Re:legend
541:ヴァルキリーの長
「リュウ、どうするの?」
「とりあえず話してみるしかないだろ…」
僕はエリカにそう言いながらエリカたちの前に立つ。
「僕たちに戦う意思はない。少し話をしたくて来ただけだ。話を聞いてほしい」
僕はエリュシオンをバンクカードに入れて戦意がないことをヴァルキリーに示しながらヴァルキリーに声を掛けた。
「こちらとしてもあなた方と戦うつもりはありません。先程はこちら側の兵士が失礼をいたしました」
僕たちにそう言いながら他のヴァルキリーよりも神々しく巨大な翼を広げたヴァルキリーが僕の前に降り立つ。
「私の名はミカエラ、このヴァルキリーの集落の長を務めている者です。リュウ様、あなたがここにいらっしゃるのをずっとお待ちしてました」
「なんで僕の名を?」
「私はあなたの母親、女神様の剣であり盾でもありました。あのお方を守ることができなかったせめてもの償いとしてずっとあなたに仕えたいと思っていました。でも私はここを離れるわけには行きませんでした。ですからこうしてあなたと会えてとても嬉しいです。久しぶりにシャインにも会えましたしね」
ミカエラはそう言いながらゆめみちゃんが抱き抱えていたシャインを掴んでぎゅっと握りしめる。
「体は大きくなっても中身は変わってないみたいだなミカエラ」
「シャインこそ全然変わってないですね。あっ、今はこんな話をしている場合ではありませんでした。リュウ様、そしてリュウ様のお仲間たちもどうぞ中へ」
ミカエラはそう言いながら巨大な門に僕たちを案内する。
「門をくぐる前にあなただけは始末しなければなりませんね」
僕たちが門をくぐるろうとした瞬間、ミカエラは剣を抜きゆめみちゃんに襲いかかる。
「え…」
「ミカエラ、やめなさい」
驚いて動けなかった僕に代わりシャインがミカエラの剣を受け止める。
「ゆめみちゃん、大丈夫?」
「………大丈夫」
「シャイン、何故そいつを庇う?そいつは『夢海』の力を持っているのだぞ」
「確かにそうだがゆめみは人間だ。下手して魔族に奪われるより人間が『夢海』の力を使いこなせるようになってくれた方がこちらにとって都合がいいだろう」
「人間が『夢海』の力を…魔神王の11の力の1つを使いこなせるわけがないだろう。だから今ここで『夢海』を消滅させる」
ミカエラはシャインを押しのけ再びゆめみちゃんに迫る。
「っ…」
「大丈夫、ゆめみちゃんは必ず守るから」
震えるゆめみちゃんに僕はそう言ってエリュシオンを取り出しミカエラの剣を受け止める。
「リュウ様、いくらあなたでもその娘を庇うと言うなら容赦はしませんよ」
「僕に勝てると思っているのか?」
「当たり前です」
僕と距離を置いて魔力を増幅させたミカエラに対して僕は覚醒状態になりながら精霊神モードを発動させる。
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