Re:legend

りゅう

571:未来の話


リュウさんが消えた日、ピュレットの王城は大混乱に陥っていた。
精神的支柱のリュウさんと今までリュウさんがいないときは必ずみんなをまとめていたハルカさんまでいなくなってまとめ役がいなくなっていた。
「だから少し落ち着きなさいって言ってるでしょう」
「無理に決まってるじゃない!」
王城の大会議室で荒れた声を発しているのは姉を助けたい一心で今にも王城を飛び出そうとしているエリカさんだった。そんなエリカをフランさんは全力で止めていた。
「リュウさんが戻ってくるまで…いや、せめて今日の戦いで傷ついた人たちが回復魔法で充分に回復してもらえるまで待ちなさい」
「そんなことしてるうちにお姉ちゃんが殺されたらどうするのよ!」
先程からずっとこのようなやりとりを繰り返していた。私とアミちゃん、ニコルちゃん、ゆめみちゃんはそのやりとりを不安そうな表情で見ていることしかできなかった。
「お願いだから邪魔しないで、邪魔するならあなたを倒してでもお姉ちゃんを助けに行くから」
その言葉が本気だということを証明するかのようにエリカさんは覚醒状態になった。
「力強くでくるならこちらも力強くで対処させていただきます」
そういいながらフランさんは精霊神の力を使い精霊神モードになった。
お互い本気で戦うという意思表示をして、睨み合った。
「少し落ち着きなさい」
そんな2人の間にソフィラさんが立ち2人を止めた。
「エリカさん、焦る気持ちはわかりますが、あなたが1人で行っても殺されるな捕まるかです。無駄なことはやめなさい」
「……じゃあ、どうしろって言うの?このまま何もしないでリュウが戻ってくるのを待ってろって言うの?そんなことできるわけないじゃない!」
「じゃあ、君に何ができる?あの子を助けるために1人で敵に立ち向かって死ぬか?それをみんなは望むと思う?」
「………」
「はっきり言って今、君にできることはない。今はそういう状態だ。だが、今何かできなくても未来にできることはある。だから今は耐えなさい」
ソフィラさんの言葉を聞いてエリカさんは少し落ち着きを取り戻したようだった。エリカさんは覚醒状態を解除してフランさんにごめんとだけ伝えて部屋を出た。
エリカさんのことが心配だからかはわからないがアミちゃんがエリカさんの後に続いて部屋を出た。
「とりあえず、エリカはアミちゃんに任せておいていいかな、さて、じゃあこれからのことについて話そう。できる限りピュレットの幹部をここに集めてくれ、1時間後から話し合いを始める」
ソフィラさんの指示に従い私たちは城の中にいたピュレットの幹部を集めた。

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