現代知識で異世界無双したかったよ……

リン

ブラック企業。騎士団の場合

「もう……無理……」

俺は今日も朝から筋トレしていた。今は腕立てだ。

「今回の記録は2352回ですね。筋肉を治療するので、また頑張ってください」

ひぃい!筋肉ダルマにされる!

「ジスタさん、さすがに休ませてあげたほうがいいっすよ。ジャンヌさん可哀想っス」

ナイス!シェスト君!

不夜の平原での戦いが終わり、広かった訓練場にも所狭しと騎士団のみんなが訓練してる。

「いえ、ベリアル様からこのようにしろと言われているので」

「じゃあ俺がベリアルさんに言っておきますから、副団長命令っスよ」

「仕方ないですね。医務室にいるので再開するときは呼んでください」

ジスタさんがやれやれといった感じで訓練場から出て行く

「大丈夫っスか?ジャンヌさん」

「ありがとうシェスト君」

シェスト君が唯一の癒しだよ。他の騎士団のみんなは魔法の訓練なのに、私とシェスト君は筋トレなんだよな……

「なんで私たちは筋トレなんだろ?」  

俺とシェスト君は訓練場の端で座って休んでる。

「俺たちが特殊としか言いようがないっスね。ジャンヌさんは魔法が強力な分、魔法なしでは戦えないっス。それじゃ騎士になるには足りないって感じっス」

「じゃあシェスト君はなんで筋トレ?」

「俺の適性は強化魔法と特異魔法っス。でも特異魔法は防御しか出来ないので、体を鍛えて強化魔法の恩恵を強くしてるっス」

「なるほどね…」

その時、訓練場の扉が乱暴に開かれる。

「ジャンヌとシェスト!ちょっと俺の部屋に来い!」

ベリアルさんから呼ばれた。休んじゃまずかったか……?

……
………
…………

「国立騎士育成学園ですか?」

俺とシェスト君はベリアルさんの部屋で話を聞いている。

「あぁ、国が運営する騎士を育成する学園なんだが、そこから臨時講師として4名を騎士団から派遣して欲しいと依頼があった。第一騎士団と第二騎士団で2名ずつ、うちからはお前らに行ってほしい」

臨時講師って……そんなの

「無理っスよ!俺は人に教えられるほどの魔法を使えないっス!」

「ほう、口答えか?」

ベリアルさんが目にも留まらぬ速さでシェスト君の前に移動し、足を払って転ばせてからシェスト君に組み技を決める。

「あぁ、やってほしいなぁ。やってくれないと俺の手がお前から離れないなぁ」

「いだだだだ!やるっス!誠心誠意やらせてもらうっス!」

「よし」

ベリアルさんは組み技を解いて、俺の方を向く

「ジャンヌ、お前も口答えしてみるか?」

ベリアルさんの目が怖い!

「一生懸命、講師を務めさせていただきます!」



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