Re:legend

りゅう

262:試合、獣化








「ふぅ、とりあえずこれで全部片付いたかな…」

目の前に倒れている魔族を見ながら魔法を使い敵がまだ残っているかを確認する。

「とりあえず片付いたみたいだな…すぐに国中の警備を強化しよう」

そのための相談をするために僕は城に戻る。

そして再び開かれた会議で小隊長を決めた。小隊長の補佐をしてもらっていた2人に試験でなかなかの結果を出していたコヨミちゃんを筆頭とした8人を含めた10人を小隊長にすることにした。

各50人ずつの小隊となる。そのうち2小隊は王都以外の村に向かってもらうことにした。そして残った100人程の団員たちのうち50人は王都の警備部隊になってもらい残り50人はザーナ村にあるユリウスさんの部隊に所属してもらうことになった。

僕はドリフトでそれぞれを配置場所に連れて行った。

さて、そして今、僕は何故か騎士団の訓練所にいる。目の前には軽く準備運動をしている狐耳の女の子、その後ろには巨人族の男タイラスさんもいた。

そう、なぜか僕はこの2人と戦うことになったのだ…魔族の襲撃の際、コヨミちゃんにブラックランクのギルドカードを見せてしまったのが原因だ…2人はブラックランクの冒険家と戦ってみたいと言いだした。適当に誤魔化して逃げようと思ったがコヨミちゃんの煽りが上手く口車に乗ってしまった。 

「さて、本気でいかせてもらいますよ」

コヨミちゃんがぴょんぴょんと跳躍しながら僕に言う。まあ、適当に戦うとしますか…

「ちゃんと戦ってくださいね」

うっ…読まれていた。適当に戦って適当に降参してさっさと逃げようと思っていたのに…だってめんどくさいんだもん!

「国王様、私と戦ってくださりありがとうございます。国王様の噂は常々伺っておりました。是非1度戦ってみたいと思っていたときにこのような機会をいただき感謝いたします」

巨人族の男タイラスさんがそう言いながら頭を下げる。めんどくさいけど本気でやるしかないか…タイラスさんの言葉を聞き、本気でやることにする。

何故かギャラリーがたくさん集まっているのも気になるな…シーラさん曰く大半はブラックランクの冒険家である僕の戦いを見たい新人達のようだ。新人達に示しを付けるためにも本気でやって欲しいと頼まれた。

「ではそろそろ試合を始めます」

審判を引き受けてくれたシーラさんが僕とコヨミちゃんに言う。最初の相手はコヨミちゃんのようだ。シーラさんの言葉を聞いたギャラリー達が歓声を上げる。

「お二人とも準備はよろしいですか?」

シーラさんの言葉を聞いた僕とコヨミちゃんは頷き、その場で一礼する。その間、ギャラリー達も静寂に包まれていた。

「では、試合を始めます。このコインが地面に落ちたら試合開始です」

シーラさんがコインを放り投げる。コインが宙を漂う。数秒後コインが地面に落ちた。

「獣化」

おいおい、いきなりすぎないか…コヨミちゃんが開始直後すぐに獣化を発動させる。

獣化といっても不完全な半獣化だがそれでも強力だ。

獣化したコヨミちゃんが一瞬で僕の目の前に現れる。コヨミちゃんが僕に回し蹴りを放つが僕は軽く受け止める。

僕とコヨミちゃんの一瞬のやりとりを見てギャラリー達も歓声を上げる。

コヨミちゃんが僕に掴まれた足をなんとか振りほどき一歩下がる。

「今のを止めますか…さすがですね」

コヨミちゃんが僕に言う。

「今のはいい一撃だったよ」

僕とコヨミちゃんは再び近づきお互い拳を突き出す。お互いの拳と拳がぶつかり合った。









コメント

コメントを書く

「ファンタジー」の人気作品

書籍化作品