異彩の瞳と銃創造者

創伽夢勾

重力と付与

コン

「レーヴェンです。ただいま帰りました」

 レンは帰ってすぐにアルム執務室を訪れていた。ノックすると、なぜか中からシウナの声が聞こえ、入室の許可が下りた。

「失礼します」
「結果はどうだった?」

 中に入るとすぐにアルムから結果を聞かれる。シウナが執務室にいた理由はどうやら、お仕事らしい。眼鏡をかけているから間違いない。シウナは仕事などで書類に目を通すときは眼鏡をしている。

「えっとですね……」

 レンはシスターのことも含めて、適性の儀式の繊細を伝えた。消えたことまで話すと、二人して驚いていた。

「それホントなの?」
「はい。後でアイラにも確認を取って頂ければ、アイラも現場を目撃しているので」
「わ、分かったわ」

 そうして、少し話した後本題に入った。レンは服の内ポケットに入っている黒い紙を取り出す。黒いというだけで、アルムは驚いていたが、とりあえず開いて机の上に置いてみた。

「無属性魔法が三つと、それになんだ。この物質創造魔法って言うのは!」

 あれ? アルムならここにも突っ込みを入れるだろうと思っていた、精霊眼と魔眼の適性についてのコメントがない。そう言えば馬車の中でアイラに見せたときもこの二つには触れられなかった。まさか、俺以外の人物には見えないとか?
 レンはアルムに才能適正の欄をもう一度確かめてもらい、アルムの指を目線で追っていく。すると、その指は精霊眼の適性の一個前の情報の才能の項目でアルムの指は止まった。

「ありがとうございます。それで、物質創造魔法については……」
「話していってくれるよな?」
「……はい」

 結局、物質創造魔法についてはレンが一から説明することになった。他のものは本当に知らないで、後ほどということになった。それと案の定。このことについて家族やアイラ以外への口外は出来るだけ控えるよう言われた。

「さぁて、書庫に向かいますか」

 レンの足は執務室を出ると、そのまま書庫へと向かっていった。書庫に着き、レンは中に入ると内側から鍵を閉める。
 とりあえず確かめるのは重力魔法だ。重力魔法についての本を漁る。無属性の魔法それも重力魔法の書物なんて……一冊だけありました。

「えーっと? 重力魔法は対象に触れる事で発動させることが出来るっと。次はできることの項目は、これか、重力魔法で出来ることは真野の重さを軽くする重くする。物を浮かせる、引き寄せる、引き離すなどだ。浮かせたりするのにはそれなりの魔力操作と魔力量を要求される。その両者に優れたものは自信を宙に浮かせたという。か、とりあえずやってみますかね」

 レンはすぐ近くにあった花瓶に触れて、魔力を掌に集中させる。そして詠唱を省略させ、起動式で短縮化する。

『ライトフィール』

 そしてそのまま、花瓶を手に持ってみる。水も入り、それなりに重さを感じるはずの花瓶に重さをほとんど感じなかった。
 次に試すのは重くする方だ。先と同じ手順を繰り返し、花瓶を机の上においてから、起動式を唱える。

『ヘヴィーフィール』

 そのまま花瓶を持ち上げようとする。すると先ほどとは逆に、花瓶を両手でぎりぎり持てるぐらいまで重たくなっていた。レンは花瓶を机の上に戻すと、重力魔法を解いた。
 この重力魔法を使えば、重たい物を軽々持てるし、例えば武器で言う大剣などを振り下ろすときに重くすれば威力を増すことだってできる。他にも引き寄せるなども使えるようになれば、戦いの幅が広がる。結構便利な魔法だ。

「空も飛べるなら飛んでみたいな」


 レンは次に付与魔法についての本を探した。付与魔法の本は意外と早く見つかった。重力魔法と違い、まだ持っている人が多かったのか、本は二.三冊見つかった。
 本に書いてあることは三冊ともそこまで変わらなかった。簡単に言えば、武器に炎や雷を纏わせたり、物への効果付与などだ。例えば、枝に斬の付与魔法をかけると、枝でも紙を切ることが出来る。付与魔法は難易度が高いが、自由性の高い魔法だ。使い手は知識と技術を求められるということだ。

「とりあえず試してみるか」

 レンは右手に手ごろな鉄の棒を作り出す。後は重力魔法と手順は一緒だ。起動式を登録して唱えるだけ。

『エンチャント:ファイア』

 起動式を唱えると、棒の周りに炎が宿る。炎は鉄の棒を溶かすことは無く、術者であるレンが炎に触れても熱くはない。ただ、炎を宿した鉄の棒以外は燃えるし、術者以外のものが触れればもちろん火傷を負う。ここら辺の操作は術者次第になりそうだ。

「意外と便利だな。他にも効果なんかも付与できるみたいだし、もっと本を読んで勉強するかな」

 現時点で、才能関連は気にすることは無い。気になるのは精霊眼と魔眼ぐらいだ。

「明日は昼からルドラと森で合うことになってるし、用が済んだらこの本を森の中で開けてみるかな」

 二回目の適性の儀でシスターにもらった大きめの本。本物のシスターかはわからないけど。シスターに出来るだけ、自然な場所と言われ最初に浮かんだのはあの森だ。

 時計を確認すると、もう少しで、夕食の時間だった。レンは読む予定の本を何冊か、自室に運んだあと、食堂に向かった。

 食堂に顔を出すとすでに家族はそろっていた。その輪のいつも空白な椅子の上にはニーナが座っていた。

「これからはねニーナも体調がいい時は一緒にご飯を食べることにしたの」

 レンの表情を読みニーナはそう答えた。
 やばいやばい、表情に出てたみたいだ。気を付けないとな。
 レンはいつもの席へと腰を下ろす。その少し後ろにアイラが立っている。

「レン兄さま明日また勉強教えてくれる?」
「何言ってるの? 明日は私と模擬戦をするの」

 食事も進み話の中で明日の予定について聞かれた。そして食卓を挟みレレーナとニーナの視線がバチバチと交差している。そんな様子に周りは苦笑いしながらレンへと視線を送る。目線で何とかしろと言っているのだ。

「ごめん明日は先約があるんだ」

 この返し方は予想外だったのか、全員が驚いていた。

「ど、どういうこと?」
「誰とです!?」

 レレーナとニーナが付くへに手を付き、体をレンの方へと向け迫るように尋ねた。

「父上。アルライトという名前はご存知ですよね?」
「あぁ、もちろんだ。先日のパーティにも来てくれていたな。それがどうしたんだ?」
「実はですね、アルライトのご子息とパーティで仲良くなりまして、明日遊ぶ約束をしているのです」

 レンの言葉を聞くと、レレーナとニーナは体を戻し椅子に座りなおす。二人とも何かぶつぶつ言っているがそれはレンには聞こえない。

「それは仕方ないな。二人は諦めて別の日に頼め。それで、どこで遊ぶんだ?」
「ここの近くです。そこまで遠くまで行きませんので」

 遊ぶとは少し違うが、遠くではないなって言ってもすぐそこの森だしな。歩いてもそこまで時間はかからない。アルムからは一応危ないことはするな。早めに帰ってくること。この二つを条件に外出が許された。
 友達が出来た。そう思っているシーナはいつもより多く料理を食べてしまい、後悔していたり、アルムが仕事にやる気になったり、レレーナとニーナが相手が女の子じゃなくてほっとしていることをレンは知る由もなかった。


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