現代知識で異世界無双したかったよ……

リン

本隊激突。バカな歌い手

死霊軍団の数が最初に比べかなり減っている。核を破壊された個体も多いだろうが、復活させるスーサイドさんの魔力がもうなさそうだ。

「スーサイドさんの死霊軍団のおかげで我々の軍との衝突までにだいぶ時間を稼げましたね。これより私はこの作戦部隊ではなく、本隊の指揮に移ります。ここは任せましたよランカーさん」

オーディンさんが俺の後ろにいる金髪の青年に言う。

名前忘れちゃってごめん、ランカーさん。今度は覚えたよ

「任せてください。ここの防衛と指揮は私が完璧にこなしましょう」

俺も早く魔法を完成させないとな

……
………
…………

「我々の目的はこの国境で限界まで時間を稼ぐことです!時間さえ稼げればロキを撤退まで追い込むことが出来ます!全隊突撃開始!」

僕の声を皮切りにディラン王国軍がロキ軍に向かって行く。

僕は指揮官だから戦場に出れないことが悔しいが、死霊軍団と先行部隊のおかげで敵の隊列は相当崩れている。第二騎士団の回復魔法使いがいるので即死を避ければ死ぬことはない。ジャンヌさんの魔法の完成を待ちましょう

……
………
…………

ふっふっふ!ついに私が活躍する時が来た!

「ら〜らら〜♪」

私の歌でみんなを強化する!

なんでみんな私の方をチラチラ見るんだ?そんな頭おかしい奴を見るような視線で

「この戦場のど真ん中で歌ってるとか、頭おかしいだろ!死ね!」

敵兵の剣が私に向かって振り下ろされる。

あ……私のバカ……

「このバカ野郎が……お前の魔法は後方支援向けだろうが」

敵兵が私の前に現れた男によって倒される。

ヘビ!助けてもらったことは感謝するけど、バカって言ったことは絶対に許さないからね!

「………終了」
「強化開始」
「汝、我が歌をその身に宿せ」
「汝、我が歌を聞き届け力を得よ」
「汝、その力を持って敵を屠れ」

全く……強化の魔法は歌うのも時間がかかるから大変だよ……

「味方の支援をするのはいいけどな、安全なところで歌えよ。どうせ私の手柄〜とか思ってんだろうけどよ」

そうだ!こいつは許せない!

「ちょっと!さっき私のことバ…」

「全身から力が湧いてくるぞ!」

私がヘビに文句を言おうとした瞬間、1人の兵士が声を上げる

「なんだ?誰かの強化魔法か?」

おっと?

「これなら勝てるぞ!」

ふふん

「あーはっはっはっは!!この私の歌がみんなを強くする!私がいれば絶対に負けないよ!」

歓声が上がる!私を賛美する声が聞こえる!これこそ私の歌の真髄さ!

……
………
…………

騒ぎ立つ戦場を見て、男はつぶやく

「やっぱり、あのバカを調子に乗らせちゃダメだな……」


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