお店を出る事にした

「今日はなんだか疲れたな・・・」

今日はログアウトして・・・
そこでこのゲームの事を知ったきっかけを思い出す

「その前にたまちゃんが言っていた料理を何か食べていこう」

僕がいつも通ってた所は城のすぐ近くの木漏れ日溢れる店だったが・・・
あそこはいかんせん王族御用達の高級店だ
記憶はあってもゲームを初めたばかりの僕には高すぎる
どこか安い店はないだろうか・・・
いかつい人に話かける勇気がなかった僕は小柄な少年に話しかける事にした

「あの・・・この辺りでどこか安い食事処はありませんか?」
「・・・?・・・!」

少年は最初誰に話しかけているのか周りを見回すと対象が自分だとわかった瞬間過剰とも思える程の驚きを見せた

「スキルは・・・とけてない!?姿が見えなくなるはずだったんですが・・・」
「あのー・・・」
「ああ!ごめんなさい!食事処ならすぐ近くに酒場がありますよ!」
「ありがとうございます・・・」

尚も困惑の表情を浮かべる少年を見送る
その後ろ姿から幸薄そうな哀愁が漂っている
結局酒場の詳しい位置は教えてもらっていないが恐らくあそこだろう
あまり記憶に残ってない所もあるようだ

『あそこは飯がまずいと評判じゃったからのぅ・・・』
「まずいのか・・・」

そんな事を思い出しながら酒場の前に来るととんでもない量の客が列をつくっていた
この路地に人がここまで密集しているのは初めて見るかもしれない

「人が多いって事は・・・期待できるんだよね・・・?」

そう思いながら長蛇の列に並ぶ事にするのであった

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