Re:legend
540:失われた逃場
「本当に洞窟の中に花畑があるなんて……」
洞窟に入った後、襲って来た魔族を撃退した僕たちは洞窟の奥で大きな花畑を眺めていた。無限に続くと思わせるような巨大な花畑、その奥に巨大な門のようなものが聳え立っていた。
「あの門にヴァルキリーが…いるはず……」
「行ってみよう」
これまでゆめみちゃんの言う通りになったので誰も反対する者はいなかった。
「デカすぎでしょ…」
巨大な門の前でエリカが呟く。巨大な門は巨人族と巨人族が肩車しながらでも通れるような大きさがありどうやって開ければいいのかわからなかった。
「ゆめみちゃん、どうやって開ければいいかわかる?」
「………開ける必要ない。勝手に開く」
ゆめみちゃんがそう言った直後に巨大な門が開き始めた。巨大な門の先には眩しい光が広がっており巨大な門はこの世と天を繋ぐ架け橋のようなものだと思わされた。
門が完全に開くと門から翼が生え頭の上に輪っかを浮かべた人間…ヴァルキリーが一人僕たちの真上で飛んでいた。
「人間…?いや、人間ではない……貴様は何者だ?何故光と闇の力を貴様から感じるのだ?まあいい…闇の力を持つ者は全て敵だ」
ヴァルキリーはそう言いながら腰の剣を抜き僕に襲いかかってくる。
「えっ…」
戦う準備を全くしていなかった僕は反応が遅れてギリギリのところで剣を躱すことができずに少し傷を負ってしまった。
「リュウ、大丈夫?」
僕が傷ついたのを見てエリカが慌てて覚醒状態になり僕を助けようとヴァルキリーに攻撃を仕掛ける。
「っ…」
エリカの拳が当たる直前にヴァルキリーは空高く飛び上がりエリカの拳を避ける。
「くっ…やるしかないか…」
僕がヴァルキリーと戦うためにエリュシオンを取り出すとゆめみちゃんが僕たちの前に立つ。
「ゆめみちゃん、危ないから下がって……」
僕がゆめみちゃんに注意を呼び掛けた瞬間、急にヴァルキリーが苦しみ出して地に落ちた。
「ゆめみちゃんがやったの?」
「………『夢海』の力で夢を見させてるだけ」
「なるほど、ありがとう助かったよ」
「………どういたしまて」
「で、どうするの?このまま帰る?」
エリカが僕に尋ねる。ヴァルキリーに突然襲われた現状ではヴァルキリーと話し合える可能性は低いだろう。
「一旦出直したいところだけど向こうが許してくれないみたいだよ」
僕がそう呟いた瞬間周りに隠れていたヴァルキリーたちが僕たちを囲うように現れた。
コメント