異彩の瞳と銃創造者
精霊と魔霊
ここは森。言われていた条件に合うはずの場所。
レンは本を地面に置き、その本を開いた。すると、何も触っていないはずなのに本のページが捲れていく。徐々に身に当たる風が強くなっていく。
ページがパラパラと捲れて行き、やがて一枚のページがピンと立った。その一枚は音も立てずに本から離れ、強い風にもかかわらず空中で静止した。
空中で静止した紙は風が消えると同時にひらひらと地面に落ちた。レンがその紙を拾おうと近づいたとき、その視界に移ったのは紙に書かれた魔法陣だった。
起動条件は分からない。だがその魔法陣はレンが触れる前に光だした。その光は魔法陣の発動を表す。紙いっぱいに書かれた大きめの魔法陣。その意味は召喚。
レンの視界を奪うほどの光が魔法陣から発せられ、次にレンが目を開き、その目が捉えたものは白い光の玉と黒い光の玉だった。紙を見るとすでに魔法陣は消えていた。つまりしっかり発動されたということだ。
二つの光の玉はレンの周りをぐるぐると回った。まるで何かを観察するように。
「うん。良さそうだね。そっちはどう?」
「問題ない……です」
そんな声が聞こえた。二つの光はレンの前で静止している。声が聞こえた後、丸い光の玉だったはずの二つは、人型へと変化していった。
レンの前には人型になった光、白いほうが女の子へ、黒いほうが男へと変わった。大きさそのままで。
つまりちっちゃい。
「ち、ちっちゃいって……」
「しょうがないだろ? こいつは精霊なんだから」
あれ? 俺今、声に出したか?
「今考えてること当ててやろーか? 何で考えていることが分かったのか? とかだろ」
「それは私が……精霊だから」
「精霊?」
精霊はこの世界では姿を現すことすら珍しく。人になついたり、することは珍しい。その理由は、精霊が見通す眼を持っているから。その瞳は考えていることすらも見通し、嘘は通じない。人の邪悪な部分を除き、精霊は人から離れて行く。そして、そんな数少ない精霊と契約し、その力を借りることが出来るものを精霊使いという。
「まぁ、そこらへんは分かるだろ。まぁ俺は違うけど」
「じゃあ、なんなんだ?」
「俺か? 俺は魔霊ってやつだ」
魔霊、その正体はよくわかっておらず、悪魔みたいなもの、精霊とは意を反する真逆の存在と言われている存在だ。
「で、なんで俺の前に精霊と魔霊が?」
「何でってお前が呼んだんだろーが」
コクコク
魔霊の言葉に横で精霊も頷いていた。
「って言われてもな、俺もただ本を開いただけだしな」
「……本?」
「あれだよ」
レンは本がある位置を指さした。開いていたはずの本は閉じられており、白い表紙が見えていた。それを見た瞬間。何か納得したような顔をした。
「なるほどな。そう言うことか」
「納得……です」
なぜか勝手に納得し、頷いている。
「まぁ、お眼鏡にもかなってたってことで、自己紹介かな。俺の名前はイヴィル。よろしくな」
「私の名前は……リーネ。よ、よろしく」
「いや、いきなりよろしくって言われても……」
「いいから気にすんな。どうせまだ無理だし」
「はぁ、俺はレーヴェン・レイ・フォールンだ。よくわからないがよろしく?」
なぜか、レンは精霊のリーネと魔霊のイヴィルとよろしくすることになった。
「で、さっさと要件を済ませるか」
「要件?」
「私たちが呼ばれた。召喚されて願いをかなえて対価を貰う。これが一連の流れ……です」
「そう言うこと。だから聞くぜ? レーヴェン。お前は俺たちに何を望む? 俺たちはそれを聞いて、叶えた後対価を貰う」
何を望むと言われても、シスターに本渡されて開けたら出てきただけだしな。特に何も望むことは無いんだよな。
レンは顎に手を添え悩んでいた。
「何にもないのかよ。男の欲望とかないのか? 俺たちに出来ることなっ痛い」
「馬鹿……言わないの」
「チッ」
リーネがレンの周りをくるくると回りだす。どうやら観察しているようだ。すると何か思いついたのか、手をポンと合わせ、イヴィルの元へ寄っていく。そのままこちょこちょと話した後、イヴィルが話を切り出した。
「それはいいな」
「うん。私も……大丈夫」
「お前が決めないから俺たちで勝手に決めたぜ。どうせ望むものがないならいいだろ」
「いいけど、対価とかは?」
これで、余計なものを持っていかれたりしたらたまったもんじゃない。悪魔とかでよくあるのだと、寿命とか?
「そうだな。お前の人生でいいよ」
「は?」
「もっと、きちんと、説明するの」
リーネがイヴィルの頭をどつく。
「いてて、面倒だな。簡単に言えば気に入ったから契約しろ。だな」
「契約?」
「あんまりいないが精霊とかが気に入ったやつと契約して力を貸す。なんだったっけ?」
「精霊使い?」
「そう。それだ。でも俺とリーネは二人で一対だ。これまで契約できそうなやつも見つからなかったし、今のお前でもまだ無理だ」
「どうしろと」
「今あなたでは……力が足りない。そこで、私たちは三年という期間を設けます」
三年というとレンがちょうど十歳になる。ぐらいである。そもそもこれでは対価とは言えない。何を貰えるかは知らないが、その対価にレンが力を貰っては意味がない。
「ははっ、考えてることは分かるぜ。だからここで落としてやるよ。その三年後に俺たちを受け入れられなかったら、その命を貰う」
「はぁ!?」
レンの驚きの声を無視して白と黒の光が寄ってくる。それはレンの眼に触れた。白は右眼。黒は左眼に、すると両眼に同時に痛みが走る。レンの口から苦悶の声が漏れる。
「まだ身に余る力だ。だが君ならそれを自分のものに出来ると信じているぜ。じゃあな、また三年後。期待しながら待ってるぜ。レーヴェン・レイ・フォールン」
「頑張って……下さい。私も待ってますから」
その声を聞き、レンは痛みを堪えながら両眼を開いた。その視界に映ったのは消える白と黒の光と、肩で息をしているルドラの姿だった。
ルドラは必死に走っていた。森から帰る途中に感じた違和感。急に起こった強い風。とても普通には感じられなかった。そんな僕の頭の中に浮かんだのは、レーヴェンの顔だった。きっとこの風、妙に感じるこの違和感、彼が関係している。そう思った。
直ぐに来た道を戻り、彼と会っていた場所に戻ってきた。その時ルドラが目にしたのは白と黒の光。そしてそれが消えて、僕のことを目で捉えた前とは違う、彼の二色の瞳だった。
レンは本を地面に置き、その本を開いた。すると、何も触っていないはずなのに本のページが捲れていく。徐々に身に当たる風が強くなっていく。
ページがパラパラと捲れて行き、やがて一枚のページがピンと立った。その一枚は音も立てずに本から離れ、強い風にもかかわらず空中で静止した。
空中で静止した紙は風が消えると同時にひらひらと地面に落ちた。レンがその紙を拾おうと近づいたとき、その視界に移ったのは紙に書かれた魔法陣だった。
起動条件は分からない。だがその魔法陣はレンが触れる前に光だした。その光は魔法陣の発動を表す。紙いっぱいに書かれた大きめの魔法陣。その意味は召喚。
レンの視界を奪うほどの光が魔法陣から発せられ、次にレンが目を開き、その目が捉えたものは白い光の玉と黒い光の玉だった。紙を見るとすでに魔法陣は消えていた。つまりしっかり発動されたということだ。
二つの光の玉はレンの周りをぐるぐると回った。まるで何かを観察するように。
「うん。良さそうだね。そっちはどう?」
「問題ない……です」
そんな声が聞こえた。二つの光はレンの前で静止している。声が聞こえた後、丸い光の玉だったはずの二つは、人型へと変化していった。
レンの前には人型になった光、白いほうが女の子へ、黒いほうが男へと変わった。大きさそのままで。
つまりちっちゃい。
「ち、ちっちゃいって……」
「しょうがないだろ? こいつは精霊なんだから」
あれ? 俺今、声に出したか?
「今考えてること当ててやろーか? 何で考えていることが分かったのか? とかだろ」
「それは私が……精霊だから」
「精霊?」
精霊はこの世界では姿を現すことすら珍しく。人になついたり、することは珍しい。その理由は、精霊が見通す眼を持っているから。その瞳は考えていることすらも見通し、嘘は通じない。人の邪悪な部分を除き、精霊は人から離れて行く。そして、そんな数少ない精霊と契約し、その力を借りることが出来るものを精霊使いという。
「まぁ、そこらへんは分かるだろ。まぁ俺は違うけど」
「じゃあ、なんなんだ?」
「俺か? 俺は魔霊ってやつだ」
魔霊、その正体はよくわかっておらず、悪魔みたいなもの、精霊とは意を反する真逆の存在と言われている存在だ。
「で、なんで俺の前に精霊と魔霊が?」
「何でってお前が呼んだんだろーが」
コクコク
魔霊の言葉に横で精霊も頷いていた。
「って言われてもな、俺もただ本を開いただけだしな」
「……本?」
「あれだよ」
レンは本がある位置を指さした。開いていたはずの本は閉じられており、白い表紙が見えていた。それを見た瞬間。何か納得したような顔をした。
「なるほどな。そう言うことか」
「納得……です」
なぜか勝手に納得し、頷いている。
「まぁ、お眼鏡にもかなってたってことで、自己紹介かな。俺の名前はイヴィル。よろしくな」
「私の名前は……リーネ。よ、よろしく」
「いや、いきなりよろしくって言われても……」
「いいから気にすんな。どうせまだ無理だし」
「はぁ、俺はレーヴェン・レイ・フォールンだ。よくわからないがよろしく?」
なぜか、レンは精霊のリーネと魔霊のイヴィルとよろしくすることになった。
「で、さっさと要件を済ませるか」
「要件?」
「私たちが呼ばれた。召喚されて願いをかなえて対価を貰う。これが一連の流れ……です」
「そう言うこと。だから聞くぜ? レーヴェン。お前は俺たちに何を望む? 俺たちはそれを聞いて、叶えた後対価を貰う」
何を望むと言われても、シスターに本渡されて開けたら出てきただけだしな。特に何も望むことは無いんだよな。
レンは顎に手を添え悩んでいた。
「何にもないのかよ。男の欲望とかないのか? 俺たちに出来ることなっ痛い」
「馬鹿……言わないの」
「チッ」
リーネがレンの周りをくるくると回りだす。どうやら観察しているようだ。すると何か思いついたのか、手をポンと合わせ、イヴィルの元へ寄っていく。そのままこちょこちょと話した後、イヴィルが話を切り出した。
「それはいいな」
「うん。私も……大丈夫」
「お前が決めないから俺たちで勝手に決めたぜ。どうせ望むものがないならいいだろ」
「いいけど、対価とかは?」
これで、余計なものを持っていかれたりしたらたまったもんじゃない。悪魔とかでよくあるのだと、寿命とか?
「そうだな。お前の人生でいいよ」
「は?」
「もっと、きちんと、説明するの」
リーネがイヴィルの頭をどつく。
「いてて、面倒だな。簡単に言えば気に入ったから契約しろ。だな」
「契約?」
「あんまりいないが精霊とかが気に入ったやつと契約して力を貸す。なんだったっけ?」
「精霊使い?」
「そう。それだ。でも俺とリーネは二人で一対だ。これまで契約できそうなやつも見つからなかったし、今のお前でもまだ無理だ」
「どうしろと」
「今あなたでは……力が足りない。そこで、私たちは三年という期間を設けます」
三年というとレンがちょうど十歳になる。ぐらいである。そもそもこれでは対価とは言えない。何を貰えるかは知らないが、その対価にレンが力を貰っては意味がない。
「ははっ、考えてることは分かるぜ。だからここで落としてやるよ。その三年後に俺たちを受け入れられなかったら、その命を貰う」
「はぁ!?」
レンの驚きの声を無視して白と黒の光が寄ってくる。それはレンの眼に触れた。白は右眼。黒は左眼に、すると両眼に同時に痛みが走る。レンの口から苦悶の声が漏れる。
「まだ身に余る力だ。だが君ならそれを自分のものに出来ると信じているぜ。じゃあな、また三年後。期待しながら待ってるぜ。レーヴェン・レイ・フォールン」
「頑張って……下さい。私も待ってますから」
その声を聞き、レンは痛みを堪えながら両眼を開いた。その視界に映ったのは消える白と黒の光と、肩で息をしているルドラの姿だった。
ルドラは必死に走っていた。森から帰る途中に感じた違和感。急に起こった強い風。とても普通には感じられなかった。そんな僕の頭の中に浮かんだのは、レーヴェンの顔だった。きっとこの風、妙に感じるこの違和感、彼が関係している。そう思った。
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コメント
翡翠の幼女
(#・ω・)「funny. very funny」