Re:legend

りゅう

553:別れの嘘










「ミカエラは大丈夫だった?」
「はい。かなりの傷を負ってましたが数日経てば治るでしょう。先程意識も取り戻しましたし命に別状はありません」

門の中に戻った僕の問いにシャインは僕を安心させるように答える。

「そうか、なら良かった…」
「リュウ様、『慈愛』が最後に言い残した言葉…」
「あぁ、たぶん『夢海』と『全能』が狙いだろうね」
「ならば今すぐに戻って対策を練らねば…」
「でもミカエラが不在でまた『慈愛』が襲ってきたら…」
「それなら心配いりません」

ふらつきながらミカエラが歩いて僕たちの元にやってくる。

「門の中は神域で魔の者には入ることができません。『慈愛』の目的はリュウ様と私たちとの接触を阻止するための見張りです」
「え…でもさっき…」

ミカエラはもしも敵が門の中に入った時は頼むと僕たちに言ったはずだ。

「ここはヴァルキリーの神域、我らが戦うのが当然でしょう。それにリュウ様たちにもしものことがあってはならないと思ったので…」
「なるほど。え、なら魔族なんて相手にしないで無視すればよくない?」
「それはヴァルキリーの誇りが許しません。それに食料を確保するために外に出なければなりませんので…まあ、食料も数日は保つので私が回復するまで門に閉じこもることは可能です。というわけですので安心してお戻りください。パラスアテナ、リュウ様の矛として盾としてお役に立つのですよ」
「わかりました」

「………らしくない嘘つくようになったな」

シャインがボソッとミカエラに向けて呟くがミカエラは返事をしなかった。

「では皆様、ご健闘をお祈りいたします。もし、何かありましたら我らヴァルキリー、リュウ様の矛として盾として喜んで参上させていただきます」
「わかりました。もしもの時はよろしくお願いします」

僕はミカエラに別れを告げてドリフトを発動して、ピュレット王城に移動する。












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