現代知識で異世界無双したかったよ……

リン

クレイ視点。ハッピーウェディング!(流血沙汰。被害者サイド)

エレメンタルフォレストで広報を担当してる精霊ヘルメスが視察のために人間たちの世界に来ていた。

今日は魔国セイレーンに来て3日目。文化学習のために教会で行われた結婚式を見学していた。

「すごいロマンチックな感じでしたねー」

「まぁよかったんじゃねぇか?よくわかんねぇけど」

「アルラウネ、そんなんじゃモテないよー」

「うるせぇ!」

ヘルメス様はロマンチックな物が好きというより、知らないものに興味津々って感じだね。

「また1人……未婚の部下が減っていく……」

ファリテさんは落ち込んでいる。騎士団とか魔導師団に所属してると出会いが少ないからね。特に隊長職ともなれば……

「どうにか撮影したかったんですけど、邪魔しちゃいけませんからねー」

「……だったらアレだろ。ジャンヌちゃんとクレイに真似してもらえばいいんじゃねぇか?」

アルラウネ!君はなんていい精霊なんだ!

「アルラウネ!ナイスアイデアです!モテますよ!」

「手のひら返しが凄まじいな!?」

「いい考えだね。さぁジャンヌ、まずは着替えてこよう」

擬似的とはいえ、ジャンヌと結婚式を挙げられるなんて。ものすごく嬉しい。

「私の意見は!?」

「今回のヘルメス様の視察は人間たちの文化を学ぶためのものだよ。広報時の資料を作成するお手伝いをしないと」

……
………
…………

「なんでこんなことに……」

僕の目の前に女神が降臨した。僕は今日死ぬのかもしれない。

「ジャンヌ、とても綺麗だよ」

「クレイさんはタキシード似合いますね」

嬉しすぎて泣きそうだけど、ポーカーフェイスは崩さない。

「ありがとうジャンヌ」

あぁ、僕はなんて幸せなんだろう。

「汝はジャンヌを生涯愛すると誓いますか?」
 
神父役はアルラウネなのか、ノリノリだね。

「誓います」

僕は一生ジャンヌを愛し続ける。

「汝はクレイを生涯愛すると誓いますか?」

「ち、誓います……」

「では誓いのキスを」

ごめん、ジャンヌ。僕はもう我慢できない。

「えっ?…え?……」

「幸せにするよ。ジャンヌ」

互いの唇が触れ合った。

「あぁぁあぁあぁぁあぁあ!!」

僕の顔面にジャンヌの拳がめり込み、そのまま壁に叩きつけられた。

「クレイさん最低です!」

最低と言われ、気分は落ち込むはずなのに……

僕は謎の幸福感と満足感に包まれたまま、意識を失った。

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