現代知識で異世界無双したかったよ……

リン

ファリテとクレア。母と子

「陛下!!」

勢いよく扉が開かれる

ディーノたちに状況を説明してから数時間が経過したところでファリテさんが到着した。てか早いな

「随分と早いな?ここから魔国までかなり離れてると思うんだけが」

「う、うぇ……それは、ファリテさんが規定の速度を大幅に超える速度で魔導車を運転したから……おぇえ」

顔面蒼白でものすごく体調の悪そうなマサヤさんがファリテさんの扉にしがみつくように出てくる。

あの整備されてない道を超速度で走り抜けたのか……想像しただけで酔いそうだ

「エリック様、この度はご迷惑をおかけしました」

「迷惑なんて程じゃないわい、だがクレア様を連れて帰るにしても起きてから、ちゃんと話をしてあげて欲しいのう」

「話……ですか?」

「先ほどこの子と話してみて分かったが、この子は自身が王であることに対し、疑問や欺瞞を感じておる。もちろん王であるからにはその職務を全うしなければならぬが、まだ子供じゃ。一度ちゃんと話してくれ」

ファリテさんは真剣な面持ちで答える。

「はい……私は陛下と本当の意味で向き合っていたわけではないのかも……しれません…しばらく陛下と2人きりにしてもらってもいいですか?」

「分かった。この子のことは任せたぞ」

エリックさんに連れられ、みんなで部屋を出て行く。

……
………
…………

私は夢を見ているのだろうか?遠き日の母が私に膝枕をしてくれている。不思議な感覚だ。

「お目覚めですか?陛下」

「ファ…リテ……?」

「ごめんなさい陛下……私が悪いのです……」

なんで……ファリテが謝るの?

「私は貴方の母から貴方のことをよろしく頼むと言われました。私は……貴方を立派な王にしようと躍起になって…貴方の気持ちを考えてなかった」

違う!……違うの……私が

「貴方のお言葉を聞かせてください…私は全てを受け入れる覚悟をしております」

私は……私は……

「ファリテは…私のことどう思ってるの?」

「私は陛下を……クレア様を自身の子のように思っております。あの人に託された大切な私の子」

ファリテは……私にとってのお母さんでした。

「ファリテ…あと少しだけでいいから、このままで居て」

心地よいまどろみの中で、母に頭を撫でてもらいながら私は眠りについた。

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