銀狼転生記~助けた幼女と異世界放浪~

テケテケさん

002 ~俺は男です!!~

 俺、"大神オオカミ命"《ミコト》は都内にある学校に通っている普通の男子高校生だ。


 だが、周りからの評価は違う。


 曰く、異国からきた超絶美人な男の娘だ。

 ……全くもって遺憾である。

 
 その評価はミコトという女っぽい名前からも来てるんだろうが、最大の原因は俺の容姿にある。

 一般高校生としてはやや低い身長に、薄い体毛、剣術によってほどよく引き締まった腹回り。
 そして、女と見間違うほど整った顔と、淡く輝く、腰まで伸びた銀髪・・
 この銀髪は染めたわけじゃない。
 生まれつきだ。

 ともかくこれらの特徴のせいで、初対面の相手にはまず女だと思われる。(声も高めだからな)
 それが、男子ならトイレに連れ込んで”アレ”を見せれば誤解はとけるが、女子だとそうもいかない。
 なので、誤解が解けずに女だと誤解されたままになることも多い。
 制服は男子の物を着用しているにも関わらずだ。

 あ? かわいいと思われてるなら良いじゃない? だって?

 良くねえよ!!

 見た目は一歩譲って女のそれだとしても中身はれっきとした男。
 恋愛対象はちゃんと女だよ!

 女と勘違いされるせいで、告白の手紙はほぼ男子から、女子からだと思ってルンルン気分で向かった先には、緊張で頬を赤く染め、もじもじしている男子生徒がいた事もある。

 誰得だよ!! きもいわ!!

 そこで、「俺、男だから」って言っても「それでもいい」と言ってくる猛者までいる。

 低確率で女子からのレターもヒットするが、その全てが俺を女だと思って告ってきたアブノーマルな奴。

 よって生まれてこの方、彼女がいたことは一度もない。

 親友の天哉にはいる。
 これもまた、解せぬ。

 あと、いい思い出が少ない。

 学校内の美少女コンテストになぜか登録されていて、学年で3位だったこと(死にたくなった)。

 帰り道に誘拐されそうになったこと(半殺しにして警察へ)。

 天哉とつきあっていると勘違いされたこと(彼女に殺されそうになった)。

 道場で門下生の人たちに着せ替え人形にされたこと(部屋に閉じこもった)。





 正に踏んだり蹴ったりな人生だ。


 だから切実に思う。

 生まれ変わったら"かっこよくなりたい"。
 名前も、”涼”とか、男の子みたいな名前にしてほしい。


 そんなことを考えながら俺の意識は再び深く沈んでいった─────

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