Waving Life ~波瀾万丈の日常~
50話 更なる前進
更なる前進
1
1日、日付が進んだ。
いつも通りに蘭華と登校して、今は1限開始15分前。
かなりの生徒が登校してきている。
「なぁ、剣也」
右肩をポンポンと叩かれた。
肩を叩いたのは半弥だ。
昨日、俺はこいつに頬を叩かれた。
その痛みは今も覚えているほど痛かった……。
どっちかと言えば、頬より心が……。
叩かれた原因は俺にあった。
見え透いた嘘をついていたのだから。
そして堪忍袋の緒が切れた半弥は俺を叩いて教室を出ていったのだ。
まだ仲直りをしたわけではない。
でもほぼいつも通りに話しかけてきたのには理由がある。
それは昨日のことだ。
先輩の財布をほぼ空にした俺たち2人は、かなり暗くなった夜道を歩いていた。
その最中、あまり話さなかった間にあった出来事を話していると半弥の話題になった。
「……。それで半弥と喧嘩したんだよ」
「なるほど。私が変なことしなかったらこんな事にならなかったのに……。ごめん!」
手を合わせて謝ってくる。
「いや、悪かったのは俺だよ。嘘ついたのが悪いんだから……」
「でも……。私にも責任あるし、仲直りの手伝いさせて欲しいな」
「それはありがたいけど、何か手があるの?」
「ん〜……」
暫くの間、顎あたりに右手を当てて考え込む。
そして突然閃いたのか、両手をポンっと叩いた。
「私に任せて!」
そう言った蘭華は、ポケットから携帯を取り出した。
携帯には入学直後に行った遊園地で買った観覧車のキーホルダーが付いている。
お気に入りのようだ。
「もしもし〜?みっちゃん?」
みっちゃん……。
ミツキ?ミチル?ミチコ?
どれも知り合いにはいない名前だ。
み……、みさき?
桃山さんか!
そう言えば、夏祭りの時にそう呼んでいたのを1度聞いたような……。
一体桃山さんに何をお願いするのだろうか?
「お願いがあるんだけど……」
街灯がそこそこ立っていながらも暗い夜道を歩きながら蘭華は話を進める。
途中途中、俺の名前が出てきたので事情を説明したのだろう。
そして全て伝え終わったあたりで話が終わりに向かう。
「うん。うん。本当?よろしく!今度、お礼するね!じゃあ、おやすみ!」
そう言って蘭華は携帯を閉じた。
「一体何を頼んだんだ?」
「半弥君ってみっちゃんに好意を抱ているでしょ?」
「まぁ。一方の桃山さんはむしろ嫌悪感を抱いているけどね……」
「だからみっちゃんに直接誤解を解いてもらおうと思って」
「なるほどな……。桃山さんにはすごい迷惑なお願いな気もするけど名案か」
色々話しているといつの間にか、いつもの分かれ道までやってきた。
「じゃあ、おやすみ剣也!」
「あぁ、また明日な!」
そう言って俺たちは別れたのだ。
そして今に至る。
多分、桃山さんが嫌々ながらも誤解を解いてくれたのだろう。
半弥からは反省の色が見てとれた。
「悪かったな……。誰だって話したくないことくらいあるのにさ……。それに頬叩いたりして……。ホントごめん!」
半弥はそう言って深々と頭を下げる。
別にそんなに謝らなくてもいいのに……。
「俺の方こそ悪かったよ。嘘ついたりして。ごめん!」
俺も深々と頭を下げた。
そして同時に頭を上げると、2人とも目が合った。
そして自然と笑いが起こる。
「ははっ!なんか馬鹿らしくなってきた!」
半弥がそう言ってくる。
確かに色々考えすぎてたのが、喧嘩の原因だったのだ。
少しくらい楽観的に考えても良かったのかもしれない。
「とりあえず、これからもよろしくな!何かあったら相談する!」
今は彼を心から信頼出来る。
そんな気がする。
だから相談してもいいと思えた。
「あぁ、どんとこい!」
そう言って半弥は自分の胸を叩いて、任せろ!という意思表示をしてくる。
強く叩き過ぎてむせてたけど……。笑。
そんなこんなで、俺たちは仲直り出来たのだった。
2
1限の古典が終わり、次の授業は移動教室なので教室を出る。
3組の1つ横にある展開教室へと足を進める。
3組の教室前で見かけたのは桃色の長髪だ。
それは、英語の準備を持って立っているのは桃山さんだった。
「桃山さん!」
「あ、蔭山さん。おはようございます!」
「うん、おはよ!」
元気で爽やかな挨拶を聞くとこっちも元気になれる気がする。
「そうだ、蔭山さん。どうでした?」
「お陰で何とかなったよ。ありがとう!」
「ナンパ男と会話するのが相当辛かったですが、蔭山さんの役に立てたのなら良かったです!」
「ごめんね……。変なことやらせちゃって……」
「いえいえ」
「じゃあ、俺は行くね!」
「あ、待ってください!」
ん?
俺が展開教室へと向かおうと一歩踏み出すと、桃山さんに止められた。
「話し方のこと何ですけど……。やっぱり敬語じゃないと落ち着かないです。意識してもすぐに戻ってしまいますし……。今もですけど。笑」
あはは、と彼女は苦笑いしていた。
「うん、そうだね。桃山さんがそうしたいなら、それでいいと思うよ」
「じゃあ、これからもよろしくお願いしますね!蔭山さん」
「うん、よろしく!」
そう俺が言うと、彼女は俺に一礼してから向かう先へと足を進めた。
『桃山さん、ありがとう!』と、もう1度心の中で感謝を述べて俺も授業へと向かった。
こうして、学校祭を迎える前に元の関係に戻ることが出来た。
でも、戻ったのではなく多分それは進んだのだ。
俺たちの関係はこれから先もどんどん進んでいく。
その事に期待をして俺たちは、波乱万丈の日々を過ごしていく。
1
1日、日付が進んだ。
いつも通りに蘭華と登校して、今は1限開始15分前。
かなりの生徒が登校してきている。
「なぁ、剣也」
右肩をポンポンと叩かれた。
肩を叩いたのは半弥だ。
昨日、俺はこいつに頬を叩かれた。
その痛みは今も覚えているほど痛かった……。
どっちかと言えば、頬より心が……。
叩かれた原因は俺にあった。
見え透いた嘘をついていたのだから。
そして堪忍袋の緒が切れた半弥は俺を叩いて教室を出ていったのだ。
まだ仲直りをしたわけではない。
でもほぼいつも通りに話しかけてきたのには理由がある。
それは昨日のことだ。
先輩の財布をほぼ空にした俺たち2人は、かなり暗くなった夜道を歩いていた。
その最中、あまり話さなかった間にあった出来事を話していると半弥の話題になった。
「……。それで半弥と喧嘩したんだよ」
「なるほど。私が変なことしなかったらこんな事にならなかったのに……。ごめん!」
手を合わせて謝ってくる。
「いや、悪かったのは俺だよ。嘘ついたのが悪いんだから……」
「でも……。私にも責任あるし、仲直りの手伝いさせて欲しいな」
「それはありがたいけど、何か手があるの?」
「ん〜……」
暫くの間、顎あたりに右手を当てて考え込む。
そして突然閃いたのか、両手をポンっと叩いた。
「私に任せて!」
そう言った蘭華は、ポケットから携帯を取り出した。
携帯には入学直後に行った遊園地で買った観覧車のキーホルダーが付いている。
お気に入りのようだ。
「もしもし〜?みっちゃん?」
みっちゃん……。
ミツキ?ミチル?ミチコ?
どれも知り合いにはいない名前だ。
み……、みさき?
桃山さんか!
そう言えば、夏祭りの時にそう呼んでいたのを1度聞いたような……。
一体桃山さんに何をお願いするのだろうか?
「お願いがあるんだけど……」
街灯がそこそこ立っていながらも暗い夜道を歩きながら蘭華は話を進める。
途中途中、俺の名前が出てきたので事情を説明したのだろう。
そして全て伝え終わったあたりで話が終わりに向かう。
「うん。うん。本当?よろしく!今度、お礼するね!じゃあ、おやすみ!」
そう言って蘭華は携帯を閉じた。
「一体何を頼んだんだ?」
「半弥君ってみっちゃんに好意を抱ているでしょ?」
「まぁ。一方の桃山さんはむしろ嫌悪感を抱いているけどね……」
「だからみっちゃんに直接誤解を解いてもらおうと思って」
「なるほどな……。桃山さんにはすごい迷惑なお願いな気もするけど名案か」
色々話しているといつの間にか、いつもの分かれ道までやってきた。
「じゃあ、おやすみ剣也!」
「あぁ、また明日な!」
そう言って俺たちは別れたのだ。
そして今に至る。
多分、桃山さんが嫌々ながらも誤解を解いてくれたのだろう。
半弥からは反省の色が見てとれた。
「悪かったな……。誰だって話したくないことくらいあるのにさ……。それに頬叩いたりして……。ホントごめん!」
半弥はそう言って深々と頭を下げる。
別にそんなに謝らなくてもいいのに……。
「俺の方こそ悪かったよ。嘘ついたりして。ごめん!」
俺も深々と頭を下げた。
そして同時に頭を上げると、2人とも目が合った。
そして自然と笑いが起こる。
「ははっ!なんか馬鹿らしくなってきた!」
半弥がそう言ってくる。
確かに色々考えすぎてたのが、喧嘩の原因だったのだ。
少しくらい楽観的に考えても良かったのかもしれない。
「とりあえず、これからもよろしくな!何かあったら相談する!」
今は彼を心から信頼出来る。
そんな気がする。
だから相談してもいいと思えた。
「あぁ、どんとこい!」
そう言って半弥は自分の胸を叩いて、任せろ!という意思表示をしてくる。
強く叩き過ぎてむせてたけど……。笑。
そんなこんなで、俺たちは仲直り出来たのだった。
2
1限の古典が終わり、次の授業は移動教室なので教室を出る。
3組の1つ横にある展開教室へと足を進める。
3組の教室前で見かけたのは桃色の長髪だ。
それは、英語の準備を持って立っているのは桃山さんだった。
「桃山さん!」
「あ、蔭山さん。おはようございます!」
「うん、おはよ!」
元気で爽やかな挨拶を聞くとこっちも元気になれる気がする。
「そうだ、蔭山さん。どうでした?」
「お陰で何とかなったよ。ありがとう!」
「ナンパ男と会話するのが相当辛かったですが、蔭山さんの役に立てたのなら良かったです!」
「ごめんね……。変なことやらせちゃって……」
「いえいえ」
「じゃあ、俺は行くね!」
「あ、待ってください!」
ん?
俺が展開教室へと向かおうと一歩踏み出すと、桃山さんに止められた。
「話し方のこと何ですけど……。やっぱり敬語じゃないと落ち着かないです。意識してもすぐに戻ってしまいますし……。今もですけど。笑」
あはは、と彼女は苦笑いしていた。
「うん、そうだね。桃山さんがそうしたいなら、それでいいと思うよ」
「じゃあ、これからもよろしくお願いしますね!蔭山さん」
「うん、よろしく!」
そう俺が言うと、彼女は俺に一礼してから向かう先へと足を進めた。
『桃山さん、ありがとう!』と、もう1度心の中で感謝を述べて俺も授業へと向かった。
こうして、学校祭を迎える前に元の関係に戻ることが出来た。
でも、戻ったのではなく多分それは進んだのだ。
俺たちの関係はこれから先もどんどん進んでいく。
その事に期待をして俺たちは、波乱万丈の日々を過ごしていく。
「恋愛」の人気作品
書籍化作品
-
-
439
-
-
337
-
-
89
-
-
381
-
-
52
-
-
314
-
-
104
-
-
22803
-
-
11128
コメント