Re:legend

りゅう

263:獣人の少女と巨人の男








さてさて、何故かコヨミちゃんとタイラスさんと戦うことになったわけだが、どうしよう…

タイラスさんなら普通に戦えるがコヨミちゃんが相手だと戦いづらい…こんな小さな女の子をボコったと噂になったらたまったもんじゃないしな…

さて、どうしたものか…

僕がそうこう考えている間もコヨミちゃんが僕に次々と攻撃を仕掛けてくる。なかなか鋭い攻撃が次々と来るので僕も手を抜くわけにはいかなかった。何度かカウンターを決められそうな場面はあったがやはり大勢の前で女の子を殴りつけるのはちょっとな…と思いなかなか反撃できなかった。

「リュウ様!私が女の子だからって手を抜かないでください!」

コヨミちゃんが攻撃しながら僕に言う。だいぶ怒っているようだった。

僕は黙ってコヨミちゃんから距離を取る。コヨミちゃんが僕を追いかけてくるが僕はコヨミちゃんから逃げ回った。さすがに獣化を使っている獣人から逃げるのは大変だな…

「もらった」

コヨミちゃんが僕に追いつき勝負に勝ったと思ったからか少し油断しながら呟く。たしかにこの距離では僕はコヨミちゃんの攻撃は躱せないだろう。



いや、躱す必要がないのだ。

「なっ…」

僕にコヨミちゃんの拳がぶつかる直前、コヨミちゃんが鎖で縛り付けられる。

「いつの間に…」

「コヨミちゃんから逃げてる間にエンチャントで少しずつ『憤怒』の魔法を地面に付与していったんだよ。ちなみにその鎖は縛っている相手の魔力を奪うから気をつけて」

まあ、いまさらどうしようもないのだが…数秒後には魔力が尽きたコヨミちゃんの獣化がとけた。

「まだ続ける?」

「いいえ、まいりました。」

「勝負あり!勝者、ピュレット国王リュウ様!」

審判をしていたシーラさんが叫ぶ。

コヨミちゃんが負けを認め僕の勝ちとなった。さて、次はタイラスさんが相手か巨人族だしパワーがありそうだな…僕はコヨミちゃんの鎖をほどきながらタイラスさんの方を見る。

僕の目線に気づいたタイラスさんが僕に軽く頭を下げる。

鎖を外してもらったコヨミちゃんが僕達から距離をとったのを確認して僕はタイラスさんと向かい合う。

「リュウ様、全力でお相手願います。私も全力でやらせていただきます」

「わかった。お互い全力で頑張ろう」

試合開始前に僕とタイラスさんは軽く握手し、少し離れる。

「両者準備はよろしいですか?」

シーラさんが僕とタイラスさんに尋ねる。僕とタイラスさんはその場で頷きながら構える。

「では、先程の試合と同じくこのコインが地面に落ちたら試合開始とします」

シーラさんがそう言いながらコインを宙に放り投げる。

コインが地面に落ちた瞬間、僕とタイラスさんの拳がぶつかった。










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