時代を越えてあの人に。~軍師は後に七人のチート家臣を仲間にします~
平凡な一時 参
「よろしいならばクリーk···」
「ちょっとまてぇ!それだけは言わせねぇ!」
って、織田が戦しかしてねぇ見たいな雰囲気になってるから止めろー!
と、またしても秀唱は無表情で話した。
「はぁ...」
俺は溜め息をつくと、一度下を向いて深呼吸した。
なんだかんだ言って、今の生活が楽しいんだなとここで思ってしまう俺も、もしかしたら可笑しいのかも。
と思いつつ、味噌を見つめているとなんだか無性に悲しい気持ちになってくるんだけど...。
「んじゃ、物は貰ったからな、私は帰るとする。じゃあな、竹。」
と、秀唱は言うと右手を上げて手を振った。
勿論、片手には味噌の袋を持っている。
「あ、はい。分かりました。また今度いらしてください。」
本当に何処から何処までもお辞儀をすることと営業スマイルを忘れない定員って感じが良いわ~。
「ってちょっと待てよ。俺のことおいてこうとしてんじゃねえよ!?」
出口の方へ一歩づつ歩いていく秀唱を見ながら思ったこと。
俺のこと置き去りにしていくんじゃねぇよ!?ってこと。
俺も小走りで彼女の元へ寄るように近づく。
そして俺達は、味噌専門店を後にしたのだった···。
···外に出てみれば、烏がマイホームに帰宅する時間となっていた。
烏達が横列を組んで大空を駆ける様子が素晴らしいくらいに綺麗な反面、ただ何故か無邪気に悲しさが込み上げて来る。
「いやーまさかもうこんな時間だとは···」
と、俺は唖然とした状態で空を見上げてそう言った。
「まぁ、私達がここに来たのも、日が下り始めてなんぼかの時間であったからな。」
秀唱はそう言うと懐からポケット型の灰皿を取り出す。
その灰皿を開き、くわえていたタバコをそこに擦り付ける。
タバコの火が消えたことを確認すると、そのまま灰皿の蓋を閉めて懐にしまった。
「まぁ仕方がないことだ。時が進むと言うのは。あまり触れることには感心しないぞ、相良。だが···私も時が進むことには少し疑問を抱く。何故このようにして早いのか。」
「まぁ確かに···。でも、やっぱり時が進むのが早いのは必然的で仕方がないことなんだよな。これが時間の概念。早まることが無ければ、遅まることすら無い。だけど、今俺たちの話している時間だってもう一生戻って来ないんだ。疑問を抱くよりも、与えられた今の時間をどれだけ楽しむかが、俺は大事な事だと思うぜ。」
俺はそう言って夕日に向かって腕を組んだ。そのまま秀唱を見てニヤリと顔つきを変えた。
秀唱も俺を見ると、少し口を開けて声を出して笑う。
俺はそのまま少しずつ口を開いていく。
いつしか二人は大声で顔をひきつりながら笑い合い、その声は辺りに大きく響くくらいにまで聞こえていたと言う。
「じゃあな。相良、裕太。」
「あぁ。津田、秀唱。」
二人は方向を変えて一歩ずつ、自分の道へ歩み出した。
ー 相良・家
「ただいま。」
ガラガラガラと鳴り響く、口ずさまれるだけで殴りたくなる音のする戸を開くと俺は帰宅の挨拶をする。
「おぉ、相良殿。おかえりだぞ。」
と、台所で調理をしている泰能が俺に気付くと此方を向いてそう言った。
「あ、相良様。」
今度は刀の手入れですか、と言わんばかりに刀を磨いでいる智慶。
「おかえりなさい~。」
中庭で鉄砲を構えていた恵美が、俺に気が付くと部屋に上がってきた。
俺は草履を脱ぐために、玄関の塀に座る。とはいってもうちは1LKですが。
「泰能、今日の晩飯は?」
「むー、味噌次第だぞ」
「私は味噌汁が恋しいです。」
「どうせなら火薬を入れちゃえば良いじゃない!」
「恵美、発言が怖すぎるから止めて!」
と、何だかんだいってこれが日常生活に染み込んでいっている。
平和で平凡な日常。戦なんて・・・!って思ってしまうくらいな一時だった・・・。
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