Re:legend

りゅう

267:風と草









「んー話が違うな…」

白が呟く。共にいるソフィラさんとアミちゃんは既に戦闘態勢に入っている。

そう、目の前に立つ風の魔女ウィルモアと戦うために…

「話が違う、とはどういうことだ?」

風の魔女ウィルモアが白に尋ねる。

「いや、まさか貴方がいらっしゃるとは思ってなくてね。本来なら貴方が倒してくれた魔族共の相手をする予定だったんだけどね」

白が風の魔女ウィルモアをじとーと見つめながら言う。

「それは悪いことをしたな、我が一番の弟子よ」

「え?」

風の魔女ウィルモアが発した言葉にアミちゃんが反応する。アミちゃんは白の方を振り向き説明を求めるような顔をしていた。

「いや、僕はあいつの弟子になった覚えはないよ、あいつが勝手に言ってるだけ…」

白が風の魔女ウィルモアを睨みつけながら言う。

「酷いことを言うではないか我が最高傑作よ」

「僕のことを物みたいに言わないでくれるかな、僕は『     』、風の魔女ウィルモアの物じゃない」

「ふっ、そうだったな…」

話についていけずアミちゃんがキョトンとしている。ソフィラさんは2人の話していることを理解しているみたいだった。

「アミちゃん、危ない」

ソフィラさんが叫びながらアミちゃんを守るために魔法を発動させた。風の魔女ウィルモアがアミちゃんに放った攻撃はソフィラさんが魔法で止めていた。だが、アミちゃんを庇ったせいでソフィラさんは自身を守るための魔法を発動出来なくて風の魔女ウィルモアの攻撃をくらっていた。

「ソフィラおばあちゃん…」

アミちゃんが慌ててソフィラさんのもとに近づく。

「私は大丈夫よ…油断しちゃダメでしょ、ちゃんと気を張ってなさい…」

ソフィラさんがアミちゃんにそう言いながら立ち上がる。

「植物の恵み」

ソフィラさんが自身に古代の回復魔法を使い傷を癒していく。

「ふっ、草の魔女ソフィラともあろうものが腑抜けたな…」

風の魔女ウィルモアがソフィラさんを鼻で笑いながら言う。

「ソフィラおばあちゃんを悪く言わないで、ソフィラおばあちゃん、白さん、こいつは私とお兄ちゃんが倒します。手は出さないでください」

アミちゃんが自分の中にいるヒースクリフの仇を討つべく風の魔女ウィルモアの前に立つ。

「わかりました。その代わり危なくなったらすぐに止めますからね」

「はい…」

ソフィラさんの言葉を聞きながらアミちゃんは魔道書からいくつかの鎖を出す。

「本当にいいの?アミちゃんだけに任せて」

白がソフィラさんの横に移動して尋ねる。

「ええ、大丈夫です。アミちゃんには私が直々に古代魔法を教えてあげたんですからそう簡単にはやられませんよ。それに危なくなったら私が止めますし…」

「そっか、ならいいけど…ソフィラさん、もしアミちゃんが負けたら次は僕があいつと戦いたいんだけどいいかな?」

「ええ、いいですよ。あなたが戦う番がこないといいのですが…」

ソフィラさんは内心かなり心配しながらアミちゃんを見つめる。いつでも魔法が使えるように準備をしながら…

「あなたを倒す」

「ふっ、お前もお前の兄と同じ場所に送ってやる」

「お兄ちゃんは、私の中にいる。もうあなたにお兄ちゃんを殺させない」

アミちゃんがそう言いながら構える。

「そうか、なら2人まとめてあの世に送ってやるとしよう」

そう言いながら風の魔女ウィルモアは軽く腕を振り暴風を起こす。

アミちゃんはその暴風を鎖で全て受け止めた。

「今の私はそう簡単には倒せませんよ」

「そうか、少しは楽しめそうだ」








コメント

  • Eurom

    だが、アミちゃんを庇ったせいでソフィラさんは自身を守るための魔法を発動出来なくて風の魔女ウィルモアの攻撃をくらっていた。

    「ウィルモアおばあちゃん…」

    アミちゃんが慌ててウィルモアさんのもとに近づく。

    ソフィラさんじゃなく?

    1
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