新世界と転生の賢者

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魔法の存在と転生の賢者

家にある書物をあさりながら腹ごしらえをする
文字の解読には時間がかかりそうなので翻訳魔法を使う

「やはり・・・前の世界とは別の世界に転生しているのう」

書物に並ぶ物、建物の全てが真新しい
これほどまでの書物が家にあるなど、前の世界では王族レベルだ

だがこちらの世界ではそれが一般的、裕福ではあるが決して王族貴族に生まれたわけではないようである
両親が使っていた魔道具は電子機器に部類されるらしい
この世界に転生してからずっと見えていた精霊は電子精霊といったところになるだろう
試しに明かりのついた電灯の電子精霊を抜き取ると光が消える
家の中からわかる程度に周囲の状況を確認する為
索敵魔法で家の周り数キロを探索するが争い事等が起こっている様子は無い

「平和な世界じゃな・・・」

前の世界では様々な種族が戦争をしていた
私ももちろん大量の生き物を殺した
そんな私にはいささか眩しいくらいだ

だがこの世界にも魔法はあるかもしれない
呼んだ書物の中にはそれらしき物が大量に絵と文章であらわされていた
実際私ならある程度使いこなせるだろうし魔法効率理論も中々興味深い物が多い

家の中はある程度探索が終わった、次は外の探索だ
その為に先ほどの書物群の中の魔法をいくつか抜粋する
まずは体を変化させる魔法
赤子の姿で散歩する猛者は前の世界でも数が少ない
今までの常識とは違う、しかし今まで培ってきた知識で魔術を組み立てる

ボフッ

煙が晴れて目を開けると今までより幾分か背が高くなっている
自分の体を確認すると華奢な腕に胸に多少の膨らみ

「ふむ・・・前の世界の姿になるように構成したつもりだったが・・・失敗だな」

魔法を解こうとしてふと思いいたる

「前の世界では見た目で恐れられる事が多かった・・・存外この姿のほうが馴染めるやもしれぬ」

線は細く、肉付きはよくないが、腰まであるプラチナブロンドの髪に碧眼、背は10歳そこらだろうか
少なくとも厳格な爺よりは馴染めるだろう
構成魔法で書物に書いてあった服を復元、身にまとう
目の前に氷をつくりくるくると自分の姿を確認する

「こんなものかのう・・・」

ある程度納得して玄関へと向かう
扉は見たことも無い構造をしているのですり抜けて外に出る
魔法を封印された時の為にいずれは覚えておかなくてはいけないだろうが今は外に興味がある


「やはり・・・私の家はさして裕福というわけではないようじゃな」

並んでいる似たような家々を見て確信する
新しい物だらけで見るもの全てが興味深い
しかし道行く人は逆にこちらを見ているわけだが・・・
目立つ出で立ちにした覚えは無いのだが
魔力量を見られている?とも思ったが魔法を使っている形跡もない
というよりもこの世界に来て今まで見たことのある魔力の類を見たことが無い

「もしやしたら魔法の代わりに機械なるものが発展した世界なのかもしれぬな」

顎に手を当ててウンウン頷いていると人にぶつかる

「うわ!ご、ごめんなさい!って外人さん!?そ、ソーリー!」

黒い髪を綺麗に整えている眼鏡をかけた少年が眼鏡を整えて落としたカバンを拾い謝罪してくる

「いやなに、こちらも魔力の調整で周囲が疎かになっておった、すまぬな」

少年は日本語が出たことに安堵しつつも眉を顰める

「あぁ、それは良かったけど・・・君僕と同じくらいの歳だよね?魔力とか・・・ダサいからやめたほうがいいよ」
「ふむ?魔力がダサい?何故じゃ?」
「そういうの厨二病って言って今時中学生でもならないよ、小学生の間に気づいた方が良いよ、じゃあね!」

この世界では魔法はダサいのか・・・何かと便利と思うが・・・
再びウンウン頷く

「その世界にはその世界のルールがある、魔法を使うのは極力避けた方が良いのかもしれぬ」

そう言いながら魔力によるサポートを外すと足元に落ちていたものを思いっきり踏んづけて転ぶ
今までの癖を直すのは時間がかかりそうだと涙目で踏んづけた物を拾う

「なんじゃ?これは」

魔法陣のような円形の図、三角の図形に数字がかかれた紙を見て笑みを浮かべる

「散々言った割に魔法の勉強をしとるではないか」

懐に紙をしまい先ほどの少年、紙に書いてある青葉太郎を索敵する

「見つけた・・・」

白い石造りの建物に同じくらいの歳の子供たちが入っていくのを確認する
先程散々言ったのだ、精々からかってやるとしよう

黒い笑みを浮かべながら石造りの建物に歩を進めるのであった

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