貴方に贈る世界の最後に
第26話 新な始まり
色々と世話になった王都のギルドマスターに礼を言う。
「ありがとう、助けられたよ」
「いいんじゃよ、気にしなくとも。それよりも、これからの旅には気を付けるのじゃな」
と、こんな会話をするぐらいには仲良くなっていた。
どんなものでも別れというものはどこか心が寂しくなる。
「そうじゃ、これを渡しておくぞ」
そう言ってギルドマスターから渡されたものは、ギルドカードだった。
そこには、ランクBと書いてあるカードが二つあった。
「お前とあの吸血鬼のカードじゃ。実際は、もっと上なんじゃが、初めてギルドカードを作った奴はランクBが限界なんじゃ」
「いいや、十分だ」
「そうか、ランクBならダンジョンにも入ることが出来る。今よりもっと強くなりたいなら、そこへ行くといい」
気になる単語が聞こえた。
ダンジョン...か、アイリスの事が終わったら行ってもいいかもしれない。
今回の事で、まだ俺は力不足だと痛感した。
「ありがとう。でも今は、別の用事があるからな」
「そうか、ダンジョンはお前ならクリア出来るかなと思ったんじゃが」
「クリア?そのダンジョンは、何なんだ?」
「この王都の近くにある『願望の塔』と、呼ばれている100階層あると言われているダンジョンじゃ。願望と名前にある通り、そのダンジョンをクリアしたものに、どんな願いも叶えてくれるコアがあるそうじゃよ。そして、今までの最高記録は95階じゃ、これはワシの記録なんじゃよ」
と、どや顔で自慢してきた。
どんな願いも叶えてくれるコア...か。
これは、俺の目的に大きく近づくチャンスかもしれない。
『願望の塔』いつかは、クリアしないとな...
しばらくギルドマスターと話していて、外で待っている二人の事を忘れていた。
「じゃあ、爺さん。また会おうぜ」
「ユウ、お主が死んでなければまた会えるじゃろうな」
それは、ギルドマスターらしい皮肉の混じった見送りの言葉だった。
振り返らずに、ギルドの扉を開く。
待っていた二人が見える。
「ユウ」
「ユウさん」
「ああ、分かってる」
外に待っていたのは、二人だけではなく。
王都の兵士たちが大勢、ギルドを囲む形で待っていた。
また、大変な旅の始まりだ...
「キサラギ・ユウ。貴様には、反逆罪がかけられている。抵抗しないならばこちらからも攻撃はしない。おとなしく、着いてきて貰おうか」
俺も分かっている。攻撃しないのは、俺だけでノアやアイリスには攻撃するのだろう。
兵士達の目は、完全にノアやアイリスを殺してやると言っている。
なら、俺の答えは...
「嫌だね、俺は正しいことをしていると思ってるし、魔族と人間は、解り会うべき存在だと思うからな」
「捕らえろ!!魔族の方は殺してもかまわない!!」
一斉に兵士達のが飛びかかってくる。
仕方ない。
力を解放する。今回は、80%。
その力で俺がとった行動は、逃走。
ノアとアイリスを抱えて、地面を思いっきり蹴る。
衝撃で地面が割れる。
俺達は、空を飛んでいた。
かなり高くまで飛び上がった俺達をノアが魔法を使って空中に浮いている。
兵士達は、空を見上げるだけでなにもしてこなかった。
そんな、物騒な見送りを受けて、この王都を去った。
この次に目指す場所は、魔王が住んでいる城。
魔王城だ。
この世界は、変わり始めている。だけど、それは悪い方に変わっている。
だから、今まで平和を貫き通してきた、魔王に会って話を聞く。
魔王は、どんな人物でどんな人格を持っているのだろうか?
アイリスの父親。
だけど、俺は1つだけ、魔王を許せないことがある。
魔王に出会った時に、1つだけ質問をしようと思っている。
そして、その返答次第では、俺は魔王を殺すかもしれない。
そんな事を考えつつ、目的の場所へ俺達は向かった。
1つの真実を知る為に...
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