俺の幼馴染2人がメンヘラとヤンデレすぎる件

のりしお

悪夢再び……


 俺の名前は高橋 雪!今は全力疾走している最中です!

 はぁ……はぁ……。

 え?……何で全力疾走しているかって?

 そりゃ!……命かかってるからだよ!!!

 俺の後ろには獲物を狩るような目をした2人の女性が後をついてきていた。

 「待ちなさい!雪くんは私が可愛がってあげる!」

 「ねぇ!?雪くんどうして逃げるの!?美代のことが嫌いなの?……そんなはずはない、そんなはずはない、そんなはずない」

 多分、美代は俺に呪いをかけているに違いない。

 「お前らが殺しにくるからだろ!」

 てかあいつら無駄に運動神経よくて困る!……ちょっと後ろを見て見るか。

 俺は一度後方を確認すると、鋭い目つきで睨んでくる志保がもうあと一歩のところまで近づいてきていた。

 ふぁ!?こわいよ!俺死んじゃう!殺される!

 「志保はクールで大人しめなかわいい女性だと思ってたのに!」

 俺はその場で本音を言ってやった。

 「か、かわいい!?」

 すると志保は立ち止まりその場で頬を抑えていたので俺もなんとなく足踏みしながら待っていた。

 「ゆ、雪くんってば私をそんな風に見てたのね!この変態!……でも、ちょっと嬉しいかも」

 最後までうまく聞き取れなかったが何言ってるの?

 ……ってどわぁ〜!

 「捕まえた〜」

 俺は背後から美代にがっしりと掴まれるとその場で押し倒され馬乗りされた。

 「ねぇ……美代のこと好きだよね?愛してるよね?そうじゃないなら……いっそ雪くんと一緒に死ぬ!」

 殺害と自殺宣言してきたよこの子!かなり危ないよ!

 と、とりあえず何か適当に言わなくては!

 「み、美代も可愛くなってるよ!もちろん!胸だって大きくなってるしその茶髪もけっこう似合ってる!」

 俺がそう言うと胸の前で両手を合わせて顔を近づいてきた。

 「え?嘘!?ほんとだよね?私可愛いよね?雪くんのお嫁さんだよね?」

 俺はなにも言わずに笑顔だけ見せると2人ともフラフラしていたので隙を見つけてすぐさま逃げた。

 デレると2人とも可愛いのに……いやあのギャップが素晴らしいな!はっはっは〜……はぁ〜。

 俺はやっとの思いで家にたどり着いた。

 家のドアノブに手をかけると安心感からのせいか急に腰が抜けてそのまま玄関に腰を下ろした。

 「ただいま〜」

 「おかえりんごん〜」

 台所から出てきたエプロン姿の妹は菜箸に今日のおかずを挟みながらこちらに近づいてきた。

 「あ〜ん、してお兄ちゃん」

 俺は黙って口を開けると豚肉の生姜焼きが口の中に入っていつも通り美味しかった。

 「うん、美味しい……」

 「ありがと、それよりお兄ちゃん……どうしてそんなにボロボロなの?戦争でもしてきたの」

 そう言って妹は菜箸についた残りカスを口に加えるとポニーテールにまとめあげた髪の毛を手で少しほぐした。

 ちょっとした仕草が可愛いな……。

 それに妹の推理はあながち間違いではないな、だが妹に女子生徒2人に追いかけ回されたなんて言えるわけもなく話を濁すと二階で制服を着替えた。

 「まったく散々な目にあった……でも2人とも元気そうで良かった」

 俺はワイシャツのボタンを一つ一つ外すと寝間着を持って風呂場に向かおうとした。

 そもそも呪いの責任は俺にある訳だし……。

 するとカバンの中からものすごい量の通知音とバイブが振動しカバンはだんだん左にずれてベットから落ちた。

 なんだこの不可解な現象……。

 「そろそろお風呂にでも入ろっかな〜ははっ……ははは〜〜」

 俺は逃げるかのように風呂場に足を運んだ。

 ザバァーと湯船の中の水が外へ流れ落ちると俺は天井を見つめた。

 「どうしてこう身震いが止まらないのだろうか?」

 その場には水滴がポタポタと落ちる音が響き渡っていた。俺は心を落ち着かせるために目を閉じた。

 「明日こそは雪くんを美味しくいただくわ」

 !?

 俺は驚いて立ち上がり辺りを確認すると誰もいなかった。

 「ついに幻聴まで聞こえるように……」

 恐ろしさのあまりに湯船に顔ごと浸かった。

 俺は風呂から上がるとリビングで家族と飯を食べた。

 テーブルに並べられたのはご飯と味噌汁そして先ほど、一口食べた豚肉の生姜焼きに2リットルのお茶だ。

 「さっきお兄ちゃんがボロボロで帰ってきててさ〜何かあったの?」

 「そうなのか?父さんに言ってみなさい」

 「お父さん!酒臭いですよ!」

 いや確かに酒臭いけど父さんも頑張ってるんだよ……。

 仕事とか対人関係とか……。

 俺は一度箸を茶碗の上に乗せると意を決した。

 「実は久しぶりに美代と志保にあってね2人とも元気そうで何よりだよ〜」

 妹は箸を止めるとこちらを見てきた。

 「えっ?それってお兄ちゃんもしかして……」

 「あら、そうなの?2人とも昔はよくうちに来ては雪を取り合ってね〜今でもそうなの?」

 「そんなことより母さんビールだ、おい!雪にあの2人は勿体無いくらい可愛いからな、大切にしろよ〜!」

 家族団らんその後もとりとめのない話が続いたが妹だけは浮かない顔をしていた。

 その後、俺は寝ようとカバンを一旦タンスの中にしまいこみ明日の準備をしていると妹が入ってきた。

 「お兄ちゃん……」

 「ノックくらいしてくれ」

 平然と入ってきやがって。

 「そうだよね、あれしてる最中だったらお兄ちゃん困るもんね」

 やかましいわ!あれとは何か詳しく聞こうじゃないか!

 「それで?どうした?」

 すると妹は下を向いて片足をブラブラとさせると頭をかいてこちらを見てきた。

 「志保さんと美代さんが帰ってきたってほんと?」

 「ああ、ほんとだ」

 いや、その戦場から帰ってきたみたいな言い方、確かにあいつらなら本当に戦争してきてもおかしくないけど。

 「じゃあ……また、あんまかまってくれなくなっちゃうんだ……」

 「ん?」

 うまく聞き取れなかった。

 「なんでもない!おやすみ〜お兄ちゃん」

 そう言って妹は顔を合わせずに自分の部屋に入ってしまった。

 するとタンスの方からバイブが振動しているのが伝わった。

 「よし、寝たことにしよう」

 俺はすぐさまベットの中に潜り込んだ。

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コメント

  • ノベルバユーザー331937

    見るの遅れました

    1
  • KURO

    ういー!

    0
  • ノベルバユーザー99703

    いつもお疲れ様です

    1
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