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異彩の瞳と銃創造者

創伽夢勾

パーティと興味

 ついにこの日が来てしまった。あれからちょうど三日。今日はシルルー領に住まう貴族やフォールン家と親しく接してきた家への言うなればお披露目会だ。適性の儀が終わり、その結果が出てから一.二週間後以内に行うものらしい。
 もちろん二年前にもレレーナの適性の儀があったため、このパーティは行われている。その時レンはというと書庫に籠り、本を読んでいました。

「こんなことなら、姉さんのパーティがどんなものか覗いておけばよかった」
「ふふっ、そんなこと今更言っても遅いですよ。はいできました!」

 アイラがレンのパーティ用の服を整える。
 この三日間レンは、このパーティのことを考えていながらもしっかりと、修行もとい、銃の研究も並行して進めてきた。まだアルム達にはばれていない、はずだ。

「大丈夫ですよ、レン様はかっこいいですし、適性の儀も問題は……ありましたが、優秀な結果には変わらないのですから。
「プレッシャーかけないで、でもありがとう」

 髪のセットも終わり、屋敷の大広間へと向かう。
 夕方が近くなると、全然いなかったはずの大広間に人がだんだんと増えていく。約束の時間。主催者であるアルムが一段高くなっている演台に立つ。

「今日は忙しい中、集まって頂き感謝する。先日、次男のレーヴェンが七歳になり、無事に? 適性の儀を終え、こうしてパーティを開くこととなった。短い時間だが楽しんでくれ。それでは主役の登場だ。レン入って来い」

 アルムが、手をドアの方へと向ける。それを合図にアイラともう一人のメイドが扉を開ける。レンは招待客の視線を浴びながら、さっきまでアルムが立っていた、演台へと向かう。すでにアルムは退いており、残すはレンのあいさつのみだ。
 演台へと立ち、周りを見渡す。予想以上に人が多い、一度深呼吸を挟み、息を整えた。

「初めまして、レーヴェン・レイ・フォールンです。先日、無事七歳を迎え、適性の儀も終えました。まだまだ分からないことも多いので、皆様に教わりながら頑張っていきたいと思います。これからもよろしくお願いいたします」

 そしてレンは挨拶の締めに礼をする。
 パチと拍手が一つ。そこから連鎖するようにパチパチと拍手の音が大きくなっていく。
 横をちらっと見ると、シウナは笑顔、アルムは親指を立て、アイラは苦笑い。

「それでは、これからも、フォールン家共々よろしく頼む。乾杯!」

 アルムが最後を締め、広間にグラス同士のぶつかる音が聞こえ始めた。

 これで……よかったのか? そう思いつつもレンは演台から降り、アルムの元へと向かう。アルムの周りにはすでに人が集まっており、アルムはレンを見ると、すぐに手招きした。
 アルムは陽気にレンに知り合いの貴族を紹介していく。

「レン。こいつはマグナ。今は商人をやっていて、私の昔仲間だ」
「どうも、マグナ・アヴァトです。貴族ではありませんが、これとはか良くさせてもらっています。何かあれば、アヴァト商会へいらしてください。歓迎いたします」
「これ扱いは気に食わんが、出来るやつだ。何かあったら頼れ」
「はい。レーヴェン・レイ・フォールンです。よろしくお願いします。マグナさん」

 レンは頭を下げ、マグナもあわてて頭を下げる。握手を交わすとマグナは離れて行き、次の人に移る。

「お久しぶりです。アルム殿。初めましてレーヴェン様。私はウェル・ウィル・ウォールと申します。一応男爵で文官をしております」
「久しぶりだな。ウィルはここら辺の領地についても詳しい。分からないことがあったら教えてもらえ」
「ウィル男爵、シルルー領ついてまた機会があれば教えていただけますか?」
「はい。私で避ければば喜んで」

 この後も何人も紹介が続いた。たくさんの貴族、商人、奴隷商なんかもいたな。これがみんな自分のことを目当てで来たと考えるとなんだか落ち着かない。七歳のレンに婿に来てほいとか言い出す始末だ。アルムが止めてくれたが、子供にするような話ではない。
 レンはアルムに少し疲れたので、他の場所を回ってみると伝え、その場を離れた。
 その足でレンは、庭に出ていた。

「ふぅ、息が詰まるよ」
「そうだね」
「だろー? パーティってこんなにも疲れるものだ……っけ?」

 あれ? 俺、誰としゃべってるんだ?
 レンはすぐに振り向く。

「ふふっ、やっと振り向いたね。普通に会話を続けようとするから、焦ったよ」

 そこには、青い髪でレンより少し背の高い、美少年がいた。

「僕の名前はルドラ・イラ・アルライト。今年で七歳。君と同い年だよ。レーヴェン君。おっと様付がいいかな?」
「いや、様はいらない。で僕に何か用かな?」
「ふふっ、僕はただ君という人物が気になるのさ」

 そう話しながらルドラはレンの周りを歩いて回る。

「僕に興味があるねぇ、まず僕は君と接点とかまず初めて会ったんだけど」
「そうだね。僕たちは初対面だ。だけど僕は君を見ている。三日前に森で」

 三日前? 森? その情報で分かるのはコルトパイソンのため仕打ちをした時だということ。

「バァン」

 ルドラが手で銃の形を作り、それをレンに向けると銃声を口で再現した。
 これが示すことは、ルドラにレンの物質創造魔法及び、銃を見られたということだ。

「そう、僕はあの謎の武器と呼べるのかな、あれを見てから君に興味を持った。調べたらすぐに君だとわかったよ。ねぇレーヴェン君? 僕にもそれ教えてくれない?」
「いやだ」
「即答だね」
「それだと僕には何のメリットも残らない」

 これは交渉事だ。
 レンは別に銃について隠していきたいわけでもない。今後も使っていくつもりだし、しいて言うなら家族を驚かせたいとかそれぐらいだ。使わなければいけない場面になれば、迷いなく使う。まぁ出来るだけ、とは少しは思っているけど。

「なら僕に何を求める?」
「まず、僕はルドラ……君がいいかな?」
「いいよ、呼び捨てで」
「じゃあ僕の方も呼び捨てでいい。まず僕はルドラのことを全然と言っていいぐらいに知らない」
「そうだね、僕も君をあの一件と今回でしか見てないからね。僕の方も同様だよ」
「ルドラが何をできるのか、知らないと僕は何も君に求めることが出来ない」
「うん。そうだねその理屈は通っている。ふむ」

 ルドラは顎に手を当て考え始めた。少し経つと、服のポケットから紙を取り出した。それはレンも見たことがあるものだった。

「ならまず、情報開示と行こう。別に隠すほどの物でもないしね」
「わかった。だが、僕のはちょっと特殊だ、そこまで期待するなよ」

 レンとルドラはお互いに適性の紙を交換する。レンはルドラから紙を受け取ると早々に開いた。


『ルドラ・イラ・アルライト

 魔法適性:

 火:〇水:×風:×土:〇
 闇:〇光:×氷:×雷:×
 無:錬金魔法

 才能適正

 錬金の才能
 鍛冶の才能
 薬の才能
 計算の才能
 魔法の才能
 知識の探求』

 錬金魔法。そこまでよくは知らないが、この単語で思い浮かぶのはゴーレムとかそこらへんかな。
 魔法の才能に、鍛冶の才能。それと知識の探求。これについてはよくわからないな。

「一通り確認はできたかな? レーヴェンのは、ほとんどわかんないけど、それでも全属性適性で、無属性魔法は三つ、それに才能の数も多い。ますます興味がわくね」

 レンとルドラは紙を返し、互いに、適性の内容の口外をしないことを約束した。

「よし、じゃあ改めて自己紹介を、まぁ名前は省くけど、趣味は才能を見てわかる通り、モノづくりだよ。武器や防具、薬とか、かな。得意な魔法は土魔法とそれを利用した錬金魔法。戦闘は苦手だよ」
「じゃあ次は僕の番かな、名前は省くよ。趣味は剣を振ること、武器の開発、魔法の研究かな。戦闘はまぁ、そこそこ実戦経験はほとんどないからよくわからないけど。得意魔法は、風・雷あたりかな。他はまぁぼちぼち。後、無属性魔法については今はスルーさせてもらうよ。ってこんなもんかな」

 互いに情報をどんどん開示していく。

「へぇ、同じ七歳とは思えない趣味だね」
「そっくりそのまま返すよ」
「こうしてても埒が明かないね。ふむ」

 ルドラが、再び顎に手を当てて考え始める。すると、大広間から庭に通じる扉が開く。

「レン様?」

 扉の隙間からひょこっと顔を出したのはアイラだった。

「あら、お迎えが来ちゃったみたいだね。そろそろパーティも終わりかな」
「みたいだな」

 レンは大きく手を振り、アイラにここにいることを伝える。どうやら閉めに入るらしく、レンのことを探していた様だ。レンはすぐに行くと伝え、アイラは先に戻っていった。
 レンは大広間に戻るため、ルドラの横を抜ける。レンは横を抜けるときにこう囁いた。

「三日後、昼過ぎにあの森、同じ場所で待ってる」

 それだけ伝えると、レンはさっさと広間へ戻っていった。
 レンは少なからず、ルドラという人物に興味を持った。ということだ。

「ふふっ、いいね。三日後、楽しみにしてるよ。レーヴェン」

 ルドラはレンとの接触でより彼に興味を持った。なんとしても手に入れたい。そう思うほどに。ルドラもパーティ会場に戻るために、扉へと向かった。

 アルムのあいさつを締めにレンのお披露目会は終了した。招待客が帰りはじめ、レンも片付けの手伝いに入る。アイラに無用と言われても無理やり手伝った。
 その後、アルムに呼ばれ、レンはアルムの執務室に来ていた。

「やっと来たか。どうだ、疲れたか?」
「まぁ、ほどほどに。それでなんにか僕に用が?」
「あぁ、適性の儀を再度行うことになった。日にちは二日後」
「ずいぶんと急ですね」
「そうだな。私もシウナも仕事が入っていて参加は出来そうにない。アイラにはもう伝えてある。馬車も用意してあるから二人で向かってくれ」
「わかりました」

 アルムはそれだけ言うと、机の上の種類と向き合い始めた。領主というのも大変みたいだ。
 レンは執務室を出ると、すぐに書庫に向かい、また本を読み始めた。





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