Re:legend
403:『 』 『傲慢』
「リュウさん…まだ起きてないんですね……みんな心配してますよ。だから…はやく起きてください……」
ハルカが動かない僕の手を強く握りしめ泣きながら僕に言う。
「お姉ちゃん……」
「ハルカさん…」
僕の部屋の扉の後ろでエリカとフランが心配そうにハルカを見つめる。
「レグルス、なんとかしてみんなに今の状況を伝えることは出来ないか?」
「無理だな…あと数ヶ月耐えろ…あいつらもお前に頼りすぎな部分もあるしそれを治すいい機会にもなるだろ」
レグルスは僕の近くで寝っ転がりながら言う。みんな、ごめん。
「じゃあ、リュウさん、ちょっと用事があるので出かけて来ますね…また後で来ます」
ハルカは僕にそう言い部屋から出て言った。しばらく僕の部屋は静まり返った。
「リュウ、ちょっと失礼するよ」
白がそう言いながら僕の部屋に入り僕の体に触れる。
「『    』の名の下に『強欲』の精神へ…」
白が僕の体に触れて何か呟いた瞬間、周囲が光に包まれた。
「さて、久しぶりだね。リュウ」
「白?どうしてここに….」
「なるほど、貴様が『   』か…」
レグルスが白に尋ねると白は黙って首を縦に振った。
「やっぱりここにいたんだね。で、今の状況を説明してもらえるかな?あまり長くここには入れないから短めに頼む」
僕は白に今の状況やこうなった経緯を説明した。
「なるほど、大体わかった。悪いけど僕はあと数分したらここから追い出されてしまう。みんなに伝言とかある?」
「もう少しだけ待っててくれって伝えてくれ」
「わかった。じゃあ、僕は行くよ…」
そう言いながら白は消えた。白がここから消えた直後、僕の体に触れていた白の体に白の意識が戻り部屋から出て行った。
白が僕の部屋から出て行った頃…
「やっと覚悟が出来たみたいだね…一応はじめましてと言うべきかな」
「あなたが『傲慢』ですか?」
謎の空間に入ったハルカが目の前に立つ魔族に尋ねる。
「ああ、そうだよ。私は『傲慢』の魔族ウィズ、で、何か用があって来たのだろう?そのためにここに来る覚悟を決めた。以前から資格があったのにずっと来るのを拒んでいた君がここに来る程のことがあったんだろう?話してみるといい…」
『傲慢』の魔族ウィズがハルカに言う。ハルカがここに来た理由は間違いなく僕のことを尋ねるためだろう。ハルカは覚醒状態になった時からずっとここに足を踏み入れる資格があった。だがハルカの心に残っていた恐怖心がそれを許さなかった。ハルカは今、僕を救うために覚悟を決めてここに足を踏み入れたのだった。
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