時の異能者

茶影さん

10話

それしか助ける方法がないのかよ!俺にそんなことをやれって言うのかよ!

「さて、俺はその方法を教えた、もう会うことはおそらくないだろう、しかしまだ会いたいということになれば夢のあいつに言っておいてくれ。気が向いたら会おう。じゃな」

そいつは手を挙げ消えていった、そうスゥっと消えていった。

「...どうすればいいんだよ。助けるのにそんな代償を払えってのか!」
あいつのセリフに嘘は無いと思ってしまった。そして今さらながら時計を見てみると【AM7時37分】となっていた。そして今日は何をしようか悩むのであった。朝飯を食べ、悩んでいると一か所行こうと思う場所をみつけた。それは、俺が異能に目覚めた場所...あの公園へ


【AM10時24分】俺が異能に目覚め暴走した公園に俺は来ていた。警察が見回っていると思っていたがなぜか周りには警察の人はおらずあの空間へ入ることが出来た。やはりそこにあったのはすべてが止まり外は青い空が広がっているのにもかかわらず夕焼けのような空間だった。何も変わらず、あれからなにも動いていない。ブランコも時計もそして親友の健の笑顔も...

「...なぁ、健、俺...決めたよ俺はおまえを助ける手段をみつける。と言った、そして、分かった...けどそれを行うのが本当にいいことなのかが俺には分からない。だからもう少し待っていてくれ...絶対に助けるから」

お前のその笑顔になにが隠されているんだろうか。俺を恨んでいるかもしれない、憎んでいるかもしれない、怒っていたりしているかもしれない。たとえそうであっても俺の決意は変わらない。俺の1人だけの親友を助けさせてくれ……

いつまで同じ場所で立っていたのかはわからない、けど俺は決めた。この世界で生きる。そしてこの力で助けて見せる。それまでに何年かかるかわからないし、出来たとしてもお前はそこから生きていかなくてはいけない。償いが出来るとは思っていない。けど、俺はお前をもう一度この世に戻してやる、絶対にだ!

俺の決意を見透かしたように『パチパチパチ』と拍手のような音が俺の耳に入ってきた。俺は誰かがこの空間に入ってきたと思ってしまった。しかしそれは違った。空間には入っていないが出入口で1人の男がこちらを見ていた。その男は警察に俺を連れてきた人だった。

「…この空間に入ることができるのはお前だけ、そしてそれ以外の人は入れない……面白いな。それでもここに来て入るとは思っていなかったけどな」

「………なぜあなたがここに?」

「んなん決まってるだろ、ここの監視だよ。俺はここを俺の異能で見張れるからな」

やっぱりこの人も異能を使う人か、能力としては千里眼っぽいのでいいのかな。見張っているとか言っているし他にも人が来るのか。そりゃそうだよな……公園だもんな……、ならなんで警察が使うテープを使わないんだ?あれの方が簡単だと思うが…

「お前からの声は聞こえているし今の会話で俺の言葉が届いていると確認した。しかし、こっちからそっちの風景を見ることが出来ない。が、お前の姿は見える。」

……俺の姿は見えるが他になにも見えない?どういう事だ。俺は外からでも中の状況を見ることが出来る。それに優も見えていたように感じた。ここまで`見る'事ができる人たちがいても見れない人がほとんどなのか。よく分からない。そしてもうひとつ気づいたことがある。それは中からは外の様子があまり伺うことが出来ない。見えるには見えるのだが、まるで動いていないように感じてしまう。何かしらの行動をおこされれば見る事ができるがそれまでは見ることが出来ない。そもそも入ってくることなんて出来るのかが謎なんだが...現れた時俺は対応出来るのだろうか...

「...そう言えば今何時かわかりますか?」

この人には無意識に敬語になってしまうな...名前なんて言ったっけ?

「今の時刻は10時37分だ、それがどうかしたか、そしてさっさと出てこい!この土地は一応警察が管理しているんだ。」

そんなに時間経っていなかったな、これも何か関連性があるのか?一応俺も時間を確認しておこう。そうしたら【10時24分】を指していた...つまり全然動いていなかった。ある意味そうでなけばいけないのだがそれでもやはり驚きは隠せない。確認したところで俺は外に出た...ら、なんと周りに大柄に黒服の警官がいた。あ、これデジャヴ...そうしてまた俺は警察庁に連行されていった...しかし今回は解放されるのは早かった。今後近づくのであれば許可を取るようにと言われそれで終わりだった。

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