Re:legend
535:夢海の少女
「リュウさん、人がいます…女の子みたいですけど……」
バリアス内部を調べて回っていた際ニコルちゃんがバリアス内部で人間の女の子を見つけた。年齢的にはまだ15歳くらいかな?かなりやつれていて大量的に限界そうだ。
「えっと…大丈夫?じゃないか…お腹すいてるよね?とりあえずうちでご飯を食べようか」
僕がそう言っても女の子は震えたまま動かない。とりあえず僕は女の子とニコルちゃんを連れて家に戻った。
「ヒナちゃん、悪いけどこの子に何かご飯を作ってあげてくれないかな?出来るだけ急ぎでお願いしたいんだけど」
「わかりました。とりあえずリビングで待っていてください」
女の子をリビングの椅子に座らせてしばらくするとヒナちゃんが美味しそうな料理を持って来てくれた。
「とりあえずたくさん食べて。出来たらそのあとあそこで何をしていたか聞かせてくれないかな?」
僕がそう言うと女の子は小さな声で何かを呟き手を合わせた後ヒナちゃんの料理に食らいついた。
「………ごちそうさまでした」
ヒナちゃんの料理を食べ終えた女の子はボソッと呟いて手を合わせた。
「リュウさん、お話を聞く前にこの子をお風呂に入らせてあげていいですか?だいぶ汚れてるみたいですから」
「うん。頼むよ」
ヒナちゃんに連れられて女の子は浴室に向かう。しばらくすると女の子とヒナちゃんは浴室から出てきた。女の子はヒナちゃんが貸してあげた服を着て浴室から出てきた。
こうしてよく見ると大人しそうでとても可愛らしい女の子だった。さらっとした短めの黒髪の女の子はヒナちゃんに連れられて僕の前に座った。
「えっと、とりあえず名前を聞いてもいいかな?」
「ゆめみ………」
「ゆめみちゃんか…えっと、あそこで何をしていたのかな?」
「隠れてた…魔族が攻めてきた日からずっと、隠れてた…たまに食べ物を取るためにこそっと街に行ったりしたけど…怖かった…」
内気な性格の女の子は細々とした声で僕の質問に答えた。
「えっと、家族とかはどうしたの?」
「殺された…バリアスが征服された時に…」
「そっか…えっと、バリアス内部にいてどうやって魔族から隠れてたの?」
「魔法…お父さんからもらった『夢海』の魔法を使ったの…」
ゆめみちゃんはそう言いながら大切に持っていた魔導書を机の上に置く。魔導書ランク5の魔導書だった。
「えっと、どんな魔法か聞いていいかな?」
「触れた相手に自分の好きな夢を見させられる魔法。人の夢を操る魔法。こうなったらいいのになと思ったことを叶えられる魔法」
え、何それめっちゃ強いじゃん……
後から聞いた話だが思ったことを叶えられる魔法は些細なことしか叶えられないらしい。だから殺傷性はほぼないと考えた方がいいみたいだ。
「少しだけ魔導書を借りていい?」
「ちゃんと返してくれるなら…」
僕はゆめみちゃんが持っている『夢海』の魔法を魔導書にコピーした。
「ありがとう。返すね」
僕はゆめみちゃんに魔導書を返す。魔導書を受け取ったゆめみちゃんは眠たそうに大きなあくびをしたのでヒナちゃんに頼んで空いてる部屋に連れて行ってもらった。
「リュウ様、あの魔導書危険です」
リビングに誰もいなくなった後シャインが小さな声で呟く。
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