時代を越えてあの人に。~軍師は後に七人のチート家臣を仲間にします~

芒菫

朝っぱらからほうば飯で大騒動!?


「・・・・・・・い!」

何かが、目の前で大声を出している。
それは私を力の加減が激しいのだが、何回か叩いていた。
何故か、どんどん痛くなっていく。特に、腹から下半身の辺りが・・・・って!

「・・・起きてください!!」

「・・・痛いわァ!!」

俺は激おこで跳び起きると、俺を叩いていた何かは腰を床に付けて倒れた。

「初対面なのに乱暴ですね・・・痛いのは嫌いです・・・。」

「どういう発想でそういう方面に行きつくんだよ!?」

気が付くと、目の前には見知らぬ女の子が腰を床に付けて座っていた。
人の家に不法侵入するとは何事だ!住居侵入罪で現行犯逮捕される部類だぞ・・・・。
あ、そうだ。ここは戦国時代だった。

俺は、制服についている埃を払って、目の前に横たわっている女の子に、手を差し伸べた。

「大丈夫か?」

彼女は俺の手を引くと、微笑みを浮かべる。
一応、問題はないようだな。
彼女は立ち上がり、俺も手を離すとガラガラ柄と、俺の家の玄関の戸が開いた。

「どいつもこいつも、勝手に人の家に入るの止めてくれない!?」

「お隣って吉見じゃないですか。そのくらい巻けてくださいよ~。ね?」

入って来たのは、隣の家に住んでいる藤吉郎だった。朝っぱらから元気で恐ろしい事言いやがるな・・・。
しかし、なんでそんなに人の家に入りたがるかな・・・。

「あ、そうでした。おはようございます~。不法侵入と言うより、起床時間ですのでねねに起こしに来てもらっただけですよ。」

あぁそういえばいつの間にか寝ていたんだな。
玄関の戸の先を見てみると、まだ少し薄暗いが明るくなっていることは分かった。
というか、この時の人達ってこんなに朝起きるの速いの・・・?
そんなことよりも、藤吉郎は今なんて言った・・・?

「ねね・・・・?ねねって言った?」

「はい。言いましたけど。」

藤吉郎は真顔でそう答えた。

「ねねって・・・。まさか!?」

目の前に立っている女の子はえへへ。と、笑って此方を向いた。
そう、彼女がねね。後の北政所、高台院様であった。
まさに歴史的出会いなのだが、俺は名前だけしか聞いた事が無いので良く分からなかった。

「さぁ、裕太殿の気も済んだことでしょうし、朝餉の時間といたしましょうね。皆さん、席についてください。」

そういうと、言い出しっぺの藤吉郎が俺の家の中心に置いてあるちゃぶ台の脇に座る。
俺の同じく座った。

「さて、今日は白米ですよ~。」

「おぉ!祝いの飯!」

めしが食べられるのか!?」

ねねは先程の様に、へへっと笑うと鍋の中を開けた。
藤吉郎と俺は目を輝かせて鍋の中を覘く。
あれ・・・?なんだこれ?葉っぱしか見えないんだけど。

「え?これどういう事ですかね・・・?」

「もしかしてですけど・・・ねね?」

「はい、そうです。ほうば飯ですよ!」

えっへんと、ねねは胸を張る。
藤吉郎と寧々もまだ小学生並みの身長の様なのだが、技術面に関してはとても高い事が分かる。
特に、ねねなんて冗談の言い回しがとても上手だ。
人は、見かけによらないとよく言うが、その意味はこういうことなのだろうな。と俺は思った。
と、言う事でここはまんまと騙されてみよう!

「というか、葉っぱが主食ってどういうことなんだ?」

「ちゃーんと、この中に米が入っていますよ。その代わり、早い者勝ちなのです!このはっぱを食べ切った物が、真のめしにたどり着くことが出来るのです!」

目が尋常じゃないほど輝いてるよ!?
ねねはお玉を持ち、この料理の解説をすると、それぞれのお茶碗に料理を救い始めた。

「なんとも、理不尽なやり方だな・・・。」

「うちのねねを甘く見ない方が良いですよ。嘘をついた事なんて一度もありませんし、とっても優しいんですから!その反面、怒ると乱世がひっくり返るくらい本当に怖いかみさんなんですから!」

・・・・ん?かみさん?かみさんってのは奥さんって意味だよな?もしかして、こっち?神さん?オウ、マイゴッド!センキューセンキュー・・・?

……ここで疑問が生じる。藤吉郎とねねの二人は一体どういう関係なのだろうか?

「ん?疑問に思ったんだけど、藤吉郎とねねってどういう関係なんです……?」

「あれ、もしかして分からないのですか?……」

と、もじもじ恥ずかしそうに藤吉郎。

「えっ………とそれは………」

と、赤面をして首を振りながら此方を向くねね。

「ん?どうなんだ?」

と、俺が言うのだがこそこそ何かを話始める二人。
なんでそんなにもじもじしてんだろ……?
だが、ようやく言う気になったのか、二人同時に此方を向くと、タイミングを合わせるために藤吉郎せーの。と言った。
次の瞬間、とんでもない言葉が俺の耳の鼓膜の探知機を唸らせた。

「私達、ふーふなんです!」

…………うん?

「え?」

「だから、ふ・う・ふ。ですよ。恥ずかしいですから、何度も言わせないでくださいよ!」

と、藤吉郎が一言。

「ふうふ………って夫婦だよな!?え!?」

驚きのあまり、大声が出てしまった。

「と言うか、猿様さっき私を怖いかみさんって言いませんでしたか?」


突然ねねが、藤吉郎に対して怒り出した。
そうだ、ここはいまだかつてない戦場と化していた。

「そっ、それはその………一種の例えと言うか……余談と言うかなんと言うか………はは…」

相良裕太氏の夢のマイホーム(仮)は内戦状態でした。
裕太はポカンと立ちすくみ、訳の分からない単語を驚きのあまり連呼しており、ねねと藤吉郎は部屋の中でちゃぶ台を中心として周りをグルグル回ると言う行動を起こしていた。
朝っぱらから戦場で、しかも近所迷惑。

すると、突然俺の家の戸が勢いよく開き、大きな音をたてた。
また不法侵入かと思いきや、今まさに頭の上に怒りのマークが乗っているであろう、藤吉郎の隣の家、と言っても俺の家の反対側の家に住んでいる、犬千代こと利家の姿があった。
相変わらず、右手には槍を持っている。
利家は風雲の如く登場して次のように言った。

「……近所迷惑。朝餉を頂きに来たでごじゃる。」

その口言いは昨日と変わらず、片言だった。
勿論、話しにくいって訳じゃないが。
そして、ようやく藤吉郎とねねもおいかけっこを止めて、朝食の支度にかかった。

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