Re:legend

りゅう

452:色欲の最後














ウィズの全力の拳がハーレクインに直撃する。ウィズの拳をまともにくらったハーレクインは悲鳴をあげながら吹き飛ばされた。

「とどめだ…この拳を見ろ!お前により大切な人の眠りを奪われ、お前を倒す覚悟をしていた少女の怒り…そしてお前に苦しめられた人達の怒り…仲間のためにと私に協力を求めた私の主の思い…それらを全て込めた拳だ!これでお前を討つ」

ウィズは吹き飛ぶハーレクインの真上に回り込みハーレクインの脇腹に全力、全霊の拳を打ち込んだ。

「くっ……私が……こんなところで……」

「これで終わりだ。『色欲』よ。せめて安らかに眠るといい…」

ウィズは地面に一直線に進む『色欲』を見つめて言う。そして地面に『色欲』が激突し砂埃が舞う。『色欲』の姿は『色欲の書』となり床に転がっていた。

「眠ったか……どうかかつての弟子に安らかな眠りを……」

ウィズは『色欲の書』を拾い上げて一人呟いた。

ウィズが『色欲の書』をハルカのカバンにしまおうとした瞬間、『色欲の書』が輝きだした。

「どうやら私の願いは届きそうにないな…」

ウィズが『色欲の書』を手放すと『色欲の書』はその場から消えた。新たな主の元へと『色欲の書』は飛び立った。

『ウィズ、ありがとう。お疲れ様』

ウィズは自分が一番信頼できる者の声を聞く。

「ああ、とりあえず私は君の中に戻るよ。エリカは今ここを右に曲がってまっすぐ進んだ場所にいる。はやく合流してあげるといい…」

「わかった。ありがとう。ウィズ」

自分の体に戻ったハルカは自分の中にいるウィズに言う。

『気にすることはない。この前も言ったが私は君のためならなんだってしよう…』

「ありがとう…本当にありがとう…」

ハルカにとってそれはとても嬉しかった。そしていつまでもウィズと一緒でありたいとも思った。














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