Re:legend

りゅう

475:待ってて















「リュウ様、大変です。魔神王が…魔神王がついに動き始めました」

ロンさんが慌てて家に飛び込んでくる。

「魔神王が?」
「急…ですね…」

ロンさんの報告を聞いたエリカとソラミちゃんが慌てて立ち上がる。

「ロンさん、落ち着いて…詳しく聞かせてください」

「すみません、慌てていましたため無礼を…最初から説明させていただきます。本日、魔神王が北の大陸沿岸に出向きこの大陸目掛けて魔法を発射いたしました。魔神王が放った魔法は以前から貼っておいた魔力障壁でなんとか止めることができましたが魔神王の一撃で魔力障壁が破壊されたため次は止める手段がありません」

「……まじで?あの障壁1発で破壊されちゃったの?」

「はい」

おそらく本気の僕でもあの障壁を1撃で破壊するのは不可能だろう。

「そして魔神王から要求が…」

「要求?」

「はい。明日、この大陸を破壊する。やめてほしければ速やかに全ての『大罪の書』を提出すること、そしてそちら側に付いている全魔女の身柄を提出しこの大陸を魔族の領土とせよ」

えーと、つまり僕達が持っている6冊の大罪の書を差し出して風、火、土、水、草の魔女の身柄を引き渡して大陸を支配させろ…と……魔神王さん強欲すぎだろ…

「そして最後に…ピュレット王族全員の身柄を引き渡せと…」

「よし、断る。戦争だ」

ぶっちゃけ魔女の引き渡しと大陸の支配を聞いた時点で断るのは決まっていた。これがまだピュレットの王である僕の身柄の引き渡しだけなら要求をのんだかも知れないが僕の婚約者であるハルカたちにまで被害が出るなら話は別だ。

「は、すぐにピュレット騎士団に準備を…」

「いや、ピュレット騎士団は魔族襲来に備えて待機、もしかしたら魔神王自体が囮かもしれない、魔神王に気を引かれている間に魔族が攻めてきたら大変だからな…大陸の守りは騎士団に任せる」

「承知いたしました」

ロンさんはそう返事をして慌てて王城に戻る。

「よし、今回は僕だけで行く。みんなはここで待っててくれ」

「そんな…」
「あんただけで行かせられるわけないじゃない」
「1人でなんて無茶です」
「私たちも行く」
「リュウさんにどこまでも付いていきます」
「…………」

ハルカ、エリカ、フラン、ニコルちゃん、アミちゃんが僕の意見に反対する。ヒナちゃんは黙って震えていた。僕はヒナちゃんの横に移動する。

「ヒナちゃん、大丈夫だから。安心して待ってて」

僕はそう言いながら昨日、ヒナちゃんのために買ってきた指輪をヒナちゃんの指につけてあげる。

「ヒナちゃんやみんなと結婚するまでは絶対にみんなを死なせないし僕も死なない。だから安心して待ってるといい」

「リュウさん、お願いですから私たちも…」

「駄目だ。はっきり言うよ。ハルカはともかくエリカ、フラン、ニコルちゃん、アミちゃんは今回の戦いにおいて足手まといにしかならない。だから連れていけない」

「じゃあ、私だけでも」

「ハルカにはここにいてもらわないと困る。さっきロンさんに言ったとおり魔神王が囮かもしれない、僕が留守の間に魔女クラスの敵が来た時に対応できるのはハルカと魔女たちだけなんだ。だからここにいてほしい」

それでもハルカたちは引き下がろうとしなかった。

「本音を言うとね…みんなを危険な目に合わせたくないんだ。みんなは必ず守る。だから信じて待ってて」

僕はみんなにそう言い残しテレポートを発動する。














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