告白

「おい、なんで私がドレスコードなんてして、こんな小洒落たレストランで飯食わなきゃなんねぇんだよ」

いつもの食堂とかでいいっつの……一応は貴族って言っても名ばかりの騎士爵だし、こういうのは慣れてない……

「大丈夫、とても似合っているよ」

こいつは平気そうだな…まぁ、こいつはまごう事なき貴族だし、慣れてるんだろうな。鎧じゃなき時はいつも正装だし

でも……なんか違和感するんだよな

……
………
…………

よ、よし！これまでは特に問題ないよね？少し恥ずかしかったが書店で恋愛に関する書籍を購入して読み漁った甲斐があったね

「なぁ、マナーとか気にした方がいいかな？」

「大丈夫だよ。僕はありのままの君がす…す……良いと思うよ」

あああ！言えない！好きって言えない！

「今なんか言いかけなかったか？」

「き、気のせいじゃない？」

ぼ、僕は勇者だ……大丈夫……本にも書いてあった。知識も大切だけど1番大切なのは本人の勇気だって……い、言うぞ……良い雰囲気だし、今言わないと……

「おい」

「！？……な、なんだい？」

何かおかしかったかな！？

「今日ずっと感じてた違和感に気づいた……お前、なんで私と目合わせないんだよ」

そ、それは……恥ずかしくて直視…出来ないというか……

「なんか後ろめたい事でもあるのか？……そうか、お前まだあの時のこと気にしてるのか」

ち、違くて……

「グレイス！ここ出るぞ！付いて来い！」

「えっ、ちょっと！クレール」

……
………
…………

ここは東の城壁の上。夜の黒い夢幻の空を煌めく星々が飾っている

「なぁ、ここ覚えてるか？私とお前が絶対に騎士になろうって誓った場所だ」

ガキの頃はよく家抜け出して、ここに来た。今日みたいな日はまたここに来たくなってしまう

「グレイス……お前がここ最近何かに悩んでたのは知ってた……私じゃ頼りないかもしんないけどさ、相談くらいしてくれてもいいんだぞ？」

「クレール………ごめん！」

あ？

「なんでお前が謝るんだよ」

「僕は君のことを想っていたのに…君と向き合おうとしてなかった……」

どういうことだ？

「クレール・スティングレイさん……僕は君を必ず幸せにしてみせる。僕と結婚してください」