時代を越えてあの人に。~軍師は後に七人のチート家臣を仲間にします~
攻城戦は大胆不敵。
一益は突撃部隊を連れて、岩付城の城門を打ち破り、内部へと進行した。一益自身も、私物の火縄銃二丁を両手に持って、敵兵士と戦っている。とは言え、相手も最強用兵集団の美濃兵士。兵士達がいくら頑張っても、力の差と言えば一筋縄では行かない。
だからこそ、この戦闘では織田家が長い間集めてきた火縄銃が本当に力の見せ所であった。勝利の風は大胆不敵に。最後まで気を抜いてはいけないのが戦。何時何処で何が起きるか分からないのだから。
「っち、これじゃあ一益様が危ない。手の空いているのもは、私と共に最前線へ!」
常に前線を気に掛け、見廻りを送り続けていた秀唱が、遂に一益の危険を感じて動き出そうとしていた。勿論、あまり最前線では良いように戦えていない。深追いしすぎた、と言う訳では無いが、巧みに城を使って攻撃を仕掛けてくる美濃の兵士に苦戦を強いられていたのだ。
「流石は美濃を領地とするだけあるだに……戦い方はとっても見事やね」
と、一益も戦いながらそれを痛感していた。だがしかし、そう思うだけで引き下がるような人間では無いのが一益である。彼女はしっかりと種子島の弾込めをして前を見つめた。
「ただ、それでわっちらが引き下がると思ったら大間違いやで……!」
「……一益様! お待たせしました! 援軍を連れて参りました! これで岩付を我らが物に!」
援軍を連れて秀唱がやってくる。一益はよくやったと声を上げて言った。
「これで確実に岩付は落とせる!! やったるで! 皆! 織田家の強さ、思い知らせてやれ!!」
この後、散々に城を叩き潰した。
よって、岩付城は陥落。遠山景任は降伏した後にこんな言葉を残している。
「戦いとは? 勢いとは? 一体なんだ!? なんなのだ!? 織田軍はまるで化物だ!! 駄目だ、竜興様ぁ! 逃げてぇ~!!」
……と、言うことでいつの間にか岩付城は織田軍の手によって陥落していたのである。
とはいえ、もう一方の陣。美濃侵攻とは全く別のルートで攻めを行っているもう一つの織田軍の陣。長島方面の陣である。こちらは、信長本体が指揮している訳でもなく、急遽一益の様に作られた部隊では無く、れっきとした、元々作られていた別動隊の一つである。指揮を取っているのは織田家家臣の佐々成政、そして森可成、毛利良勝。
時に長島とは、仏教徒が独占して統治をしている土地であり、あの本願寺との繋がりが深い。本願寺と言えば、加賀一向一揆で守護を加賀国から追い出した仏教徒達が有名である。長島はその仏教徒達との関わりが強い地域の一つである。
「さてと、どうしたものかねぇ」
可成は木材の上に広げられた長島の地図を見ていった。
「木曽川ですか。また厄介な所に……」
また同じように地図を見ながら腕を組む良勝は言った。木曽川、長島を渡る前に流れている川である。この川を超えなければ、長島城に辿り着くことは出来ないのだ。
「さて、一体どうする? 小舟を使って向こう岸に渡るか?」
佐々成政も考えながら思い付いた向こう岸に渡る方法を言った。
「流石にそれは止めておいた方が。例え仏教徒とは言え、向こうも僧兵集団。そんな甘い行動ではすぐに攻撃され、渡る事すら困難になるでしょう」
成政の作戦が無理言爺だと、地図を睨む良勝は言った。確かに、渡っている途中で攻撃され、総崩れとなったら元も子もない。
「む~。何か良い方法は無いか?」
思い付きが無くなった成政は自分の頭を掻いて、眉をひそめた。
「なら、こういうのはどうだ?」
さっきまで二人の会話を眺めながらボーっとしていた可成がパッと目を開いて地図を触った。成政と良勝は可成の作戦を聞き入った。
「まず、今此処に居る二〇〇〇の兵を三つに分ける。分けた後、私が先導で木曽川を小舟を使って渡る。渡った後、佐々の姉貴が長島まで渡って来れるよう、なんとか河川を死守する。一応最悪のケース、美濃から斉藤軍の援軍が来たことを想定して、良勝は少々北上して、海津の辺りから木曽川を渡れ。そのまま長島まで下ってくれば、最悪のケースにならなくとも、優位に長島を落とすことが出来るはずだ」
おぉ、と良勝は可成の作戦を聞いて拍手する。成政にも異論は無く、今回はその作戦で長島に乗り込むことになった。
可成の作戦を実行するにあたり、可成隊五〇〇、成政八〇〇、良勝七〇〇で編成されることに。
「どうしますか、乗り込むのならやはり可成様が種子島を多めに所持していた方が良いと思いますが……」
「なに、相手は僧兵だ。僧兵なら、長刀や槍を主流で使ってくるはずだ。こっちが卑怯にも種子島なんて使ったら相手と対等に渡り合えないさ。大丈夫だ、負けやしねぇよ!」
男勝りの可成は笑って、心配する良勝に言葉を掛けた。良勝も安心して変に入っていた肩の力が抜ける。
「……分かりました。御武運を!」
良勝はそう言って頭を下げると、自分の部隊の支度へと戻っていく。その姿を見つめていた可成は薄っすらだが笑みを浮かべていた。
「……彼奴も変わったな。まぁ、これも戦での経験よ! さ、お前ら! いくぞ!!」
拳を振り上げて自分の兵士達にそう声を掛けた。作戦は夜に行われる事になっている。織田軍が最も得意とする奇襲戦法だ。長島を守るのは伊勢長島願証寺住職であり、石山や加賀本願寺とも深く関わりを持っている尼僧、願証寺証恵。既に織田軍が近くにまで迫っていると言うのは彼女も聞いていた。とは言え、さほど強い影響力が無い織田家に便乗することは何もなく、焦りを見せる所は何もなかった。
「ふふ……どうせ我が何もしなくても、伊勢の北畠さんがそろそろ援軍に来てくれるわよ……。後は敗戦と決まって逃げる織田軍を背後から襲うだけ……。今川義元を討ち取っただけで勢いに乗っている織田軍がやられるところを頭に浮かべると……ふふ。笑いが込み上げてくるわね……!」
この様にして、遂に長島でも戦が始まろうとしていた。三方面を攻める織田軍、今のところ勝ち負け両方で一旗揚げているが、この長島方面では一体どうなるのだろうか……!何も言わずとも、織田家の過酷な天下統一物語は続いていく……。
だからこそ、この戦闘では織田家が長い間集めてきた火縄銃が本当に力の見せ所であった。勝利の風は大胆不敵に。最後まで気を抜いてはいけないのが戦。何時何処で何が起きるか分からないのだから。
「っち、これじゃあ一益様が危ない。手の空いているのもは、私と共に最前線へ!」
常に前線を気に掛け、見廻りを送り続けていた秀唱が、遂に一益の危険を感じて動き出そうとしていた。勿論、あまり最前線では良いように戦えていない。深追いしすぎた、と言う訳では無いが、巧みに城を使って攻撃を仕掛けてくる美濃の兵士に苦戦を強いられていたのだ。
「流石は美濃を領地とするだけあるだに……戦い方はとっても見事やね」
と、一益も戦いながらそれを痛感していた。だがしかし、そう思うだけで引き下がるような人間では無いのが一益である。彼女はしっかりと種子島の弾込めをして前を見つめた。
「ただ、それでわっちらが引き下がると思ったら大間違いやで……!」
「……一益様! お待たせしました! 援軍を連れて参りました! これで岩付を我らが物に!」
援軍を連れて秀唱がやってくる。一益はよくやったと声を上げて言った。
「これで確実に岩付は落とせる!! やったるで! 皆! 織田家の強さ、思い知らせてやれ!!」
この後、散々に城を叩き潰した。
よって、岩付城は陥落。遠山景任は降伏した後にこんな言葉を残している。
「戦いとは? 勢いとは? 一体なんだ!? なんなのだ!? 織田軍はまるで化物だ!! 駄目だ、竜興様ぁ! 逃げてぇ~!!」
……と、言うことでいつの間にか岩付城は織田軍の手によって陥落していたのである。
とはいえ、もう一方の陣。美濃侵攻とは全く別のルートで攻めを行っているもう一つの織田軍の陣。長島方面の陣である。こちらは、信長本体が指揮している訳でもなく、急遽一益の様に作られた部隊では無く、れっきとした、元々作られていた別動隊の一つである。指揮を取っているのは織田家家臣の佐々成政、そして森可成、毛利良勝。
時に長島とは、仏教徒が独占して統治をしている土地であり、あの本願寺との繋がりが深い。本願寺と言えば、加賀一向一揆で守護を加賀国から追い出した仏教徒達が有名である。長島はその仏教徒達との関わりが強い地域の一つである。
「さてと、どうしたものかねぇ」
可成は木材の上に広げられた長島の地図を見ていった。
「木曽川ですか。また厄介な所に……」
また同じように地図を見ながら腕を組む良勝は言った。木曽川、長島を渡る前に流れている川である。この川を超えなければ、長島城に辿り着くことは出来ないのだ。
「さて、一体どうする? 小舟を使って向こう岸に渡るか?」
佐々成政も考えながら思い付いた向こう岸に渡る方法を言った。
「流石にそれは止めておいた方が。例え仏教徒とは言え、向こうも僧兵集団。そんな甘い行動ではすぐに攻撃され、渡る事すら困難になるでしょう」
成政の作戦が無理言爺だと、地図を睨む良勝は言った。確かに、渡っている途中で攻撃され、総崩れとなったら元も子もない。
「む~。何か良い方法は無いか?」
思い付きが無くなった成政は自分の頭を掻いて、眉をひそめた。
「なら、こういうのはどうだ?」
さっきまで二人の会話を眺めながらボーっとしていた可成がパッと目を開いて地図を触った。成政と良勝は可成の作戦を聞き入った。
「まず、今此処に居る二〇〇〇の兵を三つに分ける。分けた後、私が先導で木曽川を小舟を使って渡る。渡った後、佐々の姉貴が長島まで渡って来れるよう、なんとか河川を死守する。一応最悪のケース、美濃から斉藤軍の援軍が来たことを想定して、良勝は少々北上して、海津の辺りから木曽川を渡れ。そのまま長島まで下ってくれば、最悪のケースにならなくとも、優位に長島を落とすことが出来るはずだ」
おぉ、と良勝は可成の作戦を聞いて拍手する。成政にも異論は無く、今回はその作戦で長島に乗り込むことになった。
可成の作戦を実行するにあたり、可成隊五〇〇、成政八〇〇、良勝七〇〇で編成されることに。
「どうしますか、乗り込むのならやはり可成様が種子島を多めに所持していた方が良いと思いますが……」
「なに、相手は僧兵だ。僧兵なら、長刀や槍を主流で使ってくるはずだ。こっちが卑怯にも種子島なんて使ったら相手と対等に渡り合えないさ。大丈夫だ、負けやしねぇよ!」
男勝りの可成は笑って、心配する良勝に言葉を掛けた。良勝も安心して変に入っていた肩の力が抜ける。
「……分かりました。御武運を!」
良勝はそう言って頭を下げると、自分の部隊の支度へと戻っていく。その姿を見つめていた可成は薄っすらだが笑みを浮かべていた。
「……彼奴も変わったな。まぁ、これも戦での経験よ! さ、お前ら! いくぞ!!」
拳を振り上げて自分の兵士達にそう声を掛けた。作戦は夜に行われる事になっている。織田軍が最も得意とする奇襲戦法だ。長島を守るのは伊勢長島願証寺住職であり、石山や加賀本願寺とも深く関わりを持っている尼僧、願証寺証恵。既に織田軍が近くにまで迫っていると言うのは彼女も聞いていた。とは言え、さほど強い影響力が無い織田家に便乗することは何もなく、焦りを見せる所は何もなかった。
「ふふ……どうせ我が何もしなくても、伊勢の北畠さんがそろそろ援軍に来てくれるわよ……。後は敗戦と決まって逃げる織田軍を背後から襲うだけ……。今川義元を討ち取っただけで勢いに乗っている織田軍がやられるところを頭に浮かべると……ふふ。笑いが込み上げてくるわね……!」
この様にして、遂に長島でも戦が始まろうとしていた。三方面を攻める織田軍、今のところ勝ち負け両方で一旗揚げているが、この長島方面では一体どうなるのだろうか……!何も言わずとも、織田家の過酷な天下統一物語は続いていく……。
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