銀狼転生記~助けた幼女と異世界放浪~
M037② ~銀狼の正体は~
──ガキィイン!!
競り合う、強化された身体で振るわれた剣と、氷を纏った前腕。
そのどちらも、力は拮抗している。
「うっ、ま、負けるかぁあああ!」
まあ、僕の骨は悲鳴をあげてるけど、気にしてたら押し負ける。
今ここで押し負けるものなら、僕も後ろの皆も衝撃で無事では済まない。
だから必死だ。
足に、腕に力を込める。
前に前にと体重を置く。
と…。
「なっ…!」
突然、銀狼が前腕をスッと退いた。
当然、僕の体はバランスを崩して前につんのめる。
そして、
「グォウ!」
「ガッ…!! ハッ!!」
下から掬い上げるような攻撃、気づけば僕の体は宙へ投げ出されていた。
「くっは…!!【天歩】!」
意識が飛びそうになるのを堪えて、空中でも使用可能な歩法【天歩】で態勢を整えつつ、身の危険を感じてその場を離脱する。
──ゴウッ!!
思った通り、先程、砦の壁を粉砕した空気の波動が身を掠めるように通り過ぎていく。
冷や汗が背筋を伝う。
「どうやら、あちらさんも本気みたいだね」
さっきまでとは明らかに動きが違う。
追撃まで行ってくる辺り、本気で僕を殺しに来てる。
【天歩】を駆使して、一発でも当たれば死に直結する威力の波動を避けていく。
しかも、こちらは折れた肋骨がいつ心臓に刺さるかわかったものじゃない。
動機が激しい、心臓が口から出そうだ。
とんだアトラクションもあったものだね。
「はぁああああああ!!! 【天翔波】!!」
重力+天歩による加速力を加えて、剣術の奥義を放つ。
「グァァァオ!!」
金色の光波に包まれた銀狼。
光波が消えた後には、氷の鎧に幾重にもヒビが入った銀狼の姿が、たいしたダメージは無いみたいだけど、これならいける!!
「セィヤァアアアアア!!!!!」
「ウォオオオオオオン!!!!!」
力任せに、銀狼の頭へとまっすぐに剣を振り下ろす。
それに対して、相手は頭突きで対抗する。
先程までなら、頭を覆う頑丈な氷で僕の攻撃は全く通らなかっただろう。
だけど
──パキィイン!!
「グァ!?」
【天翔波】によって既に限界だった氷の鎧は、粉々に砕け散った。
動揺する銀狼。
余程防御力に自信があったんだろう。
慢心は戦いに置いて致命的だよ。
「これで、終わり!!」
そして、僕の剣が変形する。
その形状は剣から弓へ、これが僕のもう一つのユニークスキル【聖光弓乃剣】剣と弓に変形可能な神器を召喚するスキルだ。
まあ、その代わり、剣術と弓術のスキル練度は二つ合わせて最大なんだけどね。
「邪悪な敵を打ち抜け!【天矢射】!!」
そして、ゼロ距離で放たれた
極光の矢は、たやすく銀狼の頭を打ち抜いた。
「グォオオオ……」
銀狼は、その場に力無く倒れ込み、やがて影に溶け込むように消えていく。
それと同時に、【限界突破】の効力が切れて、体に激痛が走る。
「ハハッ…なんとか…。なったね…」
──ワアアアアアアアアアアアア!!!
砦から聞こえてくる地を揺るがすほどの歓声を背に、僕は意識を手放した。
◆◆◆◆
「お?」
「どうしたの? ロウ?」
焚き火を挟んで、対面に座るフィリが首を傾げて問う。
「いや、昨日の夜にマッピングに向かった分身の内、一体の反応が消えたんだ」
因みに、今は前の世界でいう朝の八時位だろうか。
サハラは、まだ寝てる。
どうやったらあんな寝相になるのか、今度聞いてみるか。
「ん? 消えた? ガーゴの時みたいに?」
「そうそう、多分接敵した相手にやられたんだと思う。ガーさん時みたいに」
何でもないように会話しているが、実は結構深刻な問題だ。
分身が消える=分身より強い敵の存在
となる。
分身は、例の【虚飾】で創り出したモノで、使用可能なスキルに制限はあるものの、ステータス自体にかかる制限は、本体の七十%程になってる。
で、その反応が消えたのは、王国へ行くには避けては通れない、うんたらかんたら砦だ。
うーん。
今日向かうのは得策じゃないかもな~。
「フィリ、今日の予定はずらして、明日王国へ向かおうと思うんだけどいいか?」
「ん。私はそれで構わない」
まあ、無理して危険に飛び込む事もないし、妥当な判断だろう。
サハラには後で聞くことにする。
「今日はフィリのレベル上げでもするか」
「ん。楽しみ♪」
──この選択が、俺を数々の出会いへと導いていくことになる。
競り合う、強化された身体で振るわれた剣と、氷を纏った前腕。
そのどちらも、力は拮抗している。
「うっ、ま、負けるかぁあああ!」
まあ、僕の骨は悲鳴をあげてるけど、気にしてたら押し負ける。
今ここで押し負けるものなら、僕も後ろの皆も衝撃で無事では済まない。
だから必死だ。
足に、腕に力を込める。
前に前にと体重を置く。
と…。
「なっ…!」
突然、銀狼が前腕をスッと退いた。
当然、僕の体はバランスを崩して前につんのめる。
そして、
「グォウ!」
「ガッ…!! ハッ!!」
下から掬い上げるような攻撃、気づけば僕の体は宙へ投げ出されていた。
「くっは…!!【天歩】!」
意識が飛びそうになるのを堪えて、空中でも使用可能な歩法【天歩】で態勢を整えつつ、身の危険を感じてその場を離脱する。
──ゴウッ!!
思った通り、先程、砦の壁を粉砕した空気の波動が身を掠めるように通り過ぎていく。
冷や汗が背筋を伝う。
「どうやら、あちらさんも本気みたいだね」
さっきまでとは明らかに動きが違う。
追撃まで行ってくる辺り、本気で僕を殺しに来てる。
【天歩】を駆使して、一発でも当たれば死に直結する威力の波動を避けていく。
しかも、こちらは折れた肋骨がいつ心臓に刺さるかわかったものじゃない。
動機が激しい、心臓が口から出そうだ。
とんだアトラクションもあったものだね。
「はぁああああああ!!! 【天翔波】!!」
重力+天歩による加速力を加えて、剣術の奥義を放つ。
「グァァァオ!!」
金色の光波に包まれた銀狼。
光波が消えた後には、氷の鎧に幾重にもヒビが入った銀狼の姿が、たいしたダメージは無いみたいだけど、これならいける!!
「セィヤァアアアアア!!!!!」
「ウォオオオオオオン!!!!!」
力任せに、銀狼の頭へとまっすぐに剣を振り下ろす。
それに対して、相手は頭突きで対抗する。
先程までなら、頭を覆う頑丈な氷で僕の攻撃は全く通らなかっただろう。
だけど
──パキィイン!!
「グァ!?」
【天翔波】によって既に限界だった氷の鎧は、粉々に砕け散った。
動揺する銀狼。
余程防御力に自信があったんだろう。
慢心は戦いに置いて致命的だよ。
「これで、終わり!!」
そして、僕の剣が変形する。
その形状は剣から弓へ、これが僕のもう一つのユニークスキル【聖光弓乃剣】剣と弓に変形可能な神器を召喚するスキルだ。
まあ、その代わり、剣術と弓術のスキル練度は二つ合わせて最大なんだけどね。
「邪悪な敵を打ち抜け!【天矢射】!!」
そして、ゼロ距離で放たれた
極光の矢は、たやすく銀狼の頭を打ち抜いた。
「グォオオオ……」
銀狼は、その場に力無く倒れ込み、やがて影に溶け込むように消えていく。
それと同時に、【限界突破】の効力が切れて、体に激痛が走る。
「ハハッ…なんとか…。なったね…」
──ワアアアアアアアアアアアア!!!
砦から聞こえてくる地を揺るがすほどの歓声を背に、僕は意識を手放した。
◆◆◆◆
「お?」
「どうしたの? ロウ?」
焚き火を挟んで、対面に座るフィリが首を傾げて問う。
「いや、昨日の夜にマッピングに向かった分身の内、一体の反応が消えたんだ」
因みに、今は前の世界でいう朝の八時位だろうか。
サハラは、まだ寝てる。
どうやったらあんな寝相になるのか、今度聞いてみるか。
「ん? 消えた? ガーゴの時みたいに?」
「そうそう、多分接敵した相手にやられたんだと思う。ガーさん時みたいに」
何でもないように会話しているが、実は結構深刻な問題だ。
分身が消える=分身より強い敵の存在
となる。
分身は、例の【虚飾】で創り出したモノで、使用可能なスキルに制限はあるものの、ステータス自体にかかる制限は、本体の七十%程になってる。
で、その反応が消えたのは、王国へ行くには避けては通れない、うんたらかんたら砦だ。
うーん。
今日向かうのは得策じゃないかもな~。
「フィリ、今日の予定はずらして、明日王国へ向かおうと思うんだけどいいか?」
「ん。私はそれで構わない」
まあ、無理して危険に飛び込む事もないし、妥当な判断だろう。
サハラには後で聞くことにする。
「今日はフィリのレベル上げでもするか」
「ん。楽しみ♪」
──この選択が、俺を数々の出会いへと導いていくことになる。
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