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異彩の瞳と銃創造者

創伽夢勾

夢の森

 森は、師匠が結界を張りなおしたおかげか、あれ以降、魔物を見た者はいない。
 安心して進む森の道、まだ朝早いこの時間だが、日は照り、木漏れ日が差し込む。
 そして、ついに例の場所へとたどり着いた。別にこの場所でする、必要性はない。それでも、いつの間にかこの場所へと足を運んでいた。
 レンは本を地面へと置く。
 すると、さっきまで風なんてなかったはずなのに、レンに冷たい風が当たる。
 その風は、本を表紙をめくり、ページをどんどんとめくっていく。そして、以前と同じように一枚のページで止まる。めくられたページは本から離れ、地面へと落ちる。
 だが、前と同じようにここで本は閉じず、さらにもう一枚千切れ、空を舞う。
 やがて、二枚の紙はそれぞれ、白い光、黒い光に包まれた。

「やっほー。元気にしてたか? レーヴェン」
「お、お久しぶり……です」

 光が消え、何も書かれていない真っ白な紙が二枚、地面に落ちていた。そして、目の前には前のように光ではなく、黒を主調とした服を着ている男の子と白のワンピースのような服を着ている女の子がいた。
 ただ、サイズは妖精サイズだが、それでも前よりかは大きい。

「人間ってのは三年で結構大きくなるものだな」

 イヴィルはレンの周りをくるくると回る。
 精霊にとって、三年の時なんてそう長いものでもない。
 そして、今回なぜ二枚の紙で出てきたのかは、前の召喚が異常なのだと。二体一対の精霊でも、一枚の紙で出てこれば、力は半減する。だから今回は二枚の召喚陣から出て来たそうだ。

「で、リーネどうなんだ?」
「も、問題ないみたい。魔力の量も三年前より断然に増えてるし、眼の力も安間英使わなかったみたい」

 そんなことまでわかるのか。
 よく見ると、リーネの眼は少し変化していた。ただ、師匠とは違うのは両眼が変わっているところだ。

「で、お前たちの基準は満たせたってことでいいのか?」
「まぁ、そうだな。でもこれで認めるほど簡単じゃない。リーネ」
「う、うん」

 リーネが頷くと、パチンっと小さい指で鳴らす。
 すると、レンの視界は真っ白な光で埋め尽くされた。

 気づくと、先ほどとは違う森の中、周りにリーネとイヴィルの姿は見えない。

「何が起こったんだ?」
《そこは、リーネの作った意識下の空間。夢の中みたいな感じだ》
《そこでは、魔物が出ます。がんばって……生き残ってください》
《クリア条件は太陽が一番上に登るまで生き残っていること。ここで死んでも現実のお前は死なない、けど力は返してもらうぜ。まぁ頑張れ》
「は?」

 突然のことにレンは声をあげるが、帰ってくる声はない。
 動く必要性を感じなかったレンはそこで、日が昇るのを待つことにした。日の傾き加減から、まだ上に登るまで二.三時間はある。

 すると、草が揺れた音が聞こえた。そこから飛び出してきたのは、前に一度だけ対峙した狼の魔物だった。
 レンは素早く距離を取ると右手を前に向けた。

『クリエイト・タイプ:リボルバー』『エンチャント・ホーミング』

 レンの手にはコルトパイソンと同系統のリボルバーが生成される。そのままシリンダーの部分が光り、その光が消えるとともにレンは素早くトリガーを引いた。
 引いた回数は三回。その弾は、、突然の音にビックリし飛び退いた狼を追いかけ、そのまま足、胴体、頭を撃ち抜いた。

「こんなものか」

 レンはリボルバーを消し、周りに注意を払いながら、近くの木にもたれかかった。



「イヴィル。どうするの?」
「そうだな、熊とか当ててみるか」

 イヴィルの言葉を聞くとリーネはうなづきパチンと指を鳴らした。

 地面が揺れる。そこまで大きい揺れではないが、先ほどの狼より大きいものが迫ってきているのがわかる。

「さぁて次は何のお出ましだ?」

 そんなレンの前に現れたのは一頭の熊とか三頭の狼だった。

「まじかよ。夢の中だから共闘してくるってか?」

 レンは素早く腰の剣を抜いた。そのまま左手を突き出す。

『クリエイト・タイプ:ハンドガン』

 レンはこの三年間でオートマチックの拳銃を完成させていた。オートマチックのハンドガンはリボルバーと違い連射速度と弾数が優れている

 熊はレンを目で捉えると大きく吠えた。それを合図に狼三頭のがれんにむかってつっこんでくる。

『オプション:ナイフ』

 レンの声とともにはんどがんの銃身下にナイフが装着される。
そのまま、二発を先頭の狼に放つ。その弾丸は狼の足を捉え、地面へと倒れる。
 レンは走り、地面に倒れている狼の首をリベリオンではねて、飛び込んできた二頭目を銃剣で喉元を刺した。
 そしてその間に後ろに回り込んできた狼はレン目掛けて飛びかかる。
 レンはそれを予期していたように、剣先に集めた魔力で文字を書く。

『エイワズ』

 突如出現した魔力壁に狼の攻撃は阻まれ、空中で魔力壁にぶつかっているおおかみにむけてトリガーを引いた。

「ふぅ」

 レンが一息ついたその時、後ろから木が飛んできた

『クリエイト・タイプシールド』

 レンはハンドガンを投げ捨て、急遽作り出したたてを左手に木をうけとめようとする。
だが、木を盾で受け止めきれるわけもなく、後ろへと吹き飛ばされる。

「がはッ」

 思い切り、木に背中をぶつけた。

「結構痛いな」

 魔力を纏っていても痛いものは痛い。レンはどうにか態勢を立て直し、熊に向けてリベリオンを構えた。



「なぁ。リーネ」
「い、言わないで」
「あれ絶対暴走してるよな」
「うっ、言わないでって言ったのに……」

 リーネがイヴィルをぽかぽかと叩く。

「まぁ俺たちを従わせたきゃその歳でそれぐらいやってみせろよ」
「し、死なないでくださいね」

 祈るようなリーネの姿に、ここは死んでも大丈夫な場所だろうがとあえてツッコミを入れないイヴィルがいた。



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