現代知識で異世界無双したかったよ……

リン

昨日の敵は今日の友

「城に入る時に感じた妙な違和感はこれか……結界とはのう」

妾がなんともないところを見ると、魔殺しの様な結界ではないな。ただ単に条件付けした対象を閉じ込めるものか

「どうもー、クロノスさん。お元気してましたか?あっ、一度死んだんでしたねぇ」

声とともに上から何者かが飛来する

「まさかそなたが妾の相手とはなぁ、引きこもりはもう良いのか?エルアよ」

「もしかして、私ってまだ屋敷から出てないと思われてます?あれってダミーなんですよぉ、もうすでに3000年前に出てます!」

ディルヴァが言っておった精霊の預言者は十中八九、こやつだろう……時系列も合っている

「竜族に予言をしたらしいのう、気まぐれか?」

「あぁ、アレですか……私も長い事生きてますけど、私の生涯で最大の汚点ですねぇ……竜巫女の存在など教えなければこんな事態には陥ってなかった」

こんな事態……ディルヴァの参戦か?……よく分からぬが、さっさと終わらせてしまうか

「おおっと、残念ながら時間をどうこうして直接私の存在を消す事は出来ないよぉ。ここは定刻の牢屋と同じ性質を持つ精霊限定結界ですからねぇ」

忌々しい……

「ならば殴り倒せばよかろうて」

クロノスの拳は凄まじい速度でエルアに向かって放たれた

定刻の牢屋……時間の流れを操作出来ぬ空間。たとえ同じ性質であろうと、自身の体を加速するくらいの事は出来る

「ひゅう!当たりませんよぉ、私は予知の精霊!攻撃予測なんて朝飯前ですよぉ!」

これは少々……不利だな

……
………
…………

「互いにノーダメージ……もう疲れちゃいましたよ」

「ならば妾の攻撃に当たれ、即座に終わらしてやろう」

クロノスの攻撃はエルアの予知によって一度も当たらない。エルアの攻撃はクロノスの加速によって一度も当たらない

「………そろそろ準備出来たんで、本気で行きますよぉ……予定調和ビジョンコントロール

クロノスは動かない

「…………」

その様子を見て、エルアの口角が跳ね上がる

「どうですかぁ?私の編み出した必殺技は?予知を超えた行動の変革!クロノスさんは私が倒れるまで動けないよぉ!さぁて、ムカつくから殺す前にボコボコにしてやる!」

エルアの拳が振り上げられたところで止まる

「……ふぇ?」

誰かに振り上げた腕を掴まれている

「おい、エルア。てめぇ何やってんだ?」

「な、なななななんで!?予知には引っかからなかった!」

エルアは驚愕していた、予知にはこの空間に侵入される未来などなかった

「んな事知らねぇよ。まぁ、1つだけ言うとしたら……未来は変わるんだぜ?バカ野郎が!」

「ゔぇあっ!」

侵入者の鉄拳がエルアの腹部に直撃し、エルアは意識を失う

「ふぅ、やっと動けるようになった。一応、礼を言おうか」

エルアが倒れたことでクロノスは体の自由を取り戻す

「いいってことよ。昨日の敵は今日の友だろ?友よ」

男は軽い態度で言葉を返す

「そなたの友の定義は広いな。まぁ……友という事にしておいてやろう」

「可愛くねぇなクロノス」

「そなたに言われとうないわ、アルラウネ」

その2人の姿は誰が見ようと、素晴らしき友情が現れていた

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