壊れた世界と魔法使い

シロ紅葉

子猫

 魔力の流れを追い、原点までたどり着くころには誰かの戦闘音なんだということが分かった。
 普通、魔法使いの戦闘と言えば深夜に行うことが多いはずなのに、まさかこんな昼間から起きているなんて思いもしなかった。けど、それも場所がこんな山奥の方なんだったら別なようで。
 事故現場から数十分ほどで拓けた地形。というよりは、戦闘で木々がなぎ倒されて無理矢理に拓けた地形では今、まさに激しい争いが繰り広げられていた。
 片方は組織で一度顔を合わせたことがある、幹部の一人で熊みたいな大柄の男。柱玄蔵。
 その相手はもう何度見かけたことか、あの華南柚子瑠がいた。それともう一人、黒いフード付きのコートをまとい、顔は仮面で隠している何者かがいた。
 二対一になっているのかと思いきや、どうやら戦っているのは仮面の人物と柱玄蔵の二人だけのようだった。
 しかし、驚くことに仮面の人物が魔力を発していることだった。
 魔力弾での応戦から続いて引き抜かれた木が浮遊して、まるで手足のように操られる。それが仮面の魔法なんだろうことはすぐに分かった。
 浮遊した木はまるで巨大な丸太で打ち付けるかのようにして玄蔵に直撃した。
 木っ端みじんとなった木片から玄蔵は何食わぬ顔で飛び出し、不意を突く形で仮面の人物へと殴り掛かる。
 しかし、仮面の人物もその一撃を後ろへ浮かぶように飛んで躱す。その余裕の残した身のこなしは、まるで風に流される風船のような身軽さがあった。後には手ごたえを確かめるように拳を見つめる玄蔵が立っていた。

「アレが直撃しても無傷なんだ」

 見た目通りの頑丈さだ。けど、大木が一本直撃しておいて、あんな堂々と立っていられるのもおかしいよね。せめて、血の一滴でも流れていたらこんな感想はでないのに。

「玄蔵は世界で一番頑丈な魔法使い」
「あー……それで。つまりそういう魔法なんだね」

 もうこの業界、細かいこと気にしなければリアクションも薄くなってくるね。何でもかんでも魔法だと理解してしまえば、そう驚くようなことでもないし。ほんと、この言葉って魔法みたい。

「本気を出せば、白亜の刃も通さない。たぶん、神威殊羅の一撃すらも」
「え……?! さすがに言いすぎじゃない」

 味方のことを悪く言うつもりはないけど、実際に二人の威力を目の当たりにしていたこともあって、それだけは疑わざるを得ない。紗綾ちゃんは無言で見つめ返し、その真顔っぷりをみれば嘘じゃないんだろうなと改める。

「問題は仮面の方」
「うん。あんな格好していたら周りもよく見えないのにね。それに滅茶苦茶怪しいし」
「分かる。けど、そこじゃない。――魔法使いがアンチマジックと一緒にいる」

 忘れていたわけじゃないけど、この場にいるもう一人の大きな存在、華南柚子瑠。
 見た感じでは協力関係を結んでいるようにも見えるけど、実際はどうなんだろう。気になって、二人を観察しようと身を乗り出したのが失敗だった。
 一斉に視線がこっちに向き、問答無用に柚子瑠が鞭を持ち出して攻撃してきた。危なげながらも紗綾ちゃんと回避したはいいものの、戦場に降り立った私たちは完全に注目の的となっていた。

「えっと……。どうぞ、私たちにはお構いなく……続けて?」
「てめえ、案外肝が据わってやがるな」

 褒められたのかな。それとも馬鹿にされているのか。どっちでもいいけど、この状況はすごく気まずい。場違いすぎる。

「紗綾に彩葉か。二人ともこんなところで何をしとるんだ」
「ちょっと気になっただけ――手伝う?」
「それには及ばん。ワイに任せて、そこで見とればいい」

 できればそうさせてもらいたい。けど、肝心の柚子瑠と仮面はずっと視線を私に向けているのが分かる。もちろん自意識過剰とかじゃなくて、むしろそうであって欲しいと願うばかりなんだけど。

「どうだ? あの女について、記憶はあるか?」

 柚子瑠の質問に仮面は顔を縦に振って答える。あの女というのは、たぶん私のことだと思う。どういうことなんだろう、あの人。私のことを知っているのかな。

「紛れもなくあいつらはウチらの敵だが、テメエはどうなんだ。過去がどうであれ、ウチの連中と関わってんなら、やることは一つしかないぜ。――で、どうする?」

 折れた枝や木片、めくれ上がった土に小石などが浮かびあがり、射線上に私と紗綾ちゃんを捉えるとすかさずに撃ってくる。
 刃がなくても、疾走する一つ一つは当たれば矢の如く身体を撃ち抜かれてしまいそうな気迫がある。ましてや弓矢も小さい物も混じっていて、避けるなり払い落すなりすることは不可能に近いかもしれない。
 じゃあ、どうしよう。かと判断に悩んでいると。

「下がって」

 一歩前に出てきた紗綾ちゃんはそんな頼もしい言葉を掛けてくれると、急に頬に強い風を感じ取った。
 その束の間――。
 目も思うように開けられず、吹き飛ばされそうになる身体を杭のように足を地面に踏みとどまらせて見届けた一部始終では、吹き荒れた強風が無数に飛んできた投擲物を瞬く間に叩き落としてしまう光景だった。
 風圧だけで全てを防ぎ切った紗綾ちゃんは大事そうに抱えていたケットシーを私に手渡してくる。

「この子。預かってて」
「ちょ、ちょっと」

 有無を言わさず押し付けられ、取りあえず美しい黒い毛並みを撫でながら腕に抱くことにした。内心、しょうがないなぁと思いながら。

「いかんなあ……これは。どれ、ワイも手を貸そう」
「っと。待てよ。せっかく面白くなりそうな組み合わせだ。うちらは見物と行こうぜ」
「それはそちらさんの都合だろうに。が、乗った。この機会に見極めさせてもらおうか」

 どうしよう。ケットシーを預かっている以上、私も見物に回った方が良いのかな。でも、もしもの時はすぐに手助けに入れるようにしておいた方が良いかな。
 いくら判断に迷っていようとも、状況は刻一刻と進み始める。
 紗綾ちゃんが魔力弾を撃ち始めたのだが、その速度が尋常じゃなかった。それこそまさに銃弾の一発に近いほど。
 そういえば、前に一度研究所で放たれていた魔力弾。その一撃と同じ感覚だったような気がした。

 そして、記憶が正しかったら――それは、連射されていたはず。

 予感は当たり、二発三発目からは目にも止まらぬ速度で魔力弾が放たれていく。機関銃のような怒涛の勢いは収まらず。
 一をも超え、十をも超え――百をも超そうとしている。
 仮面は石ころや土など足元にあるありとあらゆる物を空中に浮き上がらせて凝縮し、一つの纏まった物質へと変化させる。それは盾の役割を果たし、連射される魔力弾を防ぐ。
 その一点集中の砲火に耐え抜くのも時間の問題で、次々と削られ、欠けていく。それでもなお勢いを衰えさせることなく、紗綾ちゃんの魔力弾はより一層過激さを増していき、とうとう盾を撃ち抜いてしまう。
 同時に仮面は背後の木々の間へと身を隠し、やり過ごすことを選んだ。ただ、木がなぎ倒されていくだけの状況になり、紗綾ちゃんの攻撃もそこで一旦鳴りを潜めることになった。

「君のご主人様も結構容赦ないね」

 ケットシーに語りかけると鳴き声で返事してくれる。この子も私と同じ風に思ってくれているのかもしれない。

「あの小さいの。見かけによらずとんでもねえのな。連射なんて初めてみたぜ」
「あの子は一発の魔力弾を弱めることで、次弾を素早く撃っとるだけだ」
「それだけじゃ装填が速いだけだろ。さっきの強風――風の魔法だろ。そいつで加速させてるってわけか」

 緋真さんと同じで自分の魔法と上手く組み合わせているってことね。
 魔力弾は誰でも使いこなせる簡単なものなだけに、使い手によって大きく変化するのが特徴。
 でも、それはそれとして。連射なんてことが出来るのは多分、紗綾ちゃんぐらいしかいないんじゃないかと思う。それぐらいは魔力弾が下手くそな私でもなんとなく分かる。
 魔力弾は一発撃ってから次を用意するまでにはどうしても時間がかかる。魔力の凝縮。という行為自体が言ってみれば、弾を装填するのに似ているからだ。だから、どれだけ速くしても、次弾までには多少の感覚が空いてしまう。
 それを目にも止まらないほどの超高速で行う。つまり、凝縮を素早くやればいい。そうするには、込める魔力量を減らせば早くなる。けど、一発の威力が大幅に落ちてしまうのが欠点。
 それを補ったのが紗綾ちゃんの魔法。
 放った魔力弾を加速させて、次を素早く造ってまた撃つ。単純にただそれだけ。
 紗綾ちゃんの場合、一連の動作を一般の魔法使いのおそらく倍以上の速さでやっている。
 倍の速度で構えて、倍の速度で撃つ。そして数もまたその倍。
 普通の魔法使いが一秒間に一発撃つのなら、紗綾ちゃんは少なくとも二発以上撃ってることになる。威力が落ちていても数で攻めれば大丈夫。そんなやり方だ。

「あのチビ。一秒間に何発撃ってやがるんだ」
「さあのう。本人は無意識らしいぞ。まあ、あの魔法のおかげでワイらの間ではそこそこ名が知れていてな。――最速の魔法使い、白銀の風(シルフィード)と呼ばれとる」

 仮面の行く道を遮るように折れて乱雑した木片が浮かび上がり、向こう側に仮面の姿が見える。
 その時――紗綾ちゃんの銀髪を風が涼し気になびかせた。
 もうすでに、お互いに魔法を使用している状態だ――あとは先にどちらが仕掛けるか。
 向かい合う二人の間に風が通り抜け、木々を揺らす。
 それはまるで、森が歌っているかのようにすら聞こえる。
 紗綾ちゃんの方はすでに仕掛け、仮面がやや出遅れている。
 緊張感の中、仮面が不意に手を浮かんだ木片に向けてあげる。そのまま手を後ろへと下げ始めると、木片もまた同じ動きをした。
 その動作はまるで、引き絞られた弓のようにも見える。
 果たしてその直感は正しかったのか、仮面が手を勢いよく前へと戻すと同時に木片は一斉に放たれた。鋭く尖った木片はまさに弓矢と言っても差し支えない威力は持ち、直撃すればハチの巣にされそう。
 大小さまざまな矢が飛び、さすがの紗綾ちゃんも撃ち落とすのは無理と判断したのか。空へと飛び上がって、全弾やり過ごす。
 一つでも撃ち漏らせば痛手となる以上、回避を選んだのはきっと正しい。だけど、すぐに前言撤回することになった。
 仮面の飛ばした木片が急に向きを変え、上空にいる紗綾ちゃん目がけて再び襲い掛かる。仕方なく向きを変えて、魔力弾を連射して一つまた一つと追撃してきた分を撃ち落としていく。
 だけど、数が多いせいでこのままでは紗綾ちゃんが押されていくはず。
 もう黙って見ているわけにはいかない。手助けをしようと魔法を展開し、片手に刀を構える。
 空を飛べない私では、上空にある分を何とかするのは無理。なら、魔法を行使している本人を私は叩く。
 そう判断した瞬間――。
 もう片方の手に抱えていたケットシーが淡く光を帯び、地面へと降り立つ。魔力が急激に上昇し、何らかの攻撃を仕掛けてくることは誰もが感じ取った時。
 体毛に電気が迸る――!!
 一声鳴く。それが合図となって一斉に解き放たれる。
 奔る閃。連なる線。
 矛先は紗綾ちゃんを追う木々の欠片。空へと昇る電撃が木片を飲み込むように貫通し、そのすぐ後にはまるで何事もなかったかのように青空が広がっているだけだった。
 一瞬、言葉を失う。――誰もが。
 それも無理はないかなと思う。まさか、子猫が魔法を使うなんて予想はしていなかっただろうし。

「猫の魔法使いかよ。……あんなのまで飼ってんのかよ。てめえらんとこの組織は」
「いやぁ……ワイも知らんかった。まあ、人間以外の生物にでもあるらしいし、そこまで驚くことではないんだがな。にしても、あれは紗綾が育てる猫だったか……まるであの話しに出てくるような関係だな」

 珍しいことじゃないんだ。私にはそっちのほうが驚きだけど。
 気を取り直した紗綾ちゃんは上空に停滞し、そこから連射された魔力弾が仮面へと雨の如く降り注ぐ。
 すぐに反応を示した仮面が腕を上空に向けて掲げると、魔力弾が網にでも引っかかったかのように押し留められてしまう。
 二人の間に見えない壁で遮られているみたいで異様な光景だった。

「あのチビ、浮けんのかよ」
「曰く、風に乗っているんだそうだ」

 はー、そんなことも出来るんだ。魔法の扱い方が上手いんだね。
 感心していると、さすがにやりすぎて疲れたのか、紗綾ちゃんの弾が尽きて攻守は逆転する。
 仮面によって押し留められていた魔力弾は、逆に撃った本人の紗綾ちゃんに向けて飛んでいく。
 そこで気づいた。あの仮面はあらゆる物を操る魔法なんだってことに。

「やはりか。お前らとんでもないことに手を出しおったな。そして、成功させおったのか」
「さあな、ウチは試験運用だとかで押し付けられただけだ。けど、たぶんてめえの想像道理だろうぜ」
「どっちが悪なのかもはや分からんな」
「否定はしねえよ。クソ局長の指示じゃなかったら、研究所の馬鹿どもの手助けなんざ引き受けねえよ」

 纏のお父さんの指示? それに研究所って、もしかして仮面の人物も魔具の一種ってことなの? なにか、重要っぽいキーワードがポロポロ出てるような。

「これ以上は下らんな。お前さんらも成果としては十分だろう」
「そうだな――おい! そろそろ引き上げるぞ」

 柚子瑠に呼ばれた仮面は魔法を解き、操っていた魔力弾が地面に落ちて激しい衝撃が巻き起こる。

「あーもう! むやみやたらに自然を壊すんじゃねえよ。ったく、そういう時は上にでも打ち上げときゃいいんだよ」

 攻撃の手が止んだことで紗綾ちゃんもようやく戻ってくる。見る影も無くなった痛々しい自然はどうやって誤魔化すんだろう。その辺は警察が動いてどうにかするんだろうけど、他人事ながらも大変そうだなぁ。なんて思った。

「世話んなったな。次は、覚悟を決めておけよ」
「いや、覚悟を決めなきゃならんのは、どちらかというとお前さんらの方だ」
「……かもな」

 それだけ残して柚子瑠と仮面は去っていった。結局、最後まで仮面の声は聞くことがなかった。
 二人がいなくなって安心したのか、ケットシーは紗綾ちゃんの胸に飛び込んでくる。紗綾ちゃんはケットシーを受け止め、語り掛ける。

「ちゃんとした名前付けてあげないと」
「えー……それ名前じゃなかったの」
「仮に付けていただけ」
「そうなんだ」

 どっちにしろ、紗綾ちゃんのネーミングセンスだといい感じの名前にならなさそうだし、せっかくだから私も考えておこっかな。

「紗綾。その猫を大事にするといい。きっと、お前の良いパートナーになる」
「? うん。分かってる」

 艶やかな黒い毛の子猫。偶然拾っただけの関係だけど、すっかり懐いている。私から見て、すでに二人は良いパートナーだと思う。さっきだってそう、危険な目に遭っていた紗綾を助けたぐらいなんだしね。

「……ところで、お前さん方はいつまでそうして覗き見しとるんだ」

 ――瞬間。
 気配を感じ取る。ちょっと意識すれば気づけるような分かりやすさがあったというのに、今まで戦闘に集中しすぎていたせいで、その存在にまるで気が付かなかった。

「ばれちゃった」
「一声なければ、黙って帰るつもりだったんだがな」
「つれないことを言わんでくれよ。せっかくだから、ワイも一度くらいはどんなやつらか見ておきたかったところだし」

 水蓮月と神威殊羅。何度か顔を合わせたもはや顔なじみの最恐で最凶の最強な二人組。

「たまたま近場を通ったついでに様子見にきたつもりが、中々面白そうな奴がいるじゃねえか」
「あのおじさん。強いよ」
「ちょっと遊んで行っても構わねえだろ」

 何気におじさん呼ばわりでショックを受けてる柱さん。対して、向こうにいつにも増して物凄いやる気をだしている。というか、殊羅ってあんな風にもなるんだ。最強と呼ばれている男を相手にここまで興味を持たれるなんて、実は想像している以上に凄い魔法使いなのかな。

「もぅ、お仕事中なんだから、遊んじゃダメ」
「へいへい。ま、楽しみはあとに取っておくのも悪くはないか」

 真面目な月ちゃんのおかげで何とか戦闘は回避された……のかな。でも、確か月ちゃんたちのお仕事って、私たちや緋真さんなどあの日、研究所を襲撃したメンバーが狙いなんじゃ。ということは、今度は私と紗綾ちゃんに身の危険があるような。

「お姉ちゃんたちも今は見逃してあげるね。こっちに来ちゃったのは、ただの寄り道であの新開発中の魔具を見に来ただけだから」
「魔具ってさっきの仮面のこと?」
「うん。そう、それのことだよ」

 やっぱりそうなんだ。ところで、仮面が魔具ってことでいいんだよね。悪趣味というかなんというか、変な物造らなくていいのに。

「あの仮面を付けていた人。ううん、魔法使いの事を知ってるの?」
「……うん。だから、気になっちゃって見に来たんだもん」
「そう……」

 そういえば誰だったんだろう。魔法使いと手を組んでいるのもおかしな話しだし。ひょっとして、仮面を付けたら魔法が使えるようになったりとかするのかな。よく分かんないけど。紗綾ちゃんがわざわざ言い直していたのがちょっと気になった。

「それじゃあ、月たちはもう行っちゃうね。お姉ちゃんたちの仲間がまた悪さしちゃう前に止めなくちゃいけないから」
「ったく。次から次へと、あれもやれだのこれもやれだの。人探しなんざ面倒くせえったらありゃしねえ」

 私たちよりも優先順位が先の人たちがいる。いまここで狙われないって分かっただけで申し訳ないけど、ちょっとホッとした。

「なるほどな。お前さんらの探し人とは、緋真らのことか」
「なんだ、知ってるのか。じゃ、悪いが居場所を教えてもらえねえか」
「目的地なら知っとるが、現在地なんぞ知らんわ。それに、お前さんらに簡単に捕捉されるほど甘くはないぞ」
「そうかよ。ま、大体の目処はついているし気長に探すとするか」

 緋真さんと覇人が狙いなら、たぶん昨日指示されていた内容と関係があるんだ。こんなすぐにアンチマジックが動きだすなんて、この件にはソーマ・エコーも関わってるのかな。

「バイバイ、お姉ちゃん。今日は急ぎだったから、今度ゆっくりお喋りしようね」

 会って話すだけならいいんだけど、そうはならなそうで怖いなぁ。

「――じゃあな」

 何事もなく脅威が去り、一安心する。とは言っても、これから緋真さんらに降りかかることになるんだけども、あの二人なら難なく乗り越えられそうだし。頑張って、と祈っておこ。

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